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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

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最近の記事

判例セレクション~著作権侵害~

著作物の複製の意義/既存の著作物を知らないでこれと同一性のある作品を作成した者と著作権侵害の責任 ▶昭和53年9月7日最高裁判所第一小法廷[昭和50(オ)324] 旧著作権法(明治32年法律第39号)の定めるところによれば、著作者は、その著作物を複製する権利を専有し、第三者が著作権者に無断でその著作物を複製するときは、偽作者として著作権侵害の責に任じなければならないとされているが、ここにいう著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製

    • 条文解説【著作権法第2条(定義)第1項第11号】

      著作権法第2条(定義)第1項第11号: 「1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (ⅹⅰ) 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。」 著作権法第2条は、著作権法において重要な概念となる用語や頻繁に使用される用語の意義をあらかじめ明確に定めることにより、解釈上の疑義を極力避けることを狙った規定です。 「二次的著作物」とは、著作物を「翻訳」し

      • 著作権Q&A~著作物~

        {Q} 「学説」は著作物に当たりますか? A いいえ、著作物に当たりません。 「著作物」というのは、思想又は感情を具体的に表現したものでなければなりません(2条1項1号)。「学説」というのは、それ自体では抽象的な「アイディア」(思想又は感情そのもの)にとどまり、具体的な表現ではありません。したがって、「著作物」に当たらず、誰かの「学説」と同じ説を採用したからと言って、そのこと自体で著作権の侵害になることはありません。もっとも、ある学説を「論文」にまとめれば、それは「言語の著作

        • キーワード『日本版フェア・ユース』~新30条の4の規定の導入(立法趣旨と条文解説)~

          『日本版フェア・ユース』~新30条の4の規定の導入(立法趣旨と条文解説)~ 新30条の4の規定 平成30年法改正により“日本版フェア・ユース規定”が導入されました。新設された法30条の4がそれです。もっとも、日本の諸事情が勘案された結果、米国型のいわゆる「非常に柔軟性の高い一般的・包括的なフェア・ユース規定」ではなく、「明確性と柔軟性の適切なバランスを備えた複数の規定の組合せ」を前提とした「柔軟性のある権利制限規定(フェア・ユース規定)」を設けることで、情報通信技術の進

        判例セレクション~著作権侵害~

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          条文解説【著作権法第1条(目的)】

          著作権法第1条(目的): 「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」 著作権法第1条は、著作権法の目的を明示するだけでなく、わが国著作権法の解釈や制度運用の基本的な指針を示しています。 ここで、「著作者の権利」とは、「著作者人格権」と「著作権」(いわゆる著作財産権)を意味します(17条1項

          条文解説【著作権法第1条(目的)】

          条文解説【著作権法第2条(定義)第1項第2号】

          著作権法第2条(定義)第1項第2号: 「(1) この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (ⅱ) 著作者 著作物を創作する者をいう。」 第2条は、著作権法において重要な概念となる用語や頻繁に使用される用語の意義をあらかじめ明確に定めることによって、解釈上の疑義を極力避けることを狙った規定です。 著作者とは、「著作物」すなわち「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(2条1項1号

          条文解説【著作権法第2条(定義)第1項第2号】

          著作権Q&A~著作権~

          {Q} 役場の者です。この度、当市に在住する美術作品のコレクターから、その人が収集したすべての作品の寄贈を受けました。この場合、作品の著作権も当市が譲り受けることになるのですか? A 美術作品の寄贈を受けても、その作品に対する著作権まで譲り受けたことにはなりません。 有体物に対する所有権と、そこに表現されている著作物に対する著作権は、そもそも別の権利です。有体物の所有権が移転(譲渡)されても、それに付随して当然に著作権も移転(譲渡)されているわけではありません。したがって、寄

          著作権Q&A~著作権~

          条文解説【著作権法第10条】

          著作権法第10条(著作物の例示): 「この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。 (ⅰ) 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 (ⅱ) 音楽の著作物 (ⅲ) 舞踊又は無言劇の著作物 (ⅳ) 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物 (ⅴ) 建築の著作物 (ⅵ) 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物 (ⅶ) 映画の著作物 (ⅷ) 写真の著作物 (ⅸ) プログラムの著作物 2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第1号

          条文解説【著作権法第10条】

          「原稿の執筆」の契約書式

          [契約書例(文化庁が公開しているひな形)] ▶収⼊印紙の貼付が必要な場合にはこの場所に貼付してください。 契 約 書 __________(以下「甲」という。)と__________(以下「⼄」という。)とは、原稿執筆業務の委託に関し、以下のとおり契約を締結する。 第1条 (委託) ⼄は、甲に対し、以下の原稿(以下「本著作物」という。)の執筆を委託し、甲はこれを受託した。 (1)原稿テーマ︓__________ (2)原稿分量︓__________ 第2条

