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頭の先から爪先まで…MMAの懐の深さ

僕たちが観ていたもの…そういえばこれはMMA(総合格闘技)だった…

◯コナー・マクレガーVS●ドナルド・セローニ
1R 40秒 TKO

そんな風に呆気にとられているうちに嵐のように終わってしまった試合でした。

ゴングと同時に仕掛けたマクレガーのパンチをかわすセローニ、組合うや否や全身をフルに使った肩パンチを連発するマクレガー。


最初はただの嫌がらせかと思いましたが、離れたセローニの表情を観ると効いている事は一目でした。そこからはもう、百間練磨のカウボーイとは思えない程呆気なく畳み込まれてしまったのです。

マクレガーの勝利者インタビューを聞きながらしばらく呆然としていました。今まで他の試合で何度も見たハズの何気無い動きが試合を左右したという事に目の前の曇りが吹き飛んだのです。「特異な動き」ではなく「何気無い動き」だというのが重要です。

「これはMMAなんだ!」

ルール無用の何でもあり(ノー・ホールズ・バード)が洗練されてMMAへと進化した結果、総合格闘技の「型」が確立されました。

今の主流はボクシング&レスリングです。ボクシングで主導権を握り、倒されてもすぐに立ち上がる。下から抱きついてじっくり攻めようものならよっぽどの事が無い限りそのラウンドは捨てたも同然です。5分×3ラウンド(5ラウンドの場合もあり)という短い時間で優劣をつける訳ですから
最適化されたポイントゲーム
になることは自明です。

競技化は世間への認知に必要ですが皆が同じような戦い方になり、見る側もそれが当たり前になる。
MMAとはこういうものだという共通認識は僕たちの目を曇らせていきます。

「これはMMAなのです」

ルールで許されているのなら何をしても良いのです。頭の先から爪先まで、人体をフル動員して闘うのがMMAなのです。

かつてホイスグレイシーが下から抱き付き、踵でコツコツやっているのを見て使えるものは何でも使うのだなぁと関心した事を思い出すのと同時に

『MMAの全てを許容する懐の深さと、未だ進化の途中だ』という事実を再認識出来た事をとても嬉しく思います。

MMAはボクシングやキックボクシング、レスリングや柔術や柔道を混ぜたものではなく…

「MMAはMMAだ!」

ということを強烈に思い知らされた試合でした。
それが現代MMA最大のスター、コナー・マクレガーの試合で思い起こされたというのはとても感慨深いですね。

※今回の試合で、ウェルター級では背が低くその割にリーチが長~いマクレガーにとって、とても有効な近接攻撃方法が認知された事で、背の高い相手は組みにくくなるし、それが離れて闘いたいマクレガーにより有利に働くなぁと思いました。

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