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ゼファーχ改 2023#71 タコメーター換装

この事例は、根拠の薄い話に基づいていることを最初にお断りしておく。
ゼファーχにゼファー400のイグナイターを載せた後、タコメーターを調整した話。

タコメーターは大きく分けて、ふたつのタイプがある。
ひとつは点火ユニットが発出した信号をカウントするもの。
カウントした数値を表示するものを「デジタルメーター」と呼ぶことがあるが、動作原理でみれば、たとえ針で示すものでも電気式タコメーターはすべてデジタルだといってよいと思う。
もうひとつは、エンジン内で回転しているシャフトに歯車を噛ませるもので機械式と呼ばれ、今は見かけることがすくなくなった。
単純な方式だけど、製造工程での加工がむつかしいのと、潤滑油のシールも合わせて設計しないとならないし、結果としてメンテナンスも大変だから、が理由だと思う。

電気式タコメーターは、歯車や伝達ケーブルを必要とせず、電気信号で動作されるので汎用性が高いとみてよいかと思う。
ただ、変換もとの電気がどのようなもので、どう変換しているかはサービスマニュアルにも書いていない。
もとの電気がどこから発生しているかは配線図をみれば判るが、どのようにして変換するのか、あるいは、変換しないでそのまま使っているのかは全く判らず想像するしかない。
日本精機に問い合わせたら、意外に教えてくれるかもしれないが、データシートなんかもらったところで活用できるとは思えない。

ゼファーχのタコメーターはイグナイターとつながっている。
ピックアップコイルからの信号をカウントするのだろうか。
ゼファー400のほうは、片方のイグニッションコイルにつながっている。
ということは、4発のうちの半分しかカウントしていないことになるので、1回の信号を倍に換算しているのではないだろうか。

ゼファーχのタコメーターを、イグニッションコイルにつなぎ替えたとき、実際の回転数に比べて倍近い触れかたを針がするのであれば、仮説として外れていないだろうと考えた。
試しにやってみると低回転ではそれなりの触れかたをしているようだけれど、少し回転をあげると低めのほうを針が指しているように見えた。
ふむ、信号の発生回数をカウントしているのではないってことか。

イグニッションコイルに送られる電圧は、クランクシャフトの回転数に応じて、変化があるとは考えられない。
エンジンが暖まると点火しやすくなるから、高回転時に低い電圧でイグニッションコイルを使うことも可能かもしれないが、逆にいえば始動時には高電圧が必要になる。
通常は電気がきてなくて、点火するときだけ電気がくる、と考えていたけど、点火しないときも通電していて、電圧の変動を変換しているのだろうか?
うむむ、電子式メーターの基本原理はアナログ式ってことか。

やはり、ゼファー400のイグナイタを使うなら、ゼファー400のメーター以外には使えないのだろうか。

ならば、ゼファー400のタコメーターを、そのままゼファーχのメーターケースに収めることはできないか?
メーターパネルのネジ位置は同じだから、最悪は針を動かしているユニットだけ付け替えられるなら簡単だ。
と、それぞれケースから取り出した。

ゼファー400用は燃料計がついているのでやや大きく、スピードメーターとは独立したケースになっている。
カバーをとめるためのネジをケース内に通すので、メーターユニットの形状はまん丸ではない。
できれば加工なしでゼファーχのメーターケースに収めたいが、早々にあきらめて燃料計部分を撤去した。
削れるところは削っていき、なんとかおさまりそうな大きさ、の手前になって気づいた。

奥行きがまったく違う。
ゼファー400のタコメーターは針のシャフトが長く、奥行き方向は削れない。

ダメだこりゃ。
先に測っておけば、余計なことをしないで済んだのに。
すでにメーターパネルが外れ、針の駆動機構になっている二つのメーターユニットを前にして、しばし呆然と見比べていた。
同じようなもんだけどな。
ゼファーχ側のメーターケースも削ってしまったけど、このまま元どおりに戻すしかないか。

と、方針を決めたときに、ふと考えた。
調整だけはやってみるか。
ただ単純に元に戻しただけなら、どうせまともに動かないからな。

アナログメーターの針には、調整用の機構がついている。
時計にもあるし、サーキットテスターにもある。
そして、タコメーターにもある。
半可変対抗器なので数値化もたやすい。
測ってみると、ゼファー400用は6.90Ω、ゼファーχ用は3.60Ωと出た。
ゼファー400用タコメーターはイグニッションコイルに送る電気を使うのに対して、ゼファーχはイグナイターからタコメーター駆動用の電気を流しているので、6.90Ωに調整してイグニッションコイルと接続すれば、そのまま使えるかもしれない。

実験は、プラグコードに巻いて回転数を検出するデジタルメーターを併用して見比べてみることにした。
アイドリングくらいの回転数では、だいたい一致することがわかった。
デジタルメーターのほうが反応が早い分、誤差が出て、針が1500を指すときに、1400から1600くらいの数値が表示される。
少しスロットルをあおってみると、針が追従して動き、閉じれば即座に戻る。

驚いたねぇこんな事例はネットで見たことないよ、なんでわかったの?
と、ゼファーχ氏に訊かれて答えたのは、
「カンです」

ですが、正確な表示になっているとは思えないです。
いいよ、キャブレタの調整ができればいーんだもん。

最初から、デジタルメーターに付け替える考えはなかったのだろうか?


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