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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

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    著作権法の基礎知識を、Q&A方式で、できるだけわかりやすく解説しています。

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    著作権法やコンテンツビジネスに関する裁判例を紹介しています。

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最近の記事

著作権Q&A~著作隣接権~

{Q} 私は歌手をしています。著作隣接権を取得するために、どこかに実演の申請や登録をする必要がありますか? A いいえ、その必要はありません。 著作隣接権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない、と定められています(89条5項)。これは、著作隣接権は、著作権と同様に、どこかの機関(文化庁など)に申請や登録などの手続を一切行わなくても、実演等を行うと同時に自動的に付与されるという考え方を明示したものです。このような考え方を「無方式主義」と呼んでいます。国際的にも主流の考え

    • 判例セレクション~映画著作物の著作者~

      著作権法16条の立法趣旨 ▶平成17年08月30日知的財産高等裁判所[平成17(ネ)10009等] 著作権法16条本文は,「映画の著作物の著作者は,その映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作物の著作者を除き,制作,監督,演出,撮影,美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする」と規定しているところ,同規定の趣旨は,映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作物の著作者(いわゆるクラシカル

      • 判例セレクション~言語著作物~

        サイトの名称等の著作物性を否定した事例 ▶平成19年01月31日東京地方裁判所[平成18(ワ)13706] 著作権法による保護の対象となる著作物は,「思想又は感情を創作的に表現したもの」であることが必要であり,「創作的に表現したもの」というためには,当該作品が,厳密な意味で,独創性の発揮されたものであることまでは求められないが,作成者の何らかの個性が表現されているという意味で創作性があることが必要とされるところ,文章表現による作品において,ごく短かい表現,又は平凡で,ありふ

        • 判例セレクション~著作物~

          科学上の発見又は仮説は著作物か ▶平成14年11月14日東京高等裁判所[平成12(ネ)5964] 被侵害部分に記載されているような地層を発見し,その構成を特定し,その層序を決めることは,豊富な経験知識を前提に,膨大な現地調査とそれに基づく根気強い分析をすることを要するものであろうことは,想像に難くない。また,その結果得られた発見や仮説が大きな価値を有することもいうまでもないところである。しかし,著作権法は,発見や仮説そのものを保護し,これらを発見者や仮説の提唱者に独占させよ

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        記事

          著作権Q&A~その他(フリーランス新法と著作権)~

          {Q} フリーランス**(個人事業主)のイラストレーターとして、主に企業からのお仕事を請け負っている者です。著作権について、いわゆるフリーランス新法**との関係で注意すべき点はありますか?   **フリーランス新法では、いわゆるフリーランスを「特定受託事業者」と呼んでいます。特定受託事業者(フリーランス)とは、「業務委託の相手方である事業者(個人又は1人法人)で、従業員を使用しないもの」を指す用語です。一般的にフリーランスと呼ばれる方には、「従業員を使用している」又は「消費者

          著作権Q&A~その他(フリーランス新法と著作権)~

          著作権Q&A~著作隣接権~

          {Q} 著作隣接権とは、どんな権利ですか? A 著作隣接権とは、実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業に与えられる排他独占的な権利のことです。 著作物を創作する者(著作者)には、著作権という排他独占的な権利が与えられます。一方、著作者が創作する著作物を利用する者の中には、著作物を一般公衆に伝達する際に、著作物の創作に準じた、それ自体で保護価値のある準創作行為とも評すべき伝達行為をするものがあります。例えば、音楽番組の制作現場を考えてみると、そこでは、通常、既存

          著作権Q&A~著作隣接権~

          判例セレクション~職務著作~

          職務著作の法意 ▶平成19年9月14日東京地方裁判所[平成19(ワ)11535]▶平成20年07月30日知的財産高等裁判所[平成19(ネ)10082] [控訴審] …… そして,著作者が著作物を創作する者であることは,新・旧著作権法において変わりがないものと解され,前記の裁判例にみられるように,「著作者の精神的所産たる思想内容の独創的表現」,「精神的労作の所産である思想または感情の独創的表白」という事実行為としての創作行為を行うことができるのは自然人であることからすれば,旧

          判例セレクション~職務著作~

          判例セレクション~職務著作~

          法人著作(職務著作)の立法趣旨 ▶平成15年4月11日最高裁判所第二小法廷[平成13(受)216] 著作権法15条1項は,法人等において,その業務に従事する者が指揮監督下における職務の遂行として法人等の発意に基づいて著作物を作成し,これが法人等の名義で公表されるという実態があることにかんがみて,同項所定の著作物の著作者を法人等とする旨を規定したものである。

