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男の花道映画なんだから拍手で送ってやろうよ「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」(文句はあるけど…)

「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(Indiana Jones and the Dial of Destiny)」を観る。

なかなか複雑な気持ちの残る映画であった。
ネタばれ配慮せずに書いてるんで、ごかんべん。

そもそもそんなに期待していたわけではないでしょ。だって凡作「クリスタル・スカル」で一旦終わったと思ってたじゃん(これ以上作らないでほしい、晩節を汚さないでほしいって)。
それでもなお企業側は、80歳を超えたハリソン・フォードを「先輩、これで最後にしますんで」「ファンのためにぜひとも!」と引っ張り出して、映画史に残るメガヒットフランチャイズを再始動・継続運営させようって目論見でしょ。それはIPが自社のものになったディズニーの戦略としては、「フォースの覚醒」と同じ考え方なわけで間違っちゃいない。ただ「スター・ウォーズ」と根本的に異なるのは、主演俳優=キャラクターが固定されているので、再始動の検討=インディアナ・ジョーンズの幕引き、というテーマになるわけです(デジタルヒューマンで未来永劫作ることもできる=そのあざとい実験も今回やってるんだ)。

だから、「いかに終わらせるか」ということに終始する映画になったんだ。

ポイントとしては、「40年来のオールドファンへの接待」と「新規層の獲得」だ。このミックスが可能なことは、去年トム・クルーズが証明してくれてるんだ。うるさ方は、なんだかんだ言ったって必ず見るんだからほっておけばいい(僕のことね)。昔見た人たち、つまり最近は劇場に映画なんか見に行かない連中には、「インディ・ジョーンズ好きだったんだよね~」とノスタルジーをくすぐれば引きずり出せる。「トップガン」や「スラムダンク」のおかげで、「たまには映画館もいいもんだ」って習慣もついてきた。だから、後は新規層をどうするか。「スパイダーバース」をクールと思ってる世代には、さすがにおじいさんのアクション、は刺さりにくいだろう。なので、興行のカギは若い客を呼べるかどうか…なんだけど、実際売り手側は、そこまで期待してないんじゃないか、と思ったり。

かくして、オールドファン(僕)は、いそいそと繰り出したのであった。府中で土曜のレイトショー。面白いくらい、年齢層が高い。白髪のご夫婦と、おっさんおひとり様。間違いなく「懐かしい」「ハリソン最後なんだし観ておくか」の連中だ。

冒頭、ディズニーロゴは、わかっちゃいるけど複雑。続いてのパラマウント。ここからの恒例オーバーラップはない。で、ルーカスフィルムロゴからのアレが重なる(意味がないのはOK)、というわけだ。もうこの時点で「違う」んだよ。

中身はとやかく言わない。だってデキはよろしくないんだもの。突っ込みは尽きない。超自然要素はそっちに行き始めると、もう収集つかないよ。「ザ・フラッシュ」と同じで、「責任とれるのか?」レベル。でも、責任とらないんだろう、フィクションなんだから。だから、揚げ足とるのもなんか野暮な気もしてさ。

50年以上働いてきたハリウッドスターが、80歳超えて自身のキャリアを決着したんだよ。だから、花道作ってあげたってことじゃん。そんな映画があってもいいわけで。

FC継続の考え方としては、主人公となった女考古学者が1970年代以降の現代を舞台に、世界各地のオーパーツを求めて大冒険…ってシリーズがプラスで始まるってことでしょう。金に執着する女主人公は、次第に考古学への情熱が高まって、師匠インディアナの意思を継ぎ、「ウォンバット・ジョーンズ」の名を襲名するんだ。仲間はいろんな人種のD&I。オールド・ファン向けにショーティも重要な役割で出しちゃえ。
フィービー・ウォーラー=ブリッジの面白さは「フリーバッグ」ありきなんで、今回は顔見世としては戸惑うだろう。なので、FC継続には大ヒットが必要なのだが…。
彼女の毒気が今後活かされていくなら、僕は楽しみにします、一応。

ウナギ問題は見てるときにも引っかかってたんだけど、なっちゃんが86歳と知って、もう怒る気なくなっちゃった。あれは仕事を振った会社のほうが悪いんだ。引退させてあげて。

今回、あまり名前の出てこないジェームズ・マンゴールドはさ…よくぞこんなプレッシャーを受けたよな、と感心。「LOGAN/ローガン」も老人が引退する話だったことを思うと、人選は間違っていなかったような気がする。あ、この人、僕と同い年でした。

※バジェット$294,700,000は異常です。いくらなんでも。

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