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文明初期から続く”契約”も新たな歴史の幕開けへ。確固たる志を持つContractS笹原と前田ヒロ氏の対談

文明初期から始まったと言われている「契約」の歴史。その歴史は遡ること、5000年にも及びます。一方で、本来シンプルであるはずの契約は、この長い歴史の中で様々な物事に影響を受け、世の中から”面倒””複雑”なものというイメージに変わってしまいました。

この契約のアップデートに挑戦するのが、国内初の契約マネジメントシステム「ContractS CLM」を提供するSaaSスタートアップ・ContractS。



弁護士の肩書きを手放してまで、CEO笹原がContractSで成し遂げようとしていることは何なのか。ContractSがアプローチする「契約」の本質的な課題、それを解決するために必要な人材とは。その問いに答えるべく、ContractSに投資いただいているSaaSベンチャーに特化した投資/支援を行う「ALL STAR SAAS FUND」の前田ヒロ氏をインタビュアーに迎え、両者で対談を行いました。

※本記事は「ALL STAR SAAS FUND」が企画/取材したインタビュー音声の内容に基づいて、ContractSが編集した記事となります。





ContractSの大事にする志、そしてミッション。


ー前田:ContractSが大事にしている”志”と”ミッション”とは?


「志」というのは、弁護士時代からずっと掲げている「世の中から紛争裁判をなくす」ことを指しています。ちなみに、これはよく社員にも話すのですが、自分のためではなく、広く社会に”こうあるべき”を伝えたいという想いなので、夢とは違うという点で”志”としています。この考え方は僕の大好きな幕末時代の歴史からも影響を受けています。

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「ミッション」は、「権利義務が自然と実現される仕組みを創る」。裁判というのは、果たしたい権利と果たすべき義務が適切に実現されないから起こるんです。お金を貸す契約で言えば、返してもらう権利があるのに対し、返す義務が果たされないから起きてしまう。このミッションは、結局は裁判を起こさないためのものであり、志と常に紐づいているんです。

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文明初期から存在する「契約」。今こそ、その根本を再設計し、歴史を変える時。


ー前田:今年はコロナ禍により契約の領域は追い風があったかと思いますが、ContractSの事業との関係性をどのように考えていますか?


契約の複雑性は”点”では解決できない


笹原:コロナ禍により、徐々に契約のクラウド化というものが身近になってきてはいますが、僕自身、契約の複雑性というのは、そう簡単には解決できないと思っているんです。脱ハンコやペーパーレスは、物を売ったり買ったりする契約の合意内容を書面に落とし込んだ契約「書」、すなわち”点”の話に終始している。契約そのものの概念を大きく変えることには限界があるんです。


契約を組織にあわせて再設計する必要


ではなぜ契約は複雑に思われてきたのか。その原因は”組織”という概念が生まれたからだと思うんです。組織と言えば、400年前の東インド会社の設立が始まりですが、それから数百年に渡り、複数の部署に細分化されたり、地理的に離れた場所に支社ができたりなど、様々な組織形態が生まれてきましたよね。一方で、その間の「契約の形」というのは一貫して変わっていない。組織は規模化・複雑化してきているのに、契約はその変化に追いついておらず、いまだに既存の枠組みを無理やり当てはめている状態。それが契約が複雑だと思われる根本的な原因だと思うんです。
脱ハンコやペーパーレスの動きは、世の中の契約への課題感を可視化する入り口であることは間違いありませんが、契約そのものの複雑性という根本課題を解決するには、契約を組織にあわせて再設計する他ないんです。


契約の未来をどう考えるか


ー前田:ContractSは契約の先の未来をどう考えていますか?


笹原:起業した以上は、ContractSとして本質的な課題解決をしたいと常に思っています。じゃあそれは何かというと、現代企業における「契約の3つの目的」を果たすことだと考えています。

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①適切な契約の「締結」を実現したい


「締結」というのは誰もがイメージしやすいと思うのですが、要は果たすべき権利と義務が何なのかをしっかりと確定することを指しています。
それを実現する上では、様々な部署・階層の方が持つ様々な契約業務に関するタスクを横串で繋ぎ合わせられる「契約のプロセス化」が必要だと思っています。ContractS CLMはまさに現在、そのプロセスの最適化に取り組んでいます。

