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『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』

[Jan. 8]

今年の観劇一発目はシアタークリエにて。
ついつい2018年の『TENTH』を思い出しちゃったけど、いやぁこの『シャボン玉〜』もキャストの贅沢さハンパなくて『TENTH』の "豪華おせち感" に匹敵したわ。

はっきり言って全然スタイリッシュではないひと時代前のミュージカルだし、物語は突っ込み所もたくさんあるし、芳雄さんはダッサダサだしw(街灯が割れたハプニングを直前に歌ってた「創ろうメロディ」の節に乗せて♪何かが割れてる〜って笑わせながらしかも悠介らしく回収したのは流石だった!)…
いやぁ実を言うと、このキャストで演るの勿体ないんじゃない?なんてちょっと思いながら観てたんだよね…

でも終盤、悠介の想いがラス星人たちを通して佳代に伝わるところの歌と芝居でググッときた。
そしてラストシーンが、年老いた悠介と佳代が亡くなりミラとオリィが再び生を得るところだったのがものすごく良かった。

そしてカテコの2回目、芳雄さんと土居裕子さんを中心としたキャストの皆さん全員で「ドリーム」♪虹色のシャボン玉〜って歌ってくれて、ふと気づいたら濱めぐさん泣いてるし福井さんも畠中さんも理生さんも内藤さんも感極まったお顔で客席を見渡していて…
あゝこの人たち "伝える" とか "繋がる" ことって絶対にできると信じてここに立ってるんだ!そう信じてミュージカル俳優やってるんだ!っていうのがブワーッと来て涙腺崩壊してしまった。

今こんな時代(世界情勢も何やらキナ臭い)だからこそ、"伝える" こととか "繋がる" ことを諦めちゃいけないんだろうし、有無を言わせぬ第一線で活躍するこの人たちが只々真摯にそういう想いを以て私たちの前に立ってるのだと思ったら、彼らのその強靭さが美しくて気高くて震えてしまう。

それに、福井さんや芳雄さんや土居さん・畠中さん・めぐさんたちを通して私たちは正にこの作品が起こした奇跡を目の当たりにした訳だから、その体験は鮮烈で。
奇跡は更に…ミラを演じる内藤さんには自ずと次世代を担っていくことが重なるし、北川理恵さんが「小学生の時から濱めぐさんを観てて」とツイートしてたのにもオォ〜と思ったり。

奇跡と言えば、音楽座が権利を貸与して東宝でこの作品が上演される運びになったのも割とスゴイことなんだと思う。各方面多くの方々の熱意と実行力によるものなのだろう。
そしてこれは音楽座や「日本製オリジナルミュージカル」に関心が向く動きに繋がっていくかもしれない。
有名海外ミュージカルのプリンシパルを務める俳優たちが一堂に会するこのカンパニーで、この作品を演ったからこそ。
それは今のミュージカル界に新たな客層を呼び込むこととか、新しい風を起こすことに繋がるのかもしれない。

今、このキャストで演る意味があるんだな。
そもそも、キャストの皆さんがあんなにも「思い入れ」を前面に出しているということはそれ自体がメッセージであるに違いないのだ。「この人たちがこの作品を演る」という演出なのだ。
なんか凄い公演を観たんだな。

それにしてもこのままレミゼできるキャストだよな〜などと思っていてふと気づいたけど…
よくよく考えたらこの作品、かなりレミゼと通ずるところがある。ミラとオリーに繋がって託されて終わるとことか。
宇宙のライフストリーム的な視点からの叙事詩
佳代とバルジャンの境遇はなんとなく重なるし。

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