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私の昭和歌謡31  長崎は今日も雨だった 1969

若き日の旅の行手は最果てのすっきり晴れた長崎のまち


私が長崎へ行ったのは、大学生の夏休みだった。鹿児島から北上して鳥栖駅から終点長崎駅に降り立ったのは夜。そこから続く線路がない!!

これは不思議な感動だった。

大学の寮で同室の3人の家にお世話になりながら、そのついでに、どうしても見たかった長崎と雲仙を回った。

「長崎は今日も雨だった」で、すっかり長崎は雨が多い土地だと思っていた私は、滞在中、サンサンと輝く太陽の眩しさに驚いた。

なーんだ、長崎もフツーに夏は夏じゃない。こんな坂道ばっかりの道で雨が降り続いたら最悪だわな。なんて強く感じたものだった。

さて、クール・ファイブのヒットはたくさんある。でも、私はこの曲が大好き。なにが好きかって。はじまりの言葉とメロディー。

それは小さな頃に見た、石原裕次郎の映画を思い出す感じだから。前から知っているから安心。でも新しい何か、を与えてくれた。

🎵 あなた一人に かけた恋 愛の言葉を 信じたの 🎵
なんとこれだけの短いAメロで、すぐにサビに行く。

🎵 さがし さがし求めて ひとり ひとりさまよえば🎵
このサビへ移る時に、なんとオクターブと3度も跳躍するのだ。

何気なく歌っている前川清だけど、このあまりの短いフレーズを歌ってすぐの高音シャウトは、誰にでも歌えるわけではない。

私は、内山田洋はすごい歌手を拾ったんだと思う。クール・ファイブだからクールだと思ってた前川さんの違う面が「欽ドン!」で爆発した。ボケキャラだ。これは、ほのぼのしたし楽しかった。

この番組でも、けっこう彼の歌を聴いた。当時はレコード買うか、テレビを見るしかなかったから、この番組が前川ファンを増やしたといっても過言ではない。

演歌の歌手なんか、どうせ若い頃苦労してるんだろうから、売れたらそれだけで幸せなんだろうな、と思ったら、さらに。

当時、超売れっ子の藤圭子と結婚してしまった。

私は今でも、歌謡ニュースでハワイかグアムの浜で二人が歩いているシーンを思い出す。小柄な美人の圭子ちゃんとごっつい前川さんは幸せそうだった。

続かねえな。と、周囲の大人が言っているのが聞こえた気がする。

続かなかったw

でも、いい。歌謡界の一世を風靡した男女の幸せな一瞬が、思い出に残ることが、私はうれしいんだ。

作曲の彩木 雅夫はプロだ。使い回しの演歌メロディーもあるだろうけど、それにしても、この曲なんかよくできてるなぁと思う。

それは、歌手の才能によるものかもしれない。誰が歌っていいものでもない、そういう歌い方ができる歌手が才能のある、売れる、こころに残る昭和の歌手だ。

前川清は、そう言う意味で自然体でポッと現れ、自然体で活躍し、美人の歌姫と結婚し、離婚し、今も楽しく生きている。

前川清75歳。現役。



【参考資料】





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