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GPz550F 2023#63 折損スタッドボルト除去

なんだかんだで、折れたボルトを除去することが、年に一度はある。
今年は2本目、いずれもM6である。
このサイズは、ヘリサートがきかないことは学習済みである。
もしかしたら、4mmの穴を開けられればヘリサートがきくかもしれない。
が、M6の中心を外さずに、4mmの穴を開けられるほどの設備は持ち合わせていない。
たとえ、正確に回るボール盤があったとしても、折れたスタッドボルト1本のために、オイル漏れもしていないエンジンからシリンダーヘッドを外すことはしないだろうと思う。

さて、GPz550F、セミダブルクレードルフレームである。
そして、その3番シリンダーの下側スタッドボルトが対戦相手。
かなりの難敵といってよい。
やったことのない人には伝わりづらいかと思うが。

狭い、というよりも、ダウンチューブと干渉するので使える道具が限られる。
埋没しているスタッドボルトの残骸にポンチを打つことすら難しいスペースである。
じっさい、ぼくが持っているセンターポンチは短いので、使うことをあきらめた。

ではどうしたか?
埋没している、折れたボルトの先端を整えるために、電動ルーターを使うことにした。
電動ルーターならチャックがダウンチューブの干渉を避けられる。

ボルト穴の内壁を削らないように、慎重に研磨ビットを差し込んで、折れて斜めになっている部分にあてがってみた。

すると、予想以上に削れる。

しまった、シリンダー側を削ったか?
と一瞬思ったがルーターの角度を見なおして考えなおした。

このスタッドボルトはアルミ製ですか?
わからん、Amazon で買ったものだよ。

アルミ、なんだろうな、きっと。
拡大鏡も導入して、できるだけ中心を外さないように削っていくと、わりあい簡単に先端は整った。
続いて極細ドリルに歯を付け替えて、やはりできるだけ中心に穴を開ける。
穴は開ける、といいながら、さらに太いドリルが食いつくくらい程度で終了。

その後使うのが、逆回転ドリル、今回初登場である。

たしか「逆回転ドリル」で検索をかけたが、なかなかAmazonでは見つからなかった。
ようやく手ごろな価格で見つけたものは、インチサイズで1/16から1/4インチまでの13本セット。
メトリックに換算すると1.58mmから6.4mmくらいになるけれど、今はじめて計算してみた。
1/16インチドリルを回したところで、電動ドリルでは1.8mmくらいが開いてしまうので気にしても意味がないと考えていたからだ。

バイクで使うM6ボルトは、下穴径が5.5mmくらいなので、これをインチ換算すると、3/16と1/4の中間くらい、正確に加工できるのであれば7/32インチが妥当と思う。
今回は埋没している折損ボルトを抜くのが目的なので、4.0mmくらいを使うことにした。
これは、インチ換算すると5/32インチになる。
と、若干アカデミックになってきたけど、あてがってみてどれが適当か?と探したら5/32インチだった、が実態である。

電動ルーターでキズをつけた点に、逆回転ドリルをあてがって、回すこと数分、運よく折れたボルトが回りだした。
これですよ、狙っていたのは。

埋まっているボルトの残骸は、5mmくらいの予想だったので、2mmくら頭が出てくるまで逆回転ドリルをあてがい、その後は電動ルーターで加工して、最後はマイナスドライバーで回して抜いた。
折損ボルトを抜く作業にしては簡単に終わったが、逆回転ドリルと電動ルーターの功績が大きい。

なお、電動ルーター。
「リューター」は日本精密機械工作社の登録商標なのを今回調べてはじめて知った。
ルーター、といったら、IPアドレスを持つものだと思っていたが、「リューター」とは区別しなくちゃいけないんだな。

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