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カルダモン王国。
今今時。
カルダモンの香りが漂う小麦粉の砂の上を歩く。
空からは青いポピーシードがパラパラと舞い落ちる。
褐色の空。
ヘーゼルナッツみたいな形の雲を見た。
ぼんやりと歩いていたら大きなアーモンドの岩にぶつかった。
その瞬間にアーモンドはカリっと二つに割れた。
ここはどこだったか。
カルダモンを求めてここまで来たはずだったが粉砕されたカルダモンは空気中に漂ってはいるものの鼻をかすめてはすぐに消えうまく見つけることが出来ない。
少し疲れた。
視線の先にクーベルチュールの泉を見つけてそこで休むことにした。
泉を満たす漆黒のチョコレートの水。
それは甘さが少ないわりにしっかりとカカオの味がする。
小さな泉はカカオニブで縁取られていた。
それのせいだろう泉の近くはチョコレートの匂いがとても強いわりに泉の水はさほど甘くない。
何日歩いただろうか疲れ切った体にじんわりと染み込んでくる漆黒の水。
鼻先がつんとなって少し涙がにじむ。
喉を通りすぎるチョコレートの風味に涙の塩味がピリリと滲んだ。
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