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受験英語が必要だと証明した、DJ SODA問題。ひろゆき、町山智浩、日本ファクトチェックセンター。

DJ SODAさんが日本の音楽フェスで観客から胸を触られた事件が波紋を起こしています。「もちろん、他人が女性の胸を触るのは痴漢で犯罪行為なので処罰されるべきだが、女性は露出度が高い服装をしているのだから、そういうリスクも視野に入れるべきである。」
「いやいや、どんな服装かは関係ない」というのが論点みたいです。そこに、ひろゆきさんがユタ州立大学の研究を持ち出して「性的暴力には被害者の服装が関係していたというデータがあるので、女性の服装は性的暴力を誘引する要素である」的な事をツイートしました。

すると、映画評論家の町山智浩さんが「いや、そんな事はユタ州立大学の研究に書いていない、ちゃんと英語が理解できていない。」とツイートし、日本ファクトチェックセンターもひろゆきさんの英語の解釈は間違っていると指摘しましたが、ひろゆきさんは「いや、英語を訳せていないのはあなたたち。ちゃんと書いてある」と譲りませんでした。

ちなみにひろゆきさんは英語が喋れるみたいで、TOIECのスコアは830点で英検で言うと準一級レベルだそうです。町山智浩さんもアメリカ在住で英語で映画監督等にインタビューしたりしているので英語がつかえるみたいです。

皆さん、英語がつかえるみたいなので何がファクトなのかわからないので、実際にユタ州立大学の研究を読んでみました。問題になっている箇所は次の文です。

Myth: Rape victims provoke the attach by wearing provocative clothing
• Most convicted rapists do not remember what their victims were wearing.
• Victims range in age from days old to those in their nineties, hardly provocative dressers.
•A Federal Commission on Crime of Violence Study found that only 4.4% of all reported
rapes involved provocative behavior on the part of the victim. In murder cases 22%
involved such behavior (as simple as a glance)

この英文の下から3行目のprovocative behaviorのbehaviorをひろゆきさんは「服装」と訳したのですが、町山さんはbehaviorには「服装」の意味はない、behaviorの訳は「行動」であると言っています。

私は英語をある程度は読めますが喋れないので、その程度の人間の解釈だとご理解して頂いた上で、皆さんもお考えください。

まずはこの英文の構成ですが、「myth」、根拠の薄い社会的に広まっている考え方を載せてから、実際の研究結果を挙げています。では「myth」を訳してみると、「レイプ被害者は挑発的な服装を着用することで、レイプ行為を誘引する。」拙い日本語訳ですが、意味は分かると思います。つまりひろゆきさんはmyth側の立場です。では研究結果の下から3行目の文を訳してみます。

「暴力犯罪委員会の報告では、報告されているレイプのうちわずか4%が、被害者側の挑発的な行動が関係していると分かった」

またまた拙い日本語で申し訳ありません。

この訳で町山さんは「服装は関係ない」と報告されているじゃないかとひろゆきさんに反論しているのです。私はこの場合はbehaviorには服装は入ると思います。 なぜならmythにはwearing provocative clothingとあるからです。明らかにこのbehaviorとwearing provocative clothingは対応しています。大学入試の空所補充問題が作られ易い箇所です。behaviorに「服装」の意味はありませんが「服を着る事」と名詞を動詞的にした表現で、behaviorの行動に当てはまるようになっていると私は解釈しました。なのでひろゆきさんが正しいと思われるかもしれませんが、ここで終わらないのがこの問題の複雑なところで、文全体では「挑発的な服装を着用する事」が原因のレイプ事件はわずか5%であるとの事です。

ひろゆきさんが必死になってbehaviorには服装が含まれていると言っても、服装が原因なのは5%なので普通はあまり考慮しませんが、ひろゆきさんは5%でも報告例があったのなら全くの無関係とは言えないと、屁理屈みたいな事を言っているのです。ここも大学入試のテストで内容一致問題が作られそうです。選択肢に「レイプ事件と服装はあまり関係はない。」という選択肢があり、正解は一致になります。おそらくひろゆきさんはこの問題も「あまり」の言葉尻をとらえた議論?を展開するのでしょう。町山さんもbehaviorの訳しかたなんかほっといて、文全体の議論をすればいいのに・・・
どうですか?受験英語も捨てたもんではないのではないでしょうか?大学受験を経験した人なら分かるでしょうが、英語にしろ、現代文にしろ求められているのは「客観的に読めているか」です。しかし、受験戦争の勝者であるひろゆきさんや町山さんはどうして客観的になれないのでしょう?それは客観的であることより、「自分の正しさ」のほうが大事だからです。そしてそれはきっと私も含めそういう人が多いのだと思います。だから文部省や大学側は「客観的」を重要な教育のファクターとして位置付けているのでしょう。

ま、その文部省や大学側も「客観的」であるとは思いませんが。

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