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風のはじまり。

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その風は、エッセイのようなもの。
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風のつよい街。

「sunny」という名曲は エラフィッツジェラルドの歌声のものが、ずっと好きだった。 持っていたプレイリストを 全部捨てて旅に出た。 海風が羽音のように両耳でステレオする。 安宿の隣での艶っぽい宴会の歌。 旅先で聴く音はなんでも寛容に脳に録音した。 あれから。 あれから3ヶ月が過ぎ。 風のつよい、かわいた街にきた。 久方ぶりに書き出すと 誰かを演じないとと不遜に、粋がってしまう。 ここは山からの風。 山からの風は、寡黙に人を強くする。 だからこんなに

儚いものばかりだ。

水彩の混ざり合ったところの滲み。 地下鉄にいつも乗ってる 見知らぬ人。 風は湿度を帯びて 霧は風化を誤魔化している。 花と音楽と物語。 ただただ 書き綴る季節もある。 ただただ物語の中の 花もある。 少ないの「おとかず」の ジャズを聴こう。 隙間に見えるのが この街の景色な筈だから。

夕方リラックス。

「ヒヤミカチ節」 登川誠仁 「アイ・アダバ」 asha 「風をあつめて」 はっぴいえんど 「PANORAMA」 The Street Sliders 一時(いっとき)の涼しい風でも探して。 今夜もすこし出ようかな。

うたならべ。

季節が変わる度にプレイリストを新しく作ります。 ランニング用。午前中の集中用。夕方の日暮れウイスキー用。 日の出日の入り、風で変える。 もちろん感覚だけですけれど。 並べてみるのです。 「空へ」 手嶋葵 「Black Gold」 Esperanza Spalding 「Where The Streets Have No Name」 U2 「The Wind Cries Mary」 Jimi Hendrix 「Mama」 Annette Poindexter

カーディガンが好きな人。

さっと羽織れるものが好き。 柔らいもの肌触りの良いもの。 軽いもの。 カーディガンが好きな人は、風が好きな人。 クーラーが苦手で、山より海が好きな人。 風に揺らぐカーディガンが好き。 さぁ今年も買いに行こう。

それで僕も。

歩いている。 考えている。だから走っている。 愛し合っている。 好きになろうと思う。好きになって欲しいと想う。 それで僕も あの歌が好きなんです。 曲の数々を思い出に あつめたいんです。

風に揺られている。

夕方が終わる手前の、 紫色した街を歩いた。 風が気持ちよくて 髪を無造作に撫でることなど どうでもよかった。 ウイスキーでしか 吸収できない 喜びもある。 そう聞いた事がある。 歩いて彷徨っているこの街は まだ何も知らない街。 風に揺られて はやく いい店に迷い込みたい。 夜が本格的に入り込んでくる前に。

魔法のかかる頃。

ある時期のレッチリ。 同様に美空ひばり。 個人的には「思い出の鞄」の頃。 氷川きよしに魔法をかけられたオカン。 昔はチーター。 エレファントカシマシが まだエピックソニーにいた頃の 音楽誌ロッキンオン。 西原理恵子が駆け出しの 魔法にかかる前、 最高に面白かった。 最高に面白かった頃。

チャーリー・ワッツ、ロボット説。

酒場の談義なるものが、本当は苦手だ。 「やってみて」という無言のカモン みたいな雰囲気も苦手。 でも、大抵はやるんですね。大抵はやるんです。 若い頃はそれが本当につらくて。。 仕方なく、よくつかっていたのが 「チャーリー・ワッツ、ロボット説」 ストーンズにはいろんな場面で たくさん助けてもらったな。

呼ばれた気がした。

「これ、夢でみたことのあるな」 そんな風景を追いかける夢をみた。 風はたくさん入ってきて 素肌にまとわりつく。 すこし汗ばんだ首筋を 冷やして覚ました。 みたことの無い景色はそれだけで 自分を無条件に許してくれる。 みたことのない街で迷えば それだけでセクシャルにしてくれる。 ここには呼ばれた気がした。

風のはじまり。

いろいろあったあとに、フッと何かしらの「風を感じる」 そうするとなんだか急に馬鹿ばかしくなったり、 哀しくなったり 背中の真ん中あたりの筋に力が入ったりする。 風のはじまりは、物語りのはじまり。 そして季節は終わりへと誘う。 紫陽花のむらさきと、 遠くで朧げに見えるのボワンと した街路灯の蛍色。 ただただ 書き綴る季節もある。