ハマス2.0

イスラエルが「ハマスを壊滅させる」と、ほとんど全世界から停戦を求められる中で軍事行動を継続している。

ニュース記事によれば、「ハマスは思想」だから、壊滅させるのは不可能だと、これは私も共感する。加えて、ハマスはパレスチナ人からも頼られている「統治機構」でもあると思う。自民党の政治家などにも「ハマスはテロリストだ」と、欧米寄り(というか、アメリカのユダヤ人ロビー寄り)の発言をした方がいたけれど、そうしたステレオタイプの認識では問題の解決は絶望的だと私は思う。
そもそも、なぜハマスが「発生」したかを、イスラエルも無視している。要するに、自分にとって都合の悪い現実を全く見ようとしていないから、事実認識を誤っている、と私は思う。

今イスラエルがやっていることは、「ハマスという雑草」を刈り取って、それを大地に漉き込んで「肥やし」としている行為に過ぎず、「ハマスという実体」そのものの存在は全く消せない。むしろ、今回大量の「肥やし」を漉き込まれたパレスチナでは、「ハマス」はおそらく、しばらく「見てくれ」としては活動を休止しても、確実に「ハマス2.0」に形を変えて復活すると思う。
この「肥やし」とは「憎悪」で、人間の持つ感情の中で「憎悪」は、恐怖よりも痛みよりも強いという気がする。私自身、「憎悪」を感じたことがない、とは言わない。一度憎悪に棹してしまうと、自分がどうなろうが構わない、どんな社会的制裁を受けても構わない、苦痛もむしろ憎悪に勢いを与える、まさしく今イスラエルの「鷹派」がその状態に陥っているし、結果として、パレスチナ側にもその「憎悪」の種を大量に撒き続け、肥料を大量に散布して、「ハマスが復活するためのあらゆる条件」を整えている、としか、思えない。

こうした予感は、あまり当たって欲しくないけれども、パワーアップしたハマスは、おそらく、今回ユダヤ人への迎合で「テロリスト」という呼称で呼ばれ、実体としては、むしろパレスチナの尊厳を守ることの方に軸足を置いていたものが、変化して、名実共に「テロリスト」に変貌する気がする。そうなった時に、イスラエルは絶えず「テロリスト」の存在に怯える状態になる、ような気がする。「暴力的」なテロ行為だけならば、イスラエルはあらかた対処方法を心得ているだろうけれども、ソフトターゲットに標的を切り替え、「日常生活のあらゆる行動」を手段とするように変貌した時に、変貌するハマスの行動は、毎月、もしかしたら毎週でもイスラエル人に恐怖の感情を呼び起こすような、「テロリスト」としか呼びようのないところまで変貌するような気がする。イスラエルが殺戮のみを手段として採用するならば、他にパレスチナ人の尊厳を守る手段が見当たらないようにも思える。
それが、一度「憎悪の応酬」に陥ってしまうことの一番怖い経過だと、私には思える。
(じゃぁ、武力行使ではない「テロ行為」として、どんなものがあるのか?そんなもん、思いついたとしたって、絶対にネットに書く訳ないでしょうが!)

常に、主導権はイスラエルが握ってきた、ように見える。そのイスラエルの鷹派にとっても、ハマスが真の「テロリスト」へと変貌することは、(既にテロリストとしてしか扱って来なかったのだから、今更対応を変えるとも思えないけれど、)決して「不都合」ではない、ように見える。つまり、ハマスによる行動が過激になればなるほど、イスラエルの鳩派を抑え込んで、「パレスチナに対しては強硬な武装行動以外に手段がない」という自分たちの主張で、イスラエル国内の主導権を握りやすい。結果として、「ハマスという思想を、持つ必要がない状態に、パレスチナを誘導する」という、(それこそが「真にハマスを壊滅させる方法」だと、私は思うけれど、)そんな選択肢は、イスラエルから消え去るだろうし、今の延長で、パレスチナに憎悪の種を撒き散らし、大量の肥やしを漉き込む行為を継続すれば、何年かしてパワーアップしたハマス2.0が静かに生育して実をつけ始めた時には、イスラエルの社会は9.11後のアメリカを上回る「環境変化」に見舞われるだろうな、という気がする。「悪意のないイスラエル人の隣人」が、結果において自分に対するテロの元凶となる。
何を書いているんだ、って、しつこいなぁ、そんなもん、絶対にわかりやすく書くか!というよりも、たぶん、書く必要はないと思う。おそらく、イスラエルの鷹派は、今後勢いを増して、鳩派の主張には耳も貸さず、何かが起きて誰もがわかることになるまで、一切方針を変えない。(この、言葉を発することの虚しさ。)

パレスチナ人の置かれた状況に対する、いさゆる「シンパ」は、もしかしたら世界中に拡散するかも知れない。「憎悪」の種が拡散した時、立場上ユダヤ人の側に立ってパレスチナをテロリストと呼んでいる国々も、標的になる可能性があると思う。というよりも、「反イスラエル」の活動を展開するなら、そうした「親ユダヤ」で「パレスチナはテロリスト」と決めつけている国家群のソフトターゲットは、カモ、だと思う。

