ふと、思い出したこと

私がまだ幼稚園ぐらいの頃、母が親バカだったのだろうが何をとち狂ったのかある劇団の子役の入団オーディションに私を受けさせた。

当時、有名な男の子の子役が主役のドラマがTVで大人気でそれにあやかろうと思ったのかもしれないが、私自身もその有名子役のドラマは良く観ていたのでオーディションに受かって入団出来ればTVに出て活躍出来るかもと母から吹き込まれて結構その気になってたかもしれない。

オーディションは面接と実技で、実技はうさぎのまねをしてぴょんぴょん跳ねたり、ライオンや象の真似をしたりと劇団側のお題に沿ってするもので自分なりに出来る限りのことはしたような記憶はある。

オーディションの結果は後日連絡するとのことで、期待に胸を膨らませて帰ったと言いたいところだけど、結構な人数がオーディションを受けに来ていたので正直なところとても合格出来るとは思えず、私自身子供の頃は結構飽き性でもあったので暫くするうちにすっかり子役への関心は薄れていた。

そんなすっかり子役への関心など薄れた頃にオーディションに合格したと電話で連絡があった。母はまだ諦めてなかったのか結構乗り気で合格したけどどうすると私に尋ねてきたが、すっかり関心が薄れていた私はやりたくないと散々駄々をこねて結局入団は断ることになった。母は残念そうだったが流石に無理強いはしなかった。

それから暫くして劇団のことなど忘れかけていた頃に、ある日叔父さんから電話があり、あの劇団が劇団の社長が金を持ち逃げした為につぶれたと連絡があった。

どうやら入団オーディションはお金集めの為のもので合格者はいろいろな名目で劇団に結構な金額のお金を払っていたらしい・・・

私のオーディションの合格は単なる金集めの為に何の才能も無いのに合格とされたのか、或いは才能あふれる前途有望な稀有な子役候補であったのかは今も謎のままである・・・


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