「自分でやった方が早い」理由。

多拠点で仕事をしていると色々な人と関わるようになります。そうなると、仕事の仕方も、相手に合わせて変わるようになります。それはまぁ当然のことなのですが、そういう仕事の仕方をしていると、相手のレベル感を顕著に感じるようになり、その結果「自分でやった方が早い」という場面によく出くわすのです。

一般的には、「自分でやった方が早い」=「マネジメント力がないってことだよね?」なんて言われたりしております。確かにそうですね。そういう側面も少なからずあるかもしれません。

しかしながら、仕事には締め切りが付き物でして、締め切りに余裕のある状況の場合は、ダンジョンを一つ一つクリアしていく勇者の如く、後輩をナビゲートしていくことは可能なのですが、ある程度期間で成果を出さないといけない場合は、そうはいかなくなります。その場合は、やはり、「自分でやった方が早い」のですが、問題はそれを後輩(または、周囲)がどう捉えるか?です。そこをほじくってみます。

「自分でやった方が早い」ーこれはマネジメント力がないからではなくて、むしろマネジメント力があるからのアクションなのです。そもそも仕事とは他人のために行うことです。その対価を受け取れることで、取引が成立し、仕事になります。マネジメント力とは、仕事を遂行する力に必要な要素の一つであり、目的はあくまでも仕事を完遂することです。そこには締め切りが必ず存在します。なので、「自分でやった方が早い」となるには明確な発動条件があるのです。それが、「自分一人の生産力を下回る時」です。

自分一人で仕事をした場合を戦闘力「1.0」とします。そこに、一緒に仕事をする人の戦闘力「0.3」が加わったとします。この時に、「1.0」+「0.3」になれば、戦闘力「1.3」。それであれば、一人の生産力を上回ることになります。
ですが、仕事のできない人に限って、黙って言われたことをやらないのです。なぜそれをやるのか?、納得がいかないと動かないとか、または、言われたことに勝手な解釈を加えることで、予想を下回る成果があがってくる、という状況が生まれます。
そうならないように行うのが「指導」です。指導とは、無知な相手にわかるようにクソ丁寧な説明することです。義務教育期間にみられる光景です。必然的に、指導を行うとなると、自分が持っている戦闘力「1.0」を発揮できなくなるのです。ちょっと説明したら「0.9」になり、それだと通じないので、もっと説明したら「0.8」になり、それでもミスをするので、全部を説明したために「0.6」になったとします。

その結果、自分の戦闘力「0.6」に一緒に仕事をする人の戦闘力「0.3」を加えても戦闘力は合計で「0.9」にしかなりません。そうなりそうな状況を察知した時に、「自分でやった方が早い」と発言するに至ります。他の方についてはわかりませんが、私の場合は、締め切り迫った状況で、生産量を計算してみた時、これでは間に合わないな、という場面がやってくると、「自分でやります」が発動しています。

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では、これを回避するにはどうしたら良いか。それは、学びとは何かを考えることにヒントがあります。

学ぶの語源は真似ぶ(まねぶ)。つまり、真似ると同じなのですが、「真似る」とは、「真に似せる」という意味です。よって、戦闘力「0.3」の人に合わせて何かを教える=指導ではなく、戦闘力「0.3」の人が、戦闘力「1」の人を真似ることが最初の一歩なのです。真似てみて、やってみて、それでもその理由について理解することができなかったら、戦闘力「0.3」の人が、戦闘力「1.0」の人に質問をし、その質問に答えることが「教える」ことなのです。

つまり、戦闘力が「1.0」に至らない場合は、戦闘力「1.0」の人を見つけて、その人の仕事を徹底的に真似すればいいのです。納得して動くなんてのは戦闘力「1.0」の人の権利であり、そこに至らない人たちには、その権利を与えることはできません。なぜなら、これは仕事だからです。仕事とは、あなたの生きがいのために存在しているのではなく、誰かのためになるから対価を得られて、その対価の一部を従事した人たちと分け合うことによって、(仕事を通して)生きがいを感じられる仕組みなのです。

なので、最初は兎に角、徹底して指示を完遂すれば良いのです。ただし、なぜ、そうやるのか、なぜ、そうなるのかを常に考え続ける必要があります。自分の中だけで納得していく作業が必要なのです。それでもわからない時には質問をすれば良い。やってもいないで質問したり、言ってもいないことを追加してみたり、そんな戦闘力「0.3」の未達アレン人(戦闘力「1.0」以下なのに、私なりに工夫しちゃう人)なんて、仕事をしている時には、戦闘力「1.0」からしたら邪魔でしかありません。

では、戦闘力「1.0」はどこにいるか?ですが、それは、あなたの職場で一番仕事ができる人がそうなのです。その人が戦闘力「1.0」です。よって、その人以外は、皆、戦闘力「1.0」以下なのです。一番仕事ができる人を真似て、その人のように職場全体が動けるようになれば、生産性は最大限に引き出されるでしょう。しかし、未熟な自分を基準に戦闘力の上下を考えたりしがちです。「あの人は2人分働くね」というのは自分を基準にしてのことでしょう。しかし、言い換えれば、その人を基準にしたら、「あなたは1人分以下しか働けませんね」と同じ意味になるのです。

もし目の前の人が「自分でやったほうが早いな」と言ったら、それに腹を立てて、ネットで「自分でやった方が早い病」を調べるよりも、「私は1人分以下でしか働けていない」ということと同じ意味だと思って、噛み締めることを猛烈にオススメします。そうすることが成長への近道になります。

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