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私の昭和歌謡10 これが青春だ

青春の思い出は今懐かしい歌のメロディー言葉の中に


元気が出る。前向きな気持ちになる。明るく過ごしたくなる。

多くの人が同じように感じる流行歌は、今はない。

オシャレだわ。ひとりぼっちじゃないと思えた。感動して涙が出た。

個人的な感想はあっても、その歌を数人で歌ってしまうような流行歌は、今はあまりないだろう。

Radwimpsや米津玄師やYOASOBIやAdoなんかの歌を同級生で共有して、みんなで歌ってしまう、なんて想像できないし、なにしろ芸名が漢字ひらがなカタカナではないミュージシャンばかりだ。

布施明75歳。現役。

私が布施明を知ったのは「霧の摩周湖」の歌唱力。

ものすごく感動したのは「愛は不死鳥」を紅白で観た時だった。真っ白い衣装の両腕を伸ばして上に上げると羽のように見えた。今だとちゃっちいかもしれない。でもバンドとピンスポット照明だけの舞台で、あの衣装は最高だった。

さてドラマ「これが青春だ」は数回見ただけで、主題歌を歌っているのが布施明だと知ったのはずっと後になってからだった。

ごっつい竜雷太が、ちょっと主役のイメージと違って印象に残っている。しかも、あんな顔してロンドンに留学していたという設定だった。

当時スポーツといえば野球が1番で、部活動も野球部が大人気だったのに、このドラマでは南海高校サッカー部だった。

熱血主題歌と布施明は結びつかない。でも、当時の彼は、まるで高校生のような表現力で、この主題歌をさわやかに歌っている。

とかく、こうした熱血メロディーは響く声で朗々と歌い上げるものだが、不思議な音を声に混じらせて、風が吹いているように感じさせている。

私は女性なのでうまくはだせないが、のどの開け方とビブラートの工夫をしないと、この発声は出せない。彼はごく自然に気持ちよく歌っているのかもしれないが、それだったらなおさら天才だ。

晩年の歌を聴くと、この発声が消えて、もっと情緒的な技巧的な歌い方になっていたので、若い頃の彼が自然にあの声で歌っていたんだなと思っている。

作詞は岩谷時子、作曲はいずみたく。

いずみたくさんは「手のひらを太陽に」や「見上げてごらん夜の星を」「ゲゲゲの鬼太郎」で知られている。この三曲のどれも、突然の高音への跳躍が、すごく気持ちいい。

「これが青春だ」でも、♪ 誇り一つを胸にかかげて ♪ の「ほ」から「こ」がポーンと上がる。だから歌詞の「誇り」って言葉が生きるんだ。

1番はこのあと「怖れ知らないこれが若さだ」となる。
2番は「夢に飛び込むこれが若さだ」
3番は「いつも裸のこれが若さだ」

若さって、誇りのために怖れない、夢を持って、自分らしくってことだと、わかりやすく歌って伝えている。すばらしい!!

こんな歌、平成や令和にはありえない。

私がこの歌詞で興味を持ったのは「七つの海」という言葉だ。

その頃はPCもWikiも何にもないから、父親に聞いた。
「太平洋と大西洋とインド洋と地中海とカリブ海と、わからねえ、地図見て大きい海があと2つ」と教えてくれた。

大人になって、「世界中の海」のことだと理解した。Wikiには中世アラビアから現代までの七つの海の変遷が書いてある。

でも、海洋国家、シーパワーの日本人が思う海は違う。「七つの海」はあくまで西洋人の考えた冒険の言葉だ。

ロンドンに留学してヨットに乗れる先生と落ちこぼれサッカー部員の物語に、岩谷時子さんがグローバルな言葉を使った。ふふふ



【参考資料】

初々しい青春の歌声


熟練してしまった技巧の歌声

これが昭和の青春ドラマ

【先週の過去記事】


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