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コーチは透明でなくていい

数多くコーチングをやっているますと、クライアントの目的意識や成長のベクトルに、コーチである私自身の思想が大なり小なり反映されることを実感します。

当たり前かもしれませんが、短期間ではなく半年等継続的にコーチング関係を続けているクライアントは、コーチである私自身との共鳴度合いがとても高まる傾向があります。私が、このような気持ちで仕事ができたらすばらしいだろうな、生活ができたらよいだろうなと考える価値観の基軸に、クライアントの実践がシフトしていっているのを感じます。

具体的には、
●世の中一般の共通尺度ではなく、自分の尺度で生きること
●自分の存在価値を確信できるような取り組みを探すこと
●周囲を勇気づけ、権限移譲すること
●自分の持ち味を発揮し、唯一無二の何かを探すこと

このあたりは、クライアントのスタート地点にもよりますが、私とのセッションを経ると遅かれ早かれ誘われてくる基軸になってくると思われます。

最初は、たまたまそのような価値観を持っているクライアントと出会ったのだろうなと思っていました。もしくは、上記のような価値を求めるのは人間の本性に根付いた傾向であり、コーチングによって自然と掘り起こされる資質なのではないかと思っていました。

しかし、とあるセッションを仔細に振り返った際、直観的に上記価値に言及している箇所は確かにあります。例えば下記のような趣旨の質問ですね。

世の中一般の成功の尺度は●●かもしれません。一方で、あなた自身で尺度を決められるとしたらどうでしょう?」

「あなたが求められている役割は、一般的な業務分掌で言えば●●かもしれません。では、他でもないあなたの持ち味を最大限発揮してそれをやる方法はあるでしょうか?」

クライアントはそれに共鳴・共振しているので、コーチの思想を強要されているわけではないですが、確かに影響は与えているようです。

大前提として、コーチの思想・準拠枠の取り扱いには注意を払うべきです。そのような準拠枠がセッション中に飛び交っていれば、クライアントが内省する時間が失われてしまいます。

しかし、上記のような注意を払ったうえであれば、私はおいてコーチは無色透明の存在でいることはできないし、無色透明でいる必要もないと考えています。むしろ、コーチに色があるからこそ、クライアントにとって異質な視点となり、視野を広げるリソースになるのではないかと感じています。

クライアントの皆さんとしては、コーチのスタン・価値観を含めてコーチを選定する基準に据えればよいかもしれませんね。コーチの側は、導入セッションにおいてご自身の価値観に言及しておくことも良いかもしれません。

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