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バリオス2 2023#26 イグニッション電源ブースト

妙なことを考える人がいるものである。
そして、その妙な話に乗る人もまたいるものである。
そうして、真実とはいったいなんなのだろうと考えさせられる。

ガソリンエンジン車にはイグニッションコイルが載っている。
入ってきた電気をコイルを通して、火花が出るくらいに増強する機器である。
かつては6Vを入力にしているものもあったが、いまどき街を走っているバイクはたいてい12Vで動いている。
その12Vでも、まだ火が弱いと感じた人がいるようで、いっそ16Vにしたらもっと強い火が出るであろうと考え、そして、それを製品化したらしい。

話をはじめて聞いたとき、いろいろと疑問が浮かんだ。
第一に、イグニッションコイルの耐久性を越えないのか?
第二に、入力を大きくすると出力も大きくなるものなのだろうか?
やってみないとわからない。
が、やってみると、思わぬことがわかるかもしれない。

疑問を解消しないまま車両のある場所へ向かい、作業を始める前に、これはかなり乱暴な改造だけど、本当にやりますか?とあらためて尋ねた。
部品は用意してあるので、やらないとは言わないだろうけど、少しでも異常を感じたらすぐに元に戻したほうが良いとも伝えた。

やることといえば、イグニッションコイルの入力側の配線を、ブースターと呼ばれる器具に接続し、その出力をイグニッションコイルにつなぐ。
ブースターはよくあるレギュレートレクチファイアのようなスタイルで、放熱フィンをもつアルミのケースから、ケーブルが数本伸びている。
3端子レギュレータかアンプIC、コンデンサーで構成されるのであろう。

ひととおり、つないでみてキーをオンにすると、確かに16Vが流れている。
スタートボタンを押すと、当たり前のようにエンジンは始動した。
すごいチョークを使わずに一発で始動するなんて、と、オーナーは絶句していたが、果たしてブーストした効果なのだろうか?


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