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午前11時のライブ配信、評価したい福井県の積極的な新型コロナ情報公開

 全国で増え続けている新型コロナウイルス感染者。都道府県や政令市などで記者会見を通した発表が行われている。その中で最も情報をしっかりと公開し、現状を伝えようとしているのが福井県だと思う。福井県では4月11日まで17日連続で感染者が出ている。午前11時から前日夜に判明した分を発表する.発表はYouTubeでライブ配信されだれでもみることができる。配信とほぼ同時に発表資料も福井県のホームページにアップされる。福井県は感染率が東京に次いで高いものの、積極的な情報公開で収束の道筋も見えてきた。
 福井県は3月25日に2例目の感染者が出て以来、毎日新たな患者の発表が行われている。4月12日で連続19日となった。


 最初のころは夜の緊急会見もあったが、現在は午前11時から行われる。連日感染者があるため発表は土日の休み関係なく毎日だ。最初のころは杉本達治知事がメインの発表者だったが、窪田裕行健康福祉部長が発表し同席した副部長が詳細を説明するという形が定着した。毎日見ている限り健康福祉部長らが発表しているので、休む日がなく大変だと思っていた。4月11日土曜日の会見は窪田部長の姿はなかったものの、日曜日の4月12日には戻ってきた。
 会見は福井県自体がYouTubeにライブ配信しているほか、地元新聞社の福井新聞社もYouTubeチャンネルに流している。報道機関向けの発表資料もほぼ同時に福井県のホームページにアップされだれでも閲覧することができる。
 発表資料には感染者の(1)年代、(2)性別、(3)職業、(4)居住地、(5)症状・経過、(6)行動歴、(7)その他の基本的な7項目が記載されている。7項目のその他には患者自身の濃厚接触者と、感染に至るまでに既に明らかになっている感染者との接触があったかどうかが記載されている。

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情報公開で県民の不安広まらず

 記者会見の時間はほぼ一時間程度だ。院内感染などこれまでになかった重要な問題が起こったら1時間半になることもある。質問する側も県庁の記者クラブに所属する記者が多いのでほぼ同じメンバーで連日の会見で要領を得ていてあまり無駄な質問もなく、知りたいことをほぼ聞いてくれる。毎日見ていると会見に参加しているような気になる。
 公開された資料を見ながらYouTubeのライブ配信を視聴していけば福井県内の感染状況はほぼ把握できる。昼のニュースや翌日の新聞よりも早く情報を得ることができる。
 県民も関心は高く福井県のホームページにアクセスが一時的に殺到して重くなるため臨時の入り口ページがつくられ、コロナ関連とそのほかをさばけるようになった。
 福井新聞社のYouTubeチャンネルを見ると会見の配信の再生は毎回3万回はあり、6万回を超えるものもある。同社のほかの動画配信よりも再生回数が多い。
 新型コロナ感染情報を積極的に発信して感染の収束に役立てていこうという福井県の姿勢は高く評価されるべきだ。日本国内全部を調べたわけではないが、ここまで積極的なところはなさそうだ。近県の石川、富山と比べてもよくわかる。石川も積極的なほうだが、会見は配信せず資料も福井に比べると物足りない。ただ市町別の感染数を表で示しているのはわかりやすい。滋賀県は感染者のデータは福井県とほぼ同じだが会見配信はない。富山県は年代、性別、住所の情報だけで会見も配信しているのは知事会見など一部だけ。京都府は発表データがどこにあるかわからない。京都市は最新の発表資料は出ているものの、それ以前の資料がわかりにくい。
 福井県の感染者数は4月12日で88人。人口78万人の県としては多い。人口10万人当たりの感染率は11.37人と東京都に続いて高い。それでも現時点では住民がパニックになるような状況でないことは配信されている会見や資料を見ていけばわかる。
 福井県は福井市の夜の飲食店を起点とする「ひとつのクラスター」で「感染者のリンクはつながっている」とこれまでも会見で述べていた。「コロナウイルスの遺伝子の型は同じ」などの会見のやりとりを聞いていくと、福井県内のどこにでもコロナウイルスが蔓延しているわけではなく、一定の地域と年代、職業の人たちを中心にその周辺を広がっていることがよくわかる。夜の接客を伴いラウンジやカラオケの危険さもよくわかる。毎日の会見もあって福井は「夜のクラスター」という理解が広まった。
 4月12日の新たな感染者は2人。積極的な情報公開の効果もあり感染者増加が収まってきたようにも見えるが、患者を受け入れている福井県立病院で看護師が感染するなど新たな不安要素もあり、油断できない状況は続く。
午前11時の会見が定時でなくなり、やがてなくなる日が早くやってきてほしい。


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