          「原稿の執筆」の契約書式

          判例セレクション~美術著作物~

          猫のイラストの侵害性が争点となった事例 ▶平成31年4月18日大阪地方裁判所[平成28(ワ)8552] (注) 本件は,「原告イラスト」をデザインした原告が,「被告イラスト」の一部が描かれたTシャツ等を製造販売している被告に対し,①被告イラストは,原告イラストを複製又は翻案したものであり,上記Tシャツ等の製造は原告の複製権又は翻案権を侵害すること,②上記Tシャツ等の写真を被告が運営するホームページにアップロードしたのは,原告の公衆送信権を侵害すること,③さらに被告が原告イラ

          判例セレクション~美術著作物~

          著作権Q&A~著作物~

          {Q} コントや漫才のネタは、著作物に当たりますか? ギャグはどうでしょうか? A コントや漫才のネタは、一般的に、著作物(言語の著作物)に当たると考えられます。一方、ギャグは、一般的に、著作物と評価するのは難しいでしょう。 ネタの内容にもよりますが、コントや漫才では、軽妙な掛け合いがあり、「オチ」があります。そこでは、「オチ」に向かって伏線があり、ストーリーが展開されていくため、作者の「思想又は感情」が表現されていると考えられます。さらに、そのようなネタは、「文芸」の範囲に

          著作権Q&A~著作物~

          条文解説【著作権法第17条(著作者の権利)】

          著作権法第17条(著作者の権利): 「1 著作者は、次条第1項、第19条第1項及び第20条第1項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第21条から第28条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。 2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。」 本条は、著作者が、その創作した著作物について、「著作者人格権」と「著作権」を原始的に取得すること(第1項)、並びにこれらの権利は、登録などの手続き(方式)を要することなく、

          条文解説【著作権法第17条(著作者の権利)】

          コンテンツビジネス『著作権登録のすすめ~活用事例を通して~』

          『著作権登録のすすめ~活用事例を通して~』 ① 著作権取引(ビジネス)の円滑化を図る(著作者であることの公示) ② 将来の円滑な著作権取引に備えておく(著作者であることの公示) ③ 国際的な著作権取引を円滑化に資する(著作者であることの公示) ④ 著作権買取りの潜在リスクを排除する(「二重譲渡」のリスクへの対処) ⑤ 著作権を目的として質権を設定する際の潜在リスクを排除する(著作権を担保に資金を融資する際のリスク管理) ⑥

          コンテンツビジネス『著作権登録のすすめ~活用事例を通して~』

          条文解説【著作権法第2条(定義)第1項第1号】

          著作権法第2条(定義)第1項第1号: 「(1) この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (ⅰ) 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」 第2条は、著作権法において重要な概念となる用語や頻繁に使用される用語の意義をあらかじめ明確に定めることによって、解釈上の疑義を極力避けることを狙った規定です。 「著作物」について定義する本規定は、著作権法で最も重要な概念の1つであ

          条文解説【著作権法第2条(定義)第1項第1号】

          コンテンツビジネス『映像コンテンツの取扱いには特に注意を!』

          『映像コンテンツの取扱いには特に注意を!』 はじめに この記事で扱う「映像コンテンツ」とは、劇場用映画、アニメ、ドキュメンタリー映像、各種のテレビ番組(ただし、生放送は除く。)、ネット動画、ゲームソフト(アプリ)などを意味します。例に挙げたものは、著作権法上、「映画の著作物」に当たります(注)ので、はじめに、この点を確認してください。 (注) 著作権法で使われている「映画(の著作物)」という用語は、一般的な語感とはかなり異っていますので、注意してください。素人が撮影し

          コンテンツビジネス『映像コンテンツの取扱いには特に注意を!』

          「イラストの作成(ポスター・パンフレットなどの作成)」の契約書式

          [契約書例(文化庁が公開しているひな形)] ▶収⼊印紙の貼付が必要な場合にはこの場所に貼付してください。 契 約 書 __________(以下「甲」という。)と__________(以下「⼄」という。)とは、イラスト作成業務の委託に関し、以下のとおり契約を締結する。 第1条 (委託) ⼄は、甲に対し、以下のイラスト(以下「本著作物」という。)の作成を委託し、甲はこれを受託した。 (1)テーマ︓__________ (2)サイズ︓__________ 第2条

          「イラストの作成(ポスター・パンフレットなどの作成)」の契約書式