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眼球数以上の視線

「お前はオレとの約束を守らなかったな」
あいつはきっと今もどこかでそう思っているのだろう。

もしも、あいつと会えたならそんな思いを込めた視線をオレに投げかけてくるのだろう、約束を守れなかったオレに。果たして受け止められるのだろうか?眼球の数以上のあらゆる角度から全てを見透かす、そんな視線を。

約束も守れず、視線すら受け止められず・・・

約束を守れなかった事は過去の事なので今さら覆せないが、せめてあいつの視線くらいは受け止めたい。いや、受け止めるべきなのだ。もしも会えたなら。

だから約束しよう。

あいつとの約束を、別の誰かと。

ならば視線くらいは受け止められるのではないか?

しかし、あいつはどう思うのだろうか?あいつとの守れなかった約束を、別の誰かとならば守れたオレに対して。
そんな思いも受け止めねばならないのだろう。きっと多分、「約束を破る」とはそういう事なんだという気がする。

だから約束するよ「未来のオレ」と、あいつとの約束「大人になる」を。

「大人」の定義すら定められなかったが、「現在のオレ」が考えるオトナとは何なのか?
それを定義し、そうなる事を約束するよ。

「過去のオレ」とは約束を守れなかった「現在のオレ」だけど、「未来のオレ」と約束が果たせれば「過去のオレ」は「未来のオレ」と固く手を結べるだろう。「現在のオレ」とは手を結べないが「未来のオレ」とならば。

オレは分断された「過去、現在、未来のオレ」の物語をここ紡ぎ直したい。

「オトナになる」という約束を果たす事で。

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