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【日々是良書】No.3『舟を編む』三浦しをん

春休みが始まって、はや1か月
やっと春休み感が出てきたー!

どんだけ怠け者なんだ、と怒られてしまいそうです。

とは言うものの、講義のある期間は緊張が張り詰めていて、長期休暇が始まっても、緊張感がなかなか抜けないのです。どうしても2,3週間かかってしまいます。

簡単に休みモードに切り替える方法ご存じの方、教えていただけると嬉しいです。

やっぱり、『舟を編む』いい!!

 プロフィールにも書いた通り、小説の中で三浦しをんさんの『舟を編む』が一番好きなのです。すでに2回読んでいて、ドラマをきっかけに3回目を読むことにしました。

考えてみれば、大学に通い始めて長期休暇の度にこの本を読んでいます。

 プロットは、出版社の営業部の所謂文学オタク(?)馬締光也が、向いていない営業部から辞書編集部に引き抜かれ、一冊の辞書を周りの仲間と紆余曲折経ながら、出版するというもの。

この作品の魅力は、辞書編集という興味深い設定もさることながら、登場人物にあるのではないかと思っています。

普段は頼りないように見える主人公の馬締さん、相棒ともいえる西岡さん、途中から配属される岸辺さん、辞書に人生をささげる元大学教授の松本先生、元編集長の荒木さん、馬締さんの奥さんで板前のかぐやさん、、、

兎にも角にも、全員にそれぞれの魅力があって、読むたびに発見があります。

NHKのBS放送で「舟を編む」のドラマがはじまった!

 最近、NHKの「舟を編む」が放送されています。毎週一番の楽しみにしています。
馬締さんのワイシャツにピンピンにノリがかかっていて、もう少しヨレヨレの服を着せなきゃ、、、 なんて思ったりしています。

先ほど、本作は読むたびに発見があると述べました。

今回は、岸部さんの地の文から、気に入った一節を

 たくさんの言葉を、可能な限り正確に集めることは、歪みのない鏡を手に入れることだ。歪みが少なければ少ないほど、そこに心を映して相手に差し出したとき、気持ちや考えが深くはっきり伝わる。一緒に鏡を覗きこんで、泣いたり笑ったり怒ったりできる。

三浦しをん『舟を編む』光文社・2015年、p.233

こんなにいい箇所を、前回なんで読み落としてしまったんだ!!

と思わずにはいられません。岸部みどりさんですが、元々女性向けの雑誌の編集部で働いていたらしく、辞書編集部への異動は不本意なものだったようです。

そんな岸部さんが悟りを開いたかの如く、自らの仕事に誇りと矜持を見出すのです。

学びそのものではないか!

この一節、言葉がいかに大切で、自ら学び取らなければということを、語らせている、と思います。

個人的なことを挟むと、僕は国語が苦手科目だったのですが、大学で勉強をすればするほど、国語が重要なことを身に染みて感じます。
理系の学部に進みましたので、なんとなくしか学んでこなかったような気もします。
しかし、物理学科での勉強が進めば進むほど、論理的にきちんとした文章を読むことや書くことが増えてきました。

少し、シリアスになってしまいましたね(笑)

話を戻すと、彼女は言葉を「鏡」という比喩を用いて、言葉が何か自分の思いを人に伝えたい!という自然な感情を伝える道具である、と穏やかに伝えてくれている。そんな気がします。

辞書を手元に、誰かに手紙が書きたいな! なんて思う訳ですが、残念ながら、そのようなお友達はおりません。(みんな、ラインで連絡します)
そんな友人が現れることを祈りつつ、、、



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