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当事者目線:初めてのメンタルクリニック受診マニュアル

最近良く眠れない。気分もふさぎ込むし、周囲からもメンタルクリッニックに行ったほうがいいと勧められている。けれど、なんとなく受診するのは気が重い。そんな人のために、メンタルクリニック受診の手引を書いていきます。

メンタルクリニックに行く前にすること

まずは、内科的な問題がないかどうかも同時に検査すると良いでしょう。肝臓の病気でもだるさやつかれ、頭がぼーっとするような症状が現れます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)などでも、よく眠れない、昼間眠い、といった症状が現れます。いきなり、メンタルクリニックへ通うことが気が重い場合、身体的な病気の検査を受けてみるのも良いでしょう。

身体に何も異常がない場合、医師からは「おそらく、精神的な問題」のような回答が得られます。直接、メンタルクリニックや精神科へかかるべきだと指示されることはまれです。少なくなってきたとはいえ、メンタルの病気には偏見がありますし、医師もそれを配慮してはっきりとは言いません。

精神的な問題と言われた場合、メンタルクリニックの受診を検討しましょう。

症状が、明らかに精神的なものからくると推察される場合、このステップは省略して構いません。

病院探し

病院探しは非常に大切です。医師はこれからあなたの治療をともに進めるパートナーです。医師によって予後が大きく変わってしまいます。

病院を探すときは、医師が精神保健指定医の資格を持っているか調べると良いでしょう。精神保健指定医は以下の条件を満たした医師です。

1.五年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。
2.三年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。
3.厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること。
4.厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(申請前一年 以内に行われたものに限る。)の課程を修了していること。
(【精神保健指定医 精神保健福祉法(法)第18条】)

避けたほうが良いメンタルクリニックも挙げておきます。これはあくまで私見であり、特定の病院を指しているものではありません。それは、標準的でない治療法をうたう病院です。メガビタミン療法、オーソモレキュラーなどの栄養療法、薬を使わない治療法を喧伝する病院は避けたほうが無難です。

初診

メンタルクリニックの初診は、通常、予約制です。インターネットで近場のメンタルクリニックを探して予約を入れましょう。多くの場合、予約は電話です。

患者数の増加を受けて、最近のメンタルクリニックはどこも混み合っています。初診の予約をとったあと、診察にすぐ入れるとは限らないのが実情です。

初診の診察では、大抵の病院が長めに診察時間をとってくれます。医師から質問をされるのでそれに答えていきましょう。診察の前に、自分の感じる違和感をメモにまとめておくとスムースです。私は、いつもの診察でも話す内容を予めメモにまとめています。

場合によっては、初診で薬を処方されるでしょう。調剤薬局に行って薬を購入します。医師から説明があると思いますが、大抵の薬は飲んだあとすぐに効く、という薬ではありません。一般に抗うつ薬は効果が現れるのに2週間かかります。薬が効き始めたと言っても、すぐに病前のように元気いっぱいとは行かないでしょう。根気のいる治療が必要です。

精神科医はたいてい気長です。当事者としては、すぐにでもこの状態からなんとかしてほしいと思うものです。しかし、医師としてはそもそもすぐにどうにかできるものではないと知っているでしょうし、初診で正解を当てる必要もないので、長期的に構えています。このあたりも知っておくと良いかもしれません。

初診から次の診察までの過ごし方

病院によりますが、初診から次の診察までは短めに設定することが多いと思います。2週間ぐらいでしょうか。

その間に、あなたにできることは、全力で休むことです。他にはありません。会社や勉強、研究室のことが気になるかもしれません。全て忘れましょう。これがむずかしいことはわかっています。しかし、将来や過去のことを気にすると治療にとっては悪影響しかありません。

まずは、とにかく休みましょう。横になって何もしないとか、配信の映画をみるとか、何でもいいですがゆっくりするべきです。

定期的な診察

初診以降の定期的な診察では、まず、医師から、「その後おかわりはないですか?」や「調子はいかがですか?」と聞かれることが多いでしょう。これは、医師がなるべく患者の答えを誘導しないように配慮しているためです。勘違いする方も多いのですが、おざなりに聞いているわけではありません。まずは、患者の最も気になることを聴くためにオープンな質問をしています。

その後、睡眠はどうか、食欲はどうか、他に気になっていることはないか、などの質問を受けます。

睡眠はメンタルの安定にとって非常に重要な要素ですし、食欲は気分のバロメーターとして利用できます。ほかにも、質問の受け答えの様子、服装や清潔を維持できているかなども見ているようでした。

メンタルクリニックの診察は医師と患者の共同作業です。

血液検査や画像診断の結果から病気の程度を判断できる分野と異なり、あなたのことはあなたにしかわかりません。医師主導で受け身になっていると、なかなか調子が回復していくものではありません。初診の部分にも書きましたが、予め何を相談したいのかメモを用意しておくことをおすすめします。

たとえば、わたしが前回の診察時に用意したメモは以下のような内容です。

  • 少し気分が優れない

  • 少し身体が重い

  • ずっと家にいたい気がする

  • 睡眠時間が短くなってきた

  • 食欲はおちているかも?

  • 頑張りたい気持ちはある

  • いつも気を貼っている感じ

  • でも、少しリラックスする方法を実践できるようになった

これを受けて、医師が薬の調整をしてくれます。

寛解にむけて

こうした診察と投薬を続けていくことで、寛解を目指すことになります。寛解とは、病気による症状が消失した状態のことです。治癒とは異なり、病気自体が完全に治ったという状態ではありません。

病気の種類によっては、一生の間薬を飲むことになります。私の場合もその例に当たります。

決して自己判断で薬を中断しないようにしましょう。薬を自己判断で中止すると再発の危険が高いです。

同時に、薬以外の方法で、メンタルを好転させる方法を学んでいくといいと思います。

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