見出し画像

Vestar150 2024#32 クランクケース組み立て

クランクケースを合わせた。
単気筒エンジンならそれほどむつかしい作業ではない。

あまりこだわらなければ。

こだわるポイントはいくつかあるけれど、まずは、合わせ面をしっかり整えること。
オイルストーンを使えば大丈夫でしょ?的に軽く削っている場面をネット動画でよく見かける。
その作業自体は間違っているとは言わないが、最終的にストレートエッジを当てることをやる人は、一般ユーザーではいないであろう。
そんなもの、どこに保管しておくんだ?てなことになる。
まぁ、金属製の定規をあてがったところで、なにか読み取れるかわからないけれど、それすらもあまり見かけない。

合わせ面は液体ガスケットを塗るので、それほど時間をかけてオイルストーンを当てなくてもよい気もする。
ぼくがじっさい使っているのは、耐水ペーパーだし。
ただ、できるだけ薄くまんべんなく液体ガスケットを塗るのは、かなりむつかしい。
薄すぎればシールできないし、厚塗りすれば内側に漏れてしまう。
しかも、オイルを入れてみないと、もっといえば、エンジンを始動させないと、液体ガスケットの分量は正解だったのかわからない。

そして、意外と知られていないこだわりポイントがもうひとつある。
それは、クランクシャフトの位置。
上下で合わせるクランクケースの場合は、シムを入れたりしてクランクシャフトの位置を調整する。
左右で合わせる小型エンジンは、意外とクリアランスが広くて、クランクケースにクランクシャフトを収めるときに調整が必要である。
センター出し、と表現されることが多いけれど、実演を目にすることはあまりない。
見せてしまうと、やたらとクランクシャフトを叩いて、使用不能にしてしまう輩が増えることが懸念されるから、なのではないかと思う。
一回くらいは叩いてダメにするのも勉強だけどね。
一般的には、クランクケースの合わせ面が、コンロッドの中心にきていればよい。
排気量の大小に関わらず、この作業はこだわったほうがよいと思う。
わずかなズレは、ピストンの首振りや、シリンダーの偏磨耗の原因になって、耐久性が著しく悪くなるからだ。

理屈の上での話、なので、どのくらいのズレが、どのていどの悪影響を出すのかはわからないが。

と、クランクケースはフタをした。

続いて、オイルポンプドライブギアをつけましょう、の段で困ったことをやらかした。

ない、ピンが。

Vecstar のクランクシャフト右側は、2つギアが切られている。
ひとつはカムチェーン用で、クランクケースに近いほう。
根元のほう、といったほうがよいかな。
もうひとつのギアは、なんと、使わない。
ギアには見えるけれど、じつはオイル循環・撹拌用なのかもしれない。
つまりは、歯車としては使わないってことだ。
そこに、小さな穴があいていて、ピンを挿してオイルポンプドライブギアと嵌合するように作られている。

そのピンを、無くした。
クランクシャフトを収める作業は、案外力仕事だから、振動でテーブルが揺れた拍子にどこかへ飛んでいったらしい。

誰だよ、こんな設計にしたやつ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?