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SUPER HAWKⅢ 2023#33 キャブレタスプリング交換

スロットルが重い気がするので、弱いスプリングに替えたいと言う。
やってくれと言われればやりますよ。
だけど、オススメしませんよ、これは。

スロットルを開けるのは軽くなるかもしれません。
開けるのが軽くなるということは、閉じるのも軽くなります。
つまり、閉めようとしているのに、閉まらないことが起きるかもしれないです。

考えてみましょうよ、歩行者のいる交差点を曲がろうとするとき、極低速に調整するじゃないですか。
リアブレーキを当てながら、クラッチを操作して速度をコントロールするのですが、そのときにどれくらいスロットルが開いているのか考えてみたことあります?
あれ、場合によっては完全に閉じているんですね。
それが、閉じないかもしれないんですよ。
自分の意識は閉じようとしているのに、です。
これね、スロットルのケーブルを交換したときに、どこかに引っかかったり、長さが合ってなくてハンドルを切ったときに引っ張られちゃう事象と同じです。
ケーブル異常のときは、どういう場面で、どのくらいハンドルを切ったときに起きる、と予測ができるのだけれど、キャブレタ本体をいじっちゃうと予測がつきづらいですよ。

もうひとつ。
古いタイプのキャブレタ、80年代半ばくらいまでのものかな、は、分解しちゃいけない箇所があります。
嵌め込まれているジェットだったり、バタフライだったり。
スプリングを替えるにはバタフライを外さないとならないです。
バタフライを固定しているネジは、先端が割れるように加工されて、外せないようにされているものがあります。
無理に力をかけて外すと、ネジやネジ山から金属粉が出てキャブレタ本体の中に入り込んじゃう可能性があります。
もちろん、細心の注意を払ってそうならないようにしますし、ネジが加工されていないかもしれません。
要は、キャブレタの不調を引き起こすかもしれない、ということです。

それでもやりますか?

やるんだって。
ネット上の作業事例を見て、そんなに大変なことではないと思っているフシがあるけど、教えてくれたブログには、重要な工程が載っていない。

それは、バタフライシャフトとスロットルリンケージを固定しているピンを抜くこと。
ピン、といいながら、板を丸めて外径2mmほどの中空棒状に加工したもの。
穴に刺した後、拡げて外れないようにしてあるはず。

気の短い人はボール盤で削りとばしちゃうのだろうな。
ぼくは気が長い、といえるかどうか知らんけど、潤滑剤を吹いては叩くを繰り返して、抜いた。
代わりになる部材が思い浮かばなかったせいもあるし、実はキャブレタを分割しないでやっている。
分割したら、燃料ラインのOリングを替えないと不安だし、同調の取り直し、アイドリング調整も必要になるので。

けっきょく、ピンを抜く作業だけで2時間近くかかったかな?
後は簡単、といいたいところだけど、バタフライの裏表を間違えたり、ワッシャーの位置がわからなくなっていたり、組み立てもかなりめんどくさい。
なにしろ、非分解指定の部位なので、パーツリストを見てもわからない。

車体に載せるのはそれほど大変ではない。
始動してみると、アイドリングが安定しているので、懸念した金属粉の混入はなかったのであろう。
もうひとつの懸念、閉じづらくなる、はやはり反応が遅くなったことにより出現したように感じる。
けれども、閉じないわけではなさそうだ。

とはいえ、閉じなくなる可能性がなくはないので、しばらくは慎重に乗ってください。

劇的ではないけれど軽くなってラクになった、そうだ。

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