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CG125 2023#20 点火系配線点検

「点火プラグに火が飛ばない、車両はCG125」

CG125
SUZUKI車か?
聞いたことがないな、そんな車名。
「C」から始まるならHONDA車かな?

点火プラグから火が出ないなら、点検していくところは限定されるので時間はかからないであろう。
ただ、ピックアップやCDIが不調と判明したら、その場で修復はむつかしいな。
まぁ調べてみよう、いろいろと。

まずは車名をググった、見たことがないもので。
ほぉHONDA車ですか、中国・東南アジア向けの輸出専用車ね、そりゃ知らないわけだ。
『輸出専用』といいながら実態は現地生産のようなので、『逆車』とはいえないかな、このクルマは。
スクーターではない一般的な単車のカタチをしているので、点検していくのは、やはり、むつかしくはないであろう。

さて、点火系。
ネット上では点火の不具合を修復した事例が山ほどある。
けれど、どういう仕組みで点火プラグに火を飛ばすのかを、ちゃんと説明できる人は多くないように思う。
ぼく自身も、イグニッションコイルからどれくらいの電力が出力されているのか考えたこともない。
ただ、CDIはそれほど頻繁に壊れるものではないと思っているし、まして、東南アジアの過酷な気候のもとで生産されている車両なら、熱対策や漏電対策もされているであろう。
ということは、妙な改造を施したか結果か、配線のどこかがおかしい可能性が高い、と予想した。
なにはともあれ、配線図が要るけれど入手できるだろうか?

つくづくラクになったと思う。
「電路図」が広東語か?で表記された図がネット上で見つかった。
中国語が読めるわけではないが、配線図は読めるので用は足りる、かなりめんどくさいが。
実車を見るまでにたまたま時間があって、配線図をじっくり眺めることができたので概略は理解できた。
実車と合致しているか?との問題は残るが。

当日、指定された場所に行ってみると、オーナーがすでに待っていた。
待ち合わせから2分の遅刻だったけれど、なんとなく気まずい。
到着したら連絡します、と伝えておいたんだけどな。
案内されて実車のところへ行くと、かなり大がかりなことをやろうとしているのがすぐにわかった。
車輪とエンジンはついているのでバイクだということは判るが、メインハーネスの被覆がはがされて電線が1本ずつ確認できる状態になっていて、医療系の血管標本のような様相である。
ハンドル周囲の電装品は、メーターはもちろん、左右のスイッチも社外品に替えようとしていたのか、電線が前輪の周囲にぶら下がっている。
依頼内容はむつかしいことではないけれど、こういう探求心の強い方はちゃんと説明をしてやらないとな。

「セルは回るけど、プラグに火が出ない。1本、どこにつなぐかわからない線があって、これを解決すればよいと思っている」
さて、どうだろう?
まずは、その正体から見極めていくのがよかろう。
その正体不明の線は、CDIからイグニッションコイルにいたる線から分岐されている。
線の色と配線図とを見比べてみると、色が合っていないが間違いない。

これタコメーター用の信号線です、タコメーターを使わないなら外しておいて構わないですが、点火のたびに電気が流れますから絶縁をしっかりしないと危険です、ヒューズがトびますよ。
「あ、ヒューズ切れたことがあったな、これのせいだったのか。ヒューズは交換してセルは回わるようになったんだけどな」

セルは回わる、しかし、火はでない・・・CDIか、やはり?
配線図上、CDIは4ピンで書かれている。
基本的なヤツだ。
が、実車のCDIは、4ピン+2ピンの6ピンで構成されている。
うむ、これだな、火が出ない原因は。

キルスイッチはですね、2つタイプがあって、ひとつはメインの電源を切っちゃうんですが、もうひとつは点火の信号か電源を切るんですね。
点火を止めるタイプのキルスイッチは、CDIにつながっているので原因は、たぶん、そこだと思うんです。
ただ、持ってきた配線図と実際のCDIが違っていて、どの線がキルスイッチの線か、すぐには判らないかもしれません。
「それなら、一度ネット検索したんで見つかりますよ」
と、スマホを覗かせてくれた。

ネット情報は全面的に信頼することはできないですよ。
と言いながら、2ピン側の線をたどっていくと、ハンドル方向に伸びているのが判った、実際には前輪のそばだけど。
途中でコネクタがあったので、
これを外せばよいはずです、ネット情報が正しければ。

と、試してみると、火は飛んだ。
よかった、よかった、ネット情報が正しくて。

ちなみに、血管標本。
動脈は赤で静脈は青で示されているけれど、じっさいには両方とも赤くて、血流がないと黒っぽくなる。
正しいかどうかは知らない。

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