②適切な契約の「履行」を実現したい


「履行」というのは、契約を締結した先にある、確定した権利と義務を実現するためのプロセスです。例えば代金請求権を例に取ると、債権は持っているけどお金が全く払われないという状態は履行ができていないということなので、全く意味がないですよね。その点で何よりも重要な概念です。
僕は、「履行」の領域に関しては将来的には自動化したいと考えています。いわゆるスマートコントラクトと呼ばれるような「契約のプログラム化」にチャレンジしたいです。

③適切な契約の「管理」を実現したい


管理というのは、以下の3つが適切に管理されていることを指しています。

(1)権利義務の管理…どんな権利と義務があるのか
(2)契約ライフサイクルの管理…契約はどんな状態なのか
(3)契約に関するドキュメントの管理…契約書はどこにあるのか
特に(1)の権利義務の管理というのは、そもそも概念的であり、契約書を見ないと把握できない内容なので、部署を跨ぐ情報である以上、大変把握しづらい構造になっているのが現状です。
一方で、今の時代観では、いきなり「権利義務の見える化が必要なんです」と言われても、企業は「何を言ってるの?」という反応の方がマジョリティー。”遠い先の未来”を世の中に納得してもらうために、マネージャー陣の力を借りて”目先の一歩”もしっかり描いていきたいです。


組織の現在地点と求める人材像


ー前田:ContractSの組織を見ていると、採用した方は全体的にどこでも活躍できるようなレベルの高い人材が多いと感じているんですが、この戦略に踏み切ったきっかけはやはり優秀な人材の影響が強いんですか?

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“未来”と”実務”を繋ぐ人材が活躍できる環境


笹原:ありがたくも、2020年にCOO安養寺がジョインしてから、一気に戦略実行における基準とスピードが上がったのがなによりも大きいです。彼の新卒時代はまだスタートアップに就職するのがメジャーな時代観ではなかったのですが、その頃から彼は激動のブラウザゲームが流行った時代のスタートアップにいて。彼は、スピード感を持って未来と実務を繋いでくれている人材だと思っています。今のContractSは、彼の様な人材が持っている能力を最大限発揮できる環境にあると感じています。


ー前田:これからはどのような人材を求めていますか?


世界観や時代観への”共感性”が第一


笹原:まず第一に、志やミッションはもちろんのこと、「僕たちが目指す世界観や時代観に深く共感してもらえる方」を求めています。実際、今のContractSで活躍してくれているメンバーはみんな、その共感性が高いんです。


もう一つは、上に話した通り、「未来と実務を繋ぐことができる方」です。具体的に言えば、「社会はこうあるべきだ」という話と、それに向けた日々のオペレーションを繋ぐ戦略面の設計や指揮ができる人に、ぜひ最前線の現場のマネジメントをお任せしたいですね。


未来を信じ、誠実でい続ける組織へ。


ー前田:最後にメッセージをお願いします

笹原:今、ContractSは会社としてのコアバリューをどうするかを話しあっている段階にあるので尚更感じるんですが、ContractSは「未来」を信じ、目先の数字を捨ててでも「誠実」でいようとする人がとにかく多いです。それは、それだけ僕が志やミッション、世界観や時代観の必要性をひたすら信じ、語っていることが大きく影響していると思います。


一方で、志やミッション、世界観や時代観といった話を語っている以上は、描きたい契約の未来の実現に向けて実際に取り組んでいないと、それこそ”誠実”ではないですよね。ですので、経営者として着実に研究や開発を積み重ね、その未来を現実にしていきたいと思います。


笹原の描く契約の未来に共感した読者の方々へ。


この度はロングインタビューをご覧いただきありがとうございました。



CEO笹原のバックグラウンドや、起業の経緯などについても知りたい方は、以下の「ALL STAR SAAS FUND」の編集記事に詳しく語られておりますので、ぜひこちらもご参照ください。



▼「ALL STAR SAAS FUND」の編集記事

https://blog.allstarsaas.com/posts/ContractS-interview-20201224
元弁護士である代表の笹原がContractSで成し遂げようとしていること、同社がアプローチする「契約」の本質的な課題について前田ヒロがインタビュー
blog.allstarsaas.com

あわせて、過去に実施したインタビューもぜひご覧ください。


▼過去の笹原インタビュー記事まとめ

「世の中から紛争裁判をなくす」志の実現に向けて語るCEOインタビュー
https://lab.ContractScloud.com/news/5715/


今後ともContractSをよろしくお願いいたします。


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