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古民家に住んでいる話 1

大学卒業にあたり、二月に東京から千葉に引っ越してきた。寮の後輩と二人でシェアハウスを始めたのだが、その物件というのが凄い。

築100~200年、7DK応接間付き、庭が広く車は三台まで泊められるDIY物件の木造日本家屋である。これで家賃が月六万の賃貸なのだから素晴らしい。尚水は井戸水組み上げである。やがてフォロワーとその友人を同居人として迎え、今は四人で住んでいる。ミゾヲチ邸、略してゾ邸と呼んでいる(ゾ民家、ゾ亭等人によって呼び方は分かれている)のだが、この家に関するエピソード等もnoteに少しずつ上げていこうと思う。今回はその第一弾という事で、引っ越した時のこの家の状況について書く。

取り敢えず下見に来た時の、家具が無い状態の画像を見ていただきたい。

ゾ邸1

外観である。

ゾ邸2

居間。仏壇と神棚がある。

ゾ邸3

洋室も一部屋あるが、基本的には和室である。

ゾ邸4

実に心地の良い縁側兼廊下。床板の隙間から土が覗ける・・・。

ゾ邸5

大層な応接間である。後で増設されたもののようで、暖炉は本物ではなく、暖炉風の電気ストーブなど置いておく場所であるらしい。このソファやテーブル等、一部残置物もあった。自由に使っていいらしい。

ゾ邸6

しかも大変都合の良い事に、家の南側はリフォームされ水周りは新しくなっているのである。トイレも台所も然り。


上げようと思えばいくらでも画像は上げられるが、まあ雰囲気は伝わっただろう。隠居でもするのかというような家に、大学卒業後すぐに住める事になったのである。

そしてこの家はかなり広い。敷地の入り口から家の玄関まで45m程あり、家の床面積は7DKに限ると106㎡、廊下や風呂場等の空間を合わせると200㎡を超える。庭は更に広い。

引っ越して少しの間は後輩と二人暮らしだったのだが、二人で住むにはあまりに広過ぎた。家の半分以上がデッドスペースになっていた。今では四人になりそれなりに上手く扱えているが、それでもまだ使っていない空間は少ならからずある。人を泊める事に特化した家である。


そんなゾ邸にも勿論欠点は幾つかある。まず日本家屋は寒いのだ。引っ越して来たのは二月だった上、しばらく人がいない家だったので極めて寒かった。脱衣所に置いた珪藻土の冷たさに叫び声が上がり、居間では吐息は白く、唯一エアコンがある部屋に逃げ込むという次第であった。

最初の晩を乗り越えた後も、やはり冷える。隙間だらけの縁側を外と遮るのはやはり隙間だらけのガラス戸一枚、その縁側と居間を遮るのは破れかけた障子だけである。紙だぞ紙。居間の温度が8℃だったのも納得である。

俺も後輩も出身は北海道なのだが、北海道は外が寒い代わりに室温が高い。窓は基本的に二重で、断熱材の入った壁は本州のそれとは(東北はどうだか知らないが)全く別物である。

また、外の気温はそれほど重要ではないという事がわかった。日本家屋の室温を決定するのは、日光が出ているかどうかだ。陽の当たる縁側はかなり暖かい。寒い時は外より寒くなり、暖かい時は外より暖かくなるのが縁側らしい。次の冬が来るまでに防寒措置を講じていく必要があるが、まあ足りない部分があるのも中々楽しくてよい。


ところで、去年クソデカ台風が千葉を直撃したのは記憶に新しい。その際この家の瓦屋根が一部吹き飛んだようで、俺の部屋にしようと思っていた八畳の和室が一時的に雨漏りしていたらしい。我々が下見に来た時には既に屋根は修復されていたが、その部屋の畳は大分カビていた。

ゾ邸8

どうしたものかと色々調べたが、重曹と酸素系漂白剤を1:1で混ぜ、水を少し加えペースト状にしたものを使えば畳のカビは取れるという事がわかったのでそれを試したところ確かに落ちた。枚数が枚数だったので時間をかけながら一枚一枚綿棒でちまちま修復作業を続け、同居人が一人増えた後ようやく作業が終了した。とはいえダメージを受けたものはどうしようもなく、そんな畳を使った部屋でこれから寝続けるのは少々躊躇いがあった。

俺の部屋は八畳で、その隣に居間と隣接する八畳の和室がある。無事だったその隣室の八畳をそっくりそのまま俺の部屋に移し、修復した畳を隣室に移す事にした。が、スムーズにはいかなかった。

畳というものは部屋に合わせてピッタリはまるように職人が調節するものである。同じ八畳だからといって寸法が全く同じというわけではなく、かなりの力技を実行する事になった。俺の部屋は僅かに狭かったようで、拳やバールで殴りつけ、足で踏みつけ強引にはめた。隣室には余裕で入ったのだが、逆にやや隙間ができる結果となった。畳の下は木の板が一枚あるだけで、これもまた板の隙間から土が見える状態なので、ブルーシートや防カビシートを敷いてから畳をはめた。これで少しは暖かくなってくれたろうか。


二つ目の欠点は、虫が多い事である。これはある程度どうしようもないのだろう。庭がある上、虫が入ってくる隙間など幾らでもある。蚊取り線香を焚きまくる事になろう。俺は道産子らしくゴキブリはあまり気にならないが、蚊は大嫌いである。憎悪している。蛇蠍視・・・はまあ虫だから当然か。最も人類を殺している生物(マラリア感染によるらしい。二位が人間)なのだから、徹底的に対策を施して然るべきである。


取り敢えずこんなところだろうか。Wi-Fiはニューロを繋いだので快適である。土壁が電波を遮る事がわかったが、配置上そこまで致命的に妨げられはしていない。

これからもゾ邸の話は随時上げていくつもりなのでよろしく。

然らば。

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