日本の受験英語は本当に役立たないのか

「日本人が英語を話せない」
これは、もうずっと前から言われてきたことです。

そして、その理由としてやり玉に挙げられるのが日本の受験英語です。

日本人は文法ばっかりやってるから話せない。
日本人は、細かいことばっかり受験英語で暗記させられてるから話せない。
間違いばっかり恐れて話そうとしないから話せない。簡単な単語つなげば通じるのに。

まあ、どの意見も間違ってはいないと思います。

ただ、日本で受験英語にドップリ浸かった挙句(文系なんだから最低5000語!8000語暗記!の時代です)、留学+就労を13年経た後帰国して現在英語を教えている私は、

「受験英語は非常に意味がある」

ということを提言したいです。


今でも忘れられないエピソードを一つ紹介します。

四半世紀以上前のまだ留学したての頃、日本人の留学生仲間3人+アメリカ人男性の4人と一緒に食事に行きました。

1人はそのアメリカ人男性の彼女、私と同じようなバックグラウンド(受験英語どっぷりだけど、会話は。。。)のAさん。
1人は帰国子女でそのままアメリカに残ろうとして、英語をブラッシュアップしようという18歳の男の子。B君。
そしてもう一人は、しばらく日本で英文学を非常勤講師として大学で教えていたが一念発起してアメリカへ学びなおしに来た男性。C氏。

5人で楽しく飲んだり食べたりしていましたが、少し気分が良くなってきたところで、Aさんが自分の彼氏に

「この中で一番わかりやすい上手い英語を話すのは誰?」

と冗談めかして聞いたのです。

なんとなくみんな、スラングを交えながら流暢に英語を話している(ように見えた)B君なんだろうなと予想していたと思います。私もそうでした。

でも、彼氏は迷うことなく

「そうだね、C氏だね」

と言ったのです。

これは衝撃でした。
失礼ながら、C氏の英語はゆっくりで発音もあまりかっこよくなくとつとつと話していて、典型的な Japanese English に聞こえたのです。

呆然としている私たちを見て、彼氏は慌てて「たしかにアクセントはあるけど正しい英語を話しているから、何を言っているのかよくわかるんだよ」とフォローしていました。

その時私の英語観は大きく変わりました。
ただただ、ネイティブっぽい発音をしなきゃ、ぺらぺら話さなきゃ、という強迫観念から解放され、わかりやすい英語を日本の中学校で習った文法に則って話すようにしました。

もちろん、これですぐに話せるようになったわけではありません。
パーティーに招待されるたびに胃がキリキリして、壁の花にならないように必死になって、それでも上手く話せず泣きながら帰ったこともあります。

ただやはり、基本に忠実に自分の使いこなせる英語を増やしていくうえで、少しずつ会話が苦にならなくなった気がします。

そして、そのためには「受験英語」での語彙と文法は大きな財産となりました。

ただ、受験英語の弊害もありました。
それは、「なんでも日本語に訳さないと我慢できない」病にかかってしまっていたという点です。

これについては、また次回お話ししたいと思います。

ここまで長々とした話を読んでいただき、ありがとうございました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?