見出し画像

「僕らは同じ夢をみる」飛生芸術祭における活動 2011年から2020年

北海道白老町旧飛生地区で開催されている「飛生芸術祭」に2011年頃から関わり続けています。
最初は飛生芸術祭のオープニングイベントであり、1泊2日24時間に渡るキャンプイベント「TOBIU CAMP」のダンサー/パフォーマーのキャスティング・演出を担当しました。
2年目からは経緯は忘れましたが、運営委員としても関わり続けています。

この飛生芸術祭の初年度から繰り返しつけられているタイトルが「僕らは同じ夢をみる」であります。

画像1

Photograph Noriko Takuma

TOBIU CAMPは今でこそ「キラキラしている人達がやっている、キラキラしたイベント」という認知が広がっているらしいです。
その為、芸術祭のタイトルである「僕らは同じ夢をみる」についても、キラキラした人達による、キラキラしたテーマに見えてくるようです。
そしてこのキラキラ感というのは、時として地元の人達にとっては入りにくいものに見えることがあると言われることがそこそこあります。
「キラキラ」という言葉の使用に対して、個人的には悪意はないのですが、こう連発すると「キラキラ」が少しネガティブなワードに見えてくるのが興味深いですね。

確かに僕自身にとっても「僕らは同じ夢をみる」というタイトルは、この芸術祭に関りはじめたばかりの時は、真意もわからなかったし肌に馴染んでいなかったのかもしれません。
けれども、今では一周まわって非常にしっくりくるようになってきました。

画像2

Photograph yixtape

僕は舞踏(かつて暗黒舞踏ともいわれていた)や、コンテンポラリーダンスなど、どちらかというと難解と言われがちな、先鋭的表現の世界で生きています。
この業界は基本的に分母が小さく狭いです。
同じように現代アートや、現代音楽の世界も広い世界とは言えないでしょう。
最初の頃は比較的そういう人たちが芸術祭に集まっていたので、お客さんも身内とか関係者が多かったかと思います。

ところが、この芸術祭を主催している飛生アートコミュニティーにはもうひとつ「飛生の森づくりプロジェクト」という活動の軸がありました。
この活動にはアート好きだけではなく、いろいろな人がくるようになりました。

画像3

Photograph Asako Yoshikawa

ふと気が付くと、文化芸術関係者だけではなく、もの凄く多様な人々が集まるコミュニティーになっていたんですね。
住んでいる地域も、職種も、集まる動機も、好きなものもバラバラ。
こういうバラバラな人たちが集まって、一つの同じ夢をみる。

ここでいう「同じ夢」って、僕のイメージだと一つの夢じゃないんですね。
どちらかというと天の川みたいな、みんなの小さな夢(=星)が集まることで、大きな一つの巨大な夢(=天の川)のようになっている。

そしてこの巨大な夢の川は常に流れていて、過去にここにいた人たち、かつていた人たちから、今ここにいる人たち、そしてこれから生まれていずれここに来る人たち。
過去から未来へと流れ続ける、大きな夢の川のようなものじゃないかなと思っているのです。


そう考えると、僕の中では非常にしっくりときて。
ほしのこどもたちという、富士翔太朗が手がけるプロジェクトともリンクしてくる部分もあり。

どんな夢が、誰の夢が正解ということではなく。
ただ、僕らは今を生きていて、過去に生きてきた人がいて、これから生きていく人がいる。
人々がそれぞれの時代に飛生を訪れて、この土地で何かを感じて、それぞれが想い続けてきたこと。
それが同じ夢をみるということじゃないかな、と最近は思う訳です。

TOP画像
Photograph Hideki Akita



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?