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インテグラル理論の組織的実践①ー組織的実践とは

※講演用レジュメなので、ある程度の理解レベルが前提になります。

インテグラル理論の自己成長領域における実践はILP(インテグラル・ライフ・プラクティス)と呼ばれ、(いま日本語訳は絶版になっていますが)専門の書籍も出版されるなど一定程度体系化されています。今回は、自己成長領域ではない、他者としての組織にどうインテグラル理論を役立てていくのかということについて述べていくつもりです。

人間という存在を2つに区分する分け方として、自己他者という形があり得るでしょう。今回はいわば、人間という存在のILPとは逆の軸、すなわち他者へ影響力を行使していくというベクトルにおいてのインテグラル理論の実践について述べていくことになります。

インテグラル理論を十分ご理解されている方々においては、インテグラル理論が発達段階でいうところの統合的段階(ティール)に到達するための方法論であると誤解されている方はいないでしょう。インテグラル理論とは、我々が日々直面している現実の課題に対し、盲点が少ないという意味で包括的で、対症療法ではないという意味で根本的な解決を図る方法論なのです。そのような問題解決を促進するために、主には統合的段階(ティール)の視点から体系化されたメタ理論と言えるでしょう。

繰り返しになりますが、インテグラル理論は個人として統合的段階(ティール)、あるいは悟りの境地、組織としてティール組織を目的論的に目指すものではありません。この点は強調しておきたいと思います。

もちろん、ティール組織への変容が、真に現在直面している課題に対する固有解であるならば、ティール組織へのトランスフォーメーションも目的にはなりえますが。

なぜこのようなことをクドクドと前置きするのかというと、少なくとも私が長年かけて観察してきた限りにおいては、現代の企業が直面している課題はティールという次元ではなく、合理性段階(オレンジ)に特有の課題に重心があると考えているからです。

還元すれば、現代の企業が直面している合理性段階(オレンジ)に特有の課題を看過した状態でティール組織などの新しいコンセプトを指向したところで、それは砂上の楼閣に過ぎず失敗に終わるか、局所的な成功で終わってしまう可能性が高いと思っています。

企業組織において、発達理論でいう垂直的発達が不可欠であるということは私も十分認識するところです。しかし、次のnoteで述べるところの合理性段階(オレンジ)の過剰さが生む問題と対峙せずして、インテグラル理論を用いた組織的実践は大きな成果を納めることはないと確信しています。

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