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みこちゃんコンテスト第1回講評集~10/20分

みこちゃんの寄稿です。第1回の楽しい思い出を振り返りたいと思います。
すでに第2回の応募数は2週間で前回を越えましたが、第1回のチャレンジが皆様のおかげで大成功に終わったので、それがこうして第2回に受け継がれているのだと思います。

noteの私設賞では、エントリ作品数も最大級の私設賞となりました。

第1回を支えてくれた応募者の皆様に感謝しながら、あのイベントを涙拭きつつ(/_;)
振り返ってみたいと思います。

こちらから第1回みこちゃんコンテストのすべての作品をすべてお読みいただくことができます。

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みこちゃんより、小説分野5作品講評させていただきます。

人形への愛とは不思議なものですよね。
かつて澁澤龍彦は『人形愛序説』という名著を書いていましたが、それを思い起こしました。

人形とは空虚なのに愛情を注げば何かが満たされていくように思える。
でもそれと同時に、決して動かない人形には空虚な印象が拭えない。

それでも自分で愛情を注ぐ事によってその空虚さは減っていく。

「失って初めて気づく
空っぽなのは自分で
お前には愛が詰まっていたのだと」

非常に印象的な締め方だなと感銘を受けました。


人間にも顔貌がある。
笑ってないのに笑っているように見える。
不機嫌ではないのに、どうしてそんなの不機嫌な顔しているの。
そんなことを言われてしまったりする。

そして怒っていないのに怒っている。
怒ってないよ、そう言いたくなりますよね。

「夜中に布団持ってかれた」

怒った顔には一瞬なったのかも知れない。
でも怒ってはいない。

いうなれば、少し肉体が不機嫌になったのかな。

感情とは面白いですね。
人間は感情を説明することもできる。

怒っているのかどうかは、分からない。
「怒っているの」
そう聞いてみてみると「怒ってないよ」

そんなやりとりもまた、愛情に溢れているなと、暖かい気分になりました。


恋の思い出だけでも人は生きていける。
そう思えます。

思い出は決して後ろ向きじゃない。
思い出を忘れることが前を向いて歩くことではなくて
思い出のおかげで背中を押されるように前に歩ける。

ケンちゃんの小説はいつもそうです。

後ろから今の自分を押してくれる。
そんな思い出を限りなく大事にするのがケンちゃんの小説。

「バイビーム」

ピストルかあ…。
ケンちゃんの商売道具だね。

過去と今はつながっている。
ケンちゃんの小説はいつもそんなノスタルジアを、読者の心に吹き込んでくれる。


平易な描写の中に何か大切なことを描写する。

これがいかにむずかしいものであるのか、わたしも小説を書くのでそれはとても良くわかります。

伊藤緑さんの小説は、まるで太宰治のように平易になのにいきなり心に飛び込んできます。
電話越しというもどかしさが逆にその方の切実な思いにつながっている。
ここは見事だなと思いました。

工夫されているのにそう思わせない。
小説というものをすごくよく知っている方なのだなと、改めて思いました。

「一日経って、二日経って、一週間、十日。連絡がきました。どぉ? っていう、真面目な。」

連続した時間の経過の中に電話越しの思いが充満する。

よく聞く言葉で、会って話せばわかる。
こういうのがありますけど、ほんとはちがうと思います。

会わないからこそ近づけるものもある。
言葉で議論を交わさなく、「ラ」のみで感謝も別れも生まれる。

「ラ」に文字としての意味はない。
でもそこには静謐な出会いと別れがある。

もしかすると、人類最初の言葉は「ラ」だったんじゃないかな。
そんな気がしました。

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第2回THE NEW COOL NOTER賞への、みなさまのエントリーをこころからお待ちしております。

■募集期間  ―― 令和2年12月1日~令和3年1月15日まで
■応募方法

#第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞 」のハッシュタグをつけてください。
特定の部門へのエントリを希望する場合は、さらに「 #第2回THE_NEW_COOL_NOTER賞 ○○部門」を付けてくだされば、各審査委員が拝見します(必須ではありません)。
※希望する場合は複数の部門への応募が可能です。

また、お一人様何作品応募いただいても構いませんが、授賞対象は1作品までとさせていただきます。
なお、過去作品でも応募可能です。その場合も、同様にハッシュタグをつけていただけるだけでエントリとなります。

よろしくお願いいたします。

参加者同士の交流の場所を設けてございます。
お気軽にご参加ください。

*なお講評は分担制にしているため、必ずしも応募順に講評結果が発表されるわけではございません。よろしくお願いいたします。

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