          判例セレクション~職務著作~

          判例セレクション~言語著作物~

          「創作的に表現した」言語著作物とは ▶平成20年07月17日知的財産高等裁判所[平成20(ネ)1000] 著作権法2条1項1号所定の「創作的に表現したもの」というためには,当該記述が,厳密な意味で独創性が発揮されていることは必要でないが,記述者の何らかの個性が表現されていることが必要である。言語表現による記述等の場合,ごく短いものであったり,表現形式に制約があるため,他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合は,記述者の個性が現われていないものとし

          判例セレクション~言語著作物~

          判例セレクション~著作物~

          運動トレーニング方法に関する独創的な理論は保護されるか ▶平成17年7月12日大阪地方裁判所[平成16(ワ)5130]▶平成18年04月26日大阪高等裁判所[平成17(ネ)2410] 本件において原告Aは,「初動負荷」,「終動負荷」という表現が,自己の創作した著作物であると主張する。 同原告の主張によれば,「初動負荷」とは,「その運動の主動筋を最大限に伸長させたポジション(すなわち,その動作の開始時)において負荷を与えた後,その負荷を適切に漸減することで,主動筋の「弛緩→伸

          判例セレクション~著作物~

          著作権Q&A~著作者人格権~

          {Q} それでは、「著作者人格権」には保護期間があるのですか? A 直接的な規定はありませんが、著作者が「生存している期間」が著作者人格権の保護期間です。 著作権法では、著作者人格権は、「著作者の一身に専属し、譲渡することができない」と規定しています(59条)。これを著作者人格権の「一身専属性」と呼んでいるのですが、著作者人格権は、その人格権としての性質(人の人格と強く結びついているという性質)上、その人格の由来する著作者が「死亡」(会社などの法人の場合は「解散」)すると

          著作権Q&A~著作者人格権~

          著作権Q&A~著作者人格権~

          {Q} 「著作者人格権の一身専属性」は何ですか? A 「著作者人格権の一身専属性」とは、著作者人格権が「著作者の一身に専属し、譲渡することができない」という性質のことです。 著作権法59条に、「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。」との規定があります。これが「著作者人格権の一身専属性」を規定した条文です。少々難しい表現を使うと、著作者人格権というのは、その性質上、一身専属権であること、及び不可譲渡性の権利であることを定めています。 上の規定からも

          著作権Q&A~著作者人格権~

          判例セレクション~建築著作物~

          グッドデザイン賞を受賞した高級注文住宅の建築著作物性が争われた事例 ▶平成15年10月30日大阪地方裁判所[平成14(ワ)1989]▶平成16年09月29日大阪高等裁判所[平成15(ネ)3575] 【イ(ア) 著作権法は、同法にいう著作物を『思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。』と定義し(同法2条1項1号)、著作物の例示中に『建築の著作物』を挙げている(同法10条1項5号)。 ところで、建築は、絵画、版画、彫刻などと

          判例セレクション~建築著作物~

          判例セレクション~著作権制度全般~

          著名キャラクターに対する商標権行為は権利濫用に当たるか ▶平成2年7月20日最高裁判所第二小法廷[昭和60(オ)1576] 被上告人は、乙標章[注:乙標章は、マフラーの一方隅部分に「POPEYE」の文字を横書にして成る]は、商標としての機能を備えて使用されていて、かつ本件商標[注:本件商標は、「POPEYE」の文字を上部に、「ポパイ」の文字を下部にそれぞれ横書し、その中間に、水兵帽をかぶって水兵服を着用し顔をやや左向きにした人物がマドロスパイプをくわえ、錨を描いた左腕を胸に

          判例セレクション~著作権制度全般~

          著作権Q&A~著作者の権利~

          {Q} それでは、「著作権」のなかにも何種類か、権利があるのですか? A はい、あります。 「著作権というのは”権利の束”である」と言われることがあります。これは、「著作権」(著作財産権)が複数の権利から構成されていること、言い換えると、「著作権」から複数の権利が分かれていることをさして用いる表現です(注)。 (注) 著作権から分かれているそれぞれの権利を「支分権」と呼ぶことがありす。 具体的には、次の権利に分かれています: 〇 複製権 〇 上演権・演奏権 〇 上映権 〇

          著作権Q&A~著作者の権利~

          著作権Q&A~著作者の権利~

          {Q005} 著作者には、どんな権利が与えられるのですか? A 著作者には、「著作権」と「著作者人格権」が与えられます。 著作者すなわち「著作物を創作する者」(2条1項2号)は、「著作者人格権」と「著作権」を享有する、と規定されています(17条1項)。つまり、著作者は、その創作した著作物について、著作者人格権と著作権という2種類の権利を原始的に(自動的に)取得することになります。 ここで、「著作者人格権」とは、文字どおり、著作者の「人格的・精神的利益を保護する権利」を意味

          著作権Q&A~著作者の権利~