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判例セレクション~美術著作物~

博多人形を美術の著作物と認定した事例

▶昭和48年2月7日長崎地方裁判所佐世保支部[昭和47(ヨ)53]
二、本件人形「赤とんぼ」は著作物に該当するか。
著作権法の対象となる著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものでなければならないが、前記認定のとおり本件人形「赤とんぼ」は同一題名の童謡から受けるイメージを造形物として表現したものであつて、検甲一号証によればその姿体、表情、着衣の絵柄、色彩から観察してこれに感情の創作的表現を認めることができ、美術工芸的価値としての美術性も備わつているものと考えられる。
また美術的作品が、量産されて産業上利用されることを目的として製作され、現に量産されたということのみを理由としてその著作物性を否定すべきいわれはない。さらに、本件人形が一方で意匠法の保護の対象として意匠登録が可能であるからといつても、もともと意匠と美術的著作物の限界は微妙な問題であつて、両者の重量的存在を認め得ると解すべきであるから、意匠登録の可能性をもつて著作権法の保護の対象から除外すべき理由とすることもできない。従つて、本件人形は著作権法にいう美術工芸品として保護されるべきである。

【より詳しい情報→】【著作権に関する相談→】http://www.kls-law.org/

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