私自身も、失うものはほとんど持っていない、というよりも、持っているもので失いたくないものは、何一つない。(私の場合には、自分の責任だけども。)ただ、おそらく、パレスチナ人の多くが、自分たちの命と生活と、身近な人たち、以外には、「失うもの」を持たせてもらえない状況に置かれ、それはパレスチナ人の責任というよりも、イスラエルによる「結果」だと私は理解している。イスラエルがほんの少し歩み寄って、パレスチナに「失うもの」を与えてきたなら、過激な行動は出来なくなるにもかかわらず、「失いたくないもの」を手に入れられない状況に押し込んで、「失うものが何もない」状況にパレスチナを置き続けてきた、としたら、その責任はイスラエルにある。
「失うものが何もない」というのは、実に身軽で、つまり「あいつは、悪い奴だ、テロリストだ」と呼ばれても、「だから、何?」という感じで気にも留めない状態に自分のメンタルを置いておける。(経験したことがない人には、わからないでしょうが。)そして、どんな行動を取るにも、足枷がない。イスラエルに奇襲を決行した「ハマス」は、おそらく、そうした精神状況だっただろうと思う。
イスラエルは、「武力」においては「ハマスを圧倒している」だろうと思うし、その状況は、今後も変わらないだろうと思う。だとしたら、そんな、わざわざ相手の土俵で喧嘩を仕掛けるような真似を取るか!というのが、いわゆる「テロリスト」の状況だと、私は感じている。

もし、世界が本気で「テロリスト」を根絶しようと思うなら、万人に「失いたくない自分の生活」を保証すること、だろうな、という気がする。イスラエルは、その真逆をやっている。結果において、ハマスはパワーアップして、ハマス2.0になるだろうという気がしている。(この、ゲーム的な表現、申し訳ないけれど、この書き方が一番通じる人が多いかな、と思って・・・)

イスラエルが、どこまで「足元の恐怖」に怯えるようになったら、鷹派に竿を任せる限り「平穏な日常は戻って来ない」ことを理解できるのか、不透明、というよりも、無理だろうとも思う。

話を戻す、というよりも、無理やり話題を変える。
日本は、特に、自民党のあの人と、あの人、というか、「ハマスはテロリスト」という発言は、個人ベースなら思う存分展開しても構わないけれど、その発言の責任は個人で背負って欲しい。なぜ、ハマスが、今回の奇襲攻撃という「手段」を取らざるを得ないと考えたのか、その原因を丁寧に分析して辿って、「テロリストが生まれる土壌」そのものが変わるように、国際社会での立ち居振る舞いを政治家は考えて欲しい。「パレスチナとイスラエルの、両方にいい顔をする」だけでは、限界があると思う。
そして、日本は親米国家という基本国家戦略は変えようがない、という前提で、全面的に「ハマスはテロリスト」の主張を続けるなら、いずれ、日本人もソフトターゲットになるリスクは、考えておくべきだと、私は思う。

「誰かを、憎悪したくなるほどのことを、されたことがない」人や、「失いたくないものが、山ほどある」人には、おそらく、話が通じない、とは思う。仕方ないよなぁ、そういうのを日本で経験する、ってのは、ほぼ8割以上が自分の責任だし。
決して、ハマスによる「暴力的な手段」を容認している訳ではない。ただ、今回の「暴力的な手段」を取らざるを得なかったハマスの指導者の判断について、私自身は、かなり共感を持って、理解している、とは、言葉にしておきたい。

その上で、やはり、ハマス2.0になって、無差別に何の罪もない人たちを巻き込む(まさしく、イスラエルの側はそうした行動を今とっている)ように、なってしまったなら、たぶん、私は言葉を発するしか手段を持たない(つもりだ)けれど、言葉の限りハマスを非難するようになる、とも思う。

イスラエルの政治家が、「戦争は勝たなければ意味がない」と発言した。そこに続けて「勝つためには、ある程度民間人の犠牲が出ることはやむを得ない」とも発言した、と記憶している。(目先の仕事が忙しくて、きちんとニュースを読めていないけれども・・・)
「戦争は勝たなければ意味がない」って、そりゃそうだ。どの国家指導者も、「勝つ」つもりで戦争を始めているんだろうし。最初から「負ける」つもりで戦争を始める国家指導者なんて、歴史上、どれほどいたか。(皆無だとは言わないけれど。日本の戦国時代の真田家とか。)
ただ、「そのためには、民間人の犠牲は」の部分、20世紀までは、それで通用した。今は、リアルタイムで民間人の犠牲の状況が全世界に流れている。この判断は「国家としての残忍性が、全世界に晒される」ことと引き換えになっていることだけは、どれほど憎悪で目が曇っていても、理解しておいた方がいいような気がする。(言うだけ無駄だとは、思うが。)

どこの国でも、「もしも、これが自国や周辺国で起きたなら」ということを考える指導層はいるだろうと思う。過去、10年くらいの間に、凄まじい勢いでSNSが普及して、この「戦争のリアルタイム性」は桁違いに高まっているように思う。結果として、どの国でも「自国の安全を守る」ためには、民間人を巻き込む暴力行為は容認できない、そちらに振れてくると思うし、それは、時として政治家が考える「国家の立ち位置」に勝る結果にもなると思う。
それで、イスラエルを擁護する発言をした政治家が、次の選挙で落とされるような国がどこかに出てきてくれると、方向性が見えやすくなる、気もする。

きちんと書けたかわからないけれども、明日は、授業が3コマ、たぶん私は4.5時間、しゃべりっぱなし。最近(ダイエットで運動していることもあって)多少スタミナもついたので、きちんと学生の反応をフィードバックしながら、少人数教育のメリットを最大限に活かしながら、自分なりに、明日の3コマ、最善の結果につながるように頑張るつもり。
なので、7割方、書きたいことは書いたかな、と思えたこの時点で、ページを打ち切ります。読み返す余裕がない。タイポがあっても、文章が繋がらない段落があっても、もう、書き直さない。以上。

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