人生をRPGで例えると今はどのあたりなのか

Books&Appsの安達さんが書かれた「なぜ35歳を超えると頑張らなくなるのか。それはロールプレイングゲームの終盤と同じだから。」とココナラの南さんの「40歳の絶望」の話を組み合わせてみると結構面白いことが見えてきます。

前者の話は、簡単にいうと、35歳を超えたあたりから、かつて活躍していた人材が急激にパフォーマンスが落ちるという現象を、「RPGであとはラスボスを倒すだけだけど、ラスボスを倒さずにゲームをやめてしまう」現象に例えたものです。すなわち、次のような状況です。20代の頃の仕事への取り組みをゲームに例えると、RPGを始めたばかりで、敵を倒したり新たなシナリオを経験したりすることで学びや成長も多く毎日が新鮮に感じます。

一方で、35歳ぐらいを超えてくると、仕事の環境は、RPGの終盤でやっているような同じことの繰り返しでレベルもある程度上がって、やっていることは雑魚を倒すだけで、さらにはネットの情報等でラスボスを倒すとどうなるかも見えてしまっているような状況と言えます。つまり、少し上の先輩をみていると今後のキャリアも見えてきて、さらに年功序列が拍車をかけて、昔のように頑張らなくても給料は上がっていくような状況です。

一言でいうと、35歳を超えた状況は、(人によっては)RPGの終わりが見えてしまっているので、やる気がなくなってしまうような状況と言えるでしょう(ちなみに、「なぜラスボス直前でゲームをやめてしまいうのか」ということについては多くの考察がなされています)。

他方、後者の南さんのブログはさらにその先の話を描いています。具体的には、40歳を超えた場合、毎日に変化がそれほどなく、過去の延長線上にしか自分の未来が見えない状況を説明しています。

つまり、35歳を超えたあたりでは、RPG終盤のように、仕事がイージーに感じて、やる気を失いパフォーマンスが下がってくるだけですが、40歳を越えると自分の可能性と限界が見えてしまい、(人によっては)イージーどころか人生に絶望までしてしまうような状況に陥るというわけです。

RPGでいうと、あとはラスボスを倒すだけで敵を倒しても大して面白くはなく、経験値もお金もたくさん持っていて、ゲームは全く面白くないのに、次のゲームに移ることもできない(仕事でいうと転職が出来ない状況)。なぜならば、住宅ローンや子育てがあるから、ゲームを続けるしかないからという状況でしょうか。

私は上記の二つの記事について、前者は2017年に、後者は2015年にリアルタイムで読みましたが、今でも当時読んだときのことを鮮明に覚えています。

35歳を超えたら本当にRPGの終盤なのか

ここでさらに新たなストーリーを追加してみます。問題提起は「35歳を超えた状況は、本当にRPGの終盤なのか」ということです。

リンダ・グラットンの「ライフシフト」が発売されてから、人生100年時代という言葉がバズワードになりました。ここで、ライフシフトに則り、人生100年時代においては、75歳ぐらいまで働く必要があると仮定しましょう。

そう考えると、35歳からさらに40年働く必要があります。銀行では50歳を超えると、半沢直樹の世界のように出向がちらついてきますが、75歳まで働くことを前提にすると、50歳からまださらに25年あります。23歳ぐらいから働き出しとしたら、50歳でまだ中盤です。

RPGで例えると、50歳とは、ドラクエ3でいうところのまだバラモスを倒しただけで、FF5でいうとクリスタルを4つとっただけで、これから第二世界にいくような状況でしょう。

言い換えると、人生100年時代においては、35歳〜40歳というのは、RPGの終盤でもなく、未来に絶望しているような状況でもなく、実際にはここからさらにキャリアの二毛作三毛作を築いていく必要があるステージと言えます。

実際、私が昨年の8月に新卒で入行してから12年4ヶ月勤めた会社をやめた理由の一つは、「(当時)37歳から75歳まで働くことを考えると、あと38年働く必要がある。となると早めに自由に動ける環境を作る必要があるな」と感じたからです。

さらに2017年に妻と上記のRPGの例の会話になった時に以下のような話もしました。

「75歳までこれからあと38年働くとする。38年後を考えるにあたって、逆に今から38年前に戻ってみよう。38年前は私が生まれた1980年になる。この頃って、スマホやPCはもちろん、ワード、エクセル、メール等を使って仕事をしていなかったよね。正直当時はどうやって仕事をしていたかさえも想像がつかない。ということは、これからの向こう38年はもっと環境の変化が訪れることは間違いない。実際、この10年間でテクノロジーは大きく変化してきて、それに伴い働き方も大きく変わってきた。そう考えると、35歳でRPGの終盤と考えるのは、本当に危険で、35歳ぐらいって、これからRPGの裏面に行くために、もっと環境の変化に対応をして行く必要があるし、75歳まで働けるように学び続ける必要があるよね」と。

そして、実際に去年12年以上働いた銀行を辞めてスタートアップで働きながらフリーランス的に活動していると、自分の仮説は概ね正しいのではないかと感じてきました。

つまり、30代後半は全くもってRPGの終盤ではなく、さらにはRPGでいうところの裏面に行くどころかまだ序盤のステージに近いのではないかということです。同時に、新たな世界では、知らない武器や防具がたくさんあることもしり、加えて、銀行の外の新大陸には今まで見たこともない仲間やモンスターがいることもわかりました。そして、仕事をすればするほど、学びも多く、日々(正直)きつい状況ではありますが、楽しめています。

35歳はまだまだRPGの終盤でもないし、40歳で絶望もする必要がないぐらい、今の35歳から40歳には新世界が広がっていると感じる今日この頃です。

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