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寓話のような実話をふたつ

長く生きていれば「事実は小説より奇なり」という体験が、たまにある。今回は私が、まるで寓話のようだと思った実体験について書いていく。

その1

中学時代の同級生に、生クリームが嫌いな女子がいた。当時、甘いものが好きだった私は、彼女に理由を尋ねてみた。すると、以下のような答えが返ってきた。
以前の自分は生クリームが大好きだった。ある日、生クリームを思いっきり食べたいと思い、ボウル一杯の生クリームを一気に食べた。すると気持ち悪くなってしまい、それ以降、生クリームを受け付けなくなった。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。まさにこの言葉通りのエピソードだと、当時の私は思った。

その2

今度は私の話だ。私の地毛は、真っ黒ではなく少し茶色っぽい。それゆえ、髪を染めることが一般的でなかった中学時代には、「髪を茶髪に染めているのではないか」という疑惑をしょっちゅうかけられた。
時は流れて、私は大学に進学した。その頃ではもう、髪を茶色に染める行為は一般的な出来事になっていて、誰も私に「髪を染めているだろう」という人はいなくなった。ただ美容室に行くと、たまに「髪を染めていらっしゃいますか?」と尋ねられることはあった。
そして現在、派手な髪色の人は珍しくない。その環境では、私の髪は黒髪とみなされている。加齢による白髪は多少交じっているが、私の髪の色は中学時代とそんなに変わっていないだろう。
同じものでも、時代や周りの環境によって全く別の評価をされるという好例のような話だと。私は密かに思っている。


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