著作権Q&A~著作物~
{Q} 著作物の具体例を教えてください。
A 承知しました。
著作権法には、「著作物」を「例示」する規定(10条)があります。それによれば、著作物をその表現形式(表現手段)によって9つのカテゴリーに類別して例示しています。ここで注意して欲しいのは、この9つのカテゴリーはあくまで「例示」であるということです。つまり、9つのカテゴリーのどれにも該当しない創作物(新たカテゴリーの創作物)であっても、「著作物」の定義(2条1項1号)に該当するものであれば、法律上は「著作物」として保護されるということです。さらに、ある著作物が同時に複数のカテゴリーに属する場合もあります。例えば、通常のポップスや歌謡曲は、「歌詞」(=言語の著作物)と「楽曲」(=音楽の著作物)が結合した著作物として捉えることができます。
① 言語の著作物:典型例としては、小説、脚本、論文、講演のほか、童話や詩、短歌、俳句、講義、講談や落語の台本が挙げられます。
② 音楽の著作物:典型例としては、歌謡曲やオペラ、クラシック、ジャズ、民謡などの楽曲が挙げられます。
③ 舞踊又は無言劇の著作物:典型例としては、日本舞踊やダンス、バレイ、能楽などの振付け、パントマイムが挙げられます。
④ 美術の著作物:典型例としては、絵画、版画、彫刻のほか、マンガやイラスト、書、生け花、舞台装置が挙げられます。なお、一品製作にかかる「美術工芸品」(例えば、壺、織物、刀剣など)もこの「美術の著作物」に含まれることが明記されています(2条2項)。
⑤ 建築の著作物:典型例としては、通常のありふれた一般住宅やビルではない、美的に表現された(芸術性を備えた)建築物(宮殿、万博のパビリオン、橋、塔、庭園等)が挙げられます。
⑥ 地図・図形の著作物:典型例としては、一般住宅地図、道路地図、観光案内地図、地形図や、建築設計図、船舶等の設計図、地球儀、人体模型が挙げられます。
⑦ 映画の著作物:典型例としては、いわゆる劇場用映画のほか、アニメやビデオ、ゲームソフトの映像部分(物に固定(録画・記録)されて、連続して動く影像部分)が挙げられます。
⑧ 写真の著作物:典型例としては、風景写真や肖像写真、商品カタログ用の写真、家族のスナップ写真、グラビアが挙げられます。
⑨ プログラムの著作物:典型例としては、コンピュータで使用する、各種パソコン用のアプリケーションソフト(会計ソフトなど)が挙げられます。
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