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MARCH出身、戦略コンサルの頂へ

インスタを開くと、卒業式のストーリーが目に入った。画面をタップすると、次のストーリーもまた卒業式。かくいう私も、一昨日で大学を卒業し、昨日からは新米コンサルタントとして戦略コンサルティングファームで働く身だ。


そう、私が戦略コンサルタントという職業と出会ったのは、ちょうど2年前の今頃。
大学2年生も終わろうとしていた頃、所属していたサークルの追いコンでのことだった。


卒業式を控え、すでに就活を終えた先輩たちから、就職に関する話をあれこれ聞いていた。

「いや〜、来年の今頃にはリクルートスーツ着て御社御社って、考えたくないっすわ(笑)先輩たちほんとスゴいです。◯◯先輩なんて総合商社ですよね?1番長く頑張ってましたもんね。」


実は、先輩の中に1人だけ、就活ガチ勢がいたのだ。実は私の大学はMARCHなのだが、その先輩は見事総合商社に内定した。MARCHというと世間ではそこそこの学歴とされているものの、就活市場では最底辺、ポケモンでいうとコラッタみたいな存在だった。学歴フィルターにはギリ引っかからないが、名だたる大企業にはほとんど行けない。そんなイメージ。そういった企業はほとんどが早慶や東大の学生が掻っ攫っていくのだ。


そんな先輩から聞いたのは、意外な言葉だった。


「いや、俺が早くから就活始めてた理由は、外資系の戦コン目指してたからよ。最初っから商社を目指してたわけじゃない。外資系は選考が早いから早くから就活しなきゃいけなかった。」


「戦略コンサルってなんとなく聞いたことあるんですけど、どんな職業なんです?」

その後先輩から聞いた話の衝撃は今でも忘れられない。


新卒で入っても3年目で年収1,000万円を超える。
移動は毎日タクシー
若手でも大企業や政府を相手にする仕事で、裏で日本を操っている。
その代わり激務で、さらに東大生が受けてもほとんど受からない
どの企業も毎年両手で収まる程度しか採用していない。

極めつけに、転職市場では引っ張りだこで、ほとんどの人はGoogleに転職したり、起業したり、社費で海外MBAに行ったりしているんだよ、と言われた。


コンサルという職業をあまり知らなかった自分からしたら、本当に同じ世界の話なのか、という疑問でいっぱいだった。よく新卒カードなんて言い方をするが、この話が本当なら戦略コンサルはとびっきりのゴールドカード、プライオリティパスではないか。


飲み会が終わって帰りの電車に乗るなり、戦略コンサルについて調べ倒した。自分の人生を変えるチャンスなのではないかと直感的に感じたのだ。


実は私は、中学受験を経験している。東京だとさして珍しくもないが、教育熱心な親を持ち、幼い頃から習い事は日常、小学校4年生になる頃には受験を意識した塾に自動的に入っていた。中学受験では第一志望には届かなかったのものの、早慶がボリューム層になる程度の中高一貫校に通っていた。


しかし、私の家は私立の中では決して裕福ではなかった。中高6年間私立に通わせてくれた親に迷惑をかけまいと、塾なしで大学受験に挑んだ。私大に通うには奨学金が必要となるため、国立大学を志望。しかし、センター試験で失敗してしまい、あと一歩のところで国立大学に不合格。国立一辺倒の対策をしてきた影響で、早慶も取りこぼした。翌年から共通テストに代わることもあり、親の勧めでMARCHに進学。

学費は出世払いで良いと言ってくれた両親に恩返しがしたかった。

自宅の最寄り駅に着くまでの30分を使い尽くしてわかったことは、先輩の言っていたことは多少の脚色はあるものの、概ね間違っていないということだった。


かくして私、一般MARCH大学生が、戦略コンサルに内定するまでの物語が幕を開ける。しかし、その道のりは想像以上に険しく、数えきれないほどの挑戦と失敗が私を待っていた。


とあるMBBが第一志望になるまで


その夜、家に帰り着くなり、私は戦略コンサルタントになるための第一歩を踏み出した。これまでの自分では想像もできなかったような世界に飛び込む勇気を持ったのは、先輩の話が大きな触発となったからだ。


就活なんて、「TOEIC頑張らないとなあ…」くらいの認識しかなかった私は、今までの自分の認識不足に愕然とした。


まず、先輩が言っていた通り、ほとんどの戦略コンサルティングファームは大学3年の夏に選考を行っているということに衝撃を受けた。就活といえば3年の冬から始めたら早くて、4年の6月から本格化するというステレオタイプが脳内にこびりついていた私にとっては驚きだった。


そして、就活サイトといえばマイナビとリクナビくらいしか知らなかった私だが、外資就活というサイトに登録した。そこには24卒向けの求人や説明会の募集がたくさん掲載されていた。24卒はまだ大学2年生のはずなのに、である。間違いじゃないかと何度も目を疑った。


その中で、とある有名戦略コンサル企業が説明会を行うことを知った。MBBと呼ばれるトップ戦略ファームの一角であった。


まずは説明会だと思い、メアドを登録。コロナは落ち着いていたが、Zoomで説明会が行われた。


まず驚いたのは、参加人数が想像の10倍だったことだ。その数なんと300人。嘘だろ、24卒向けだぞ。こいつらみんな就活を始めているのか?


次に驚いたのは、説明会に現れた社員さん達のオーラ。


見た目は普通の日本人。だけど、心から自分たちの仕事に誇りを持ち、そして考えられないようなキラキラした仕事をしていることが一瞬で分かった。

特に忘れられないのは2つ。1つは入社2年目の社員さんが、自分が関わってきたプロジェクトの話をしてくれたこと。その話が壮大すぎて、え、本当にそれ社員数人で回せるプロジェクトなの??と思った。しかも国際プロジェクト。そりゃそうか、この人たち英語も話せるんだ…。

もうひとつの衝撃は、マネージャーの方の質疑応答に対する切り返し。就活ガチ勢が300人集まっているので、質問タイムには大量の質問が押し寄せられた。質問はZoomのチャット欄に書き込む形式だった。


レベルの高い質問から就活生らしい質問まで玉石混合であったが、そのマネージャーの方は火の粉を振り払うように、バンバン回答していった。考える時間もほとんどゼロ。しかも的確かつズバッとした物言い。仕事ができる上司とはこういう人のことを言うのだろうと、学生ながらに思った。


その姿に傾倒してしまい、気づけば私も質問を書き込んでいた。今思うと稚拙な質問だ。

「私の大学はMARCHです。どうしても御社に入りたいのですが、可能性はあるでしょうか」

数分後、私の質問が読み上げられた。そしてマネージャーの人がこう答えた。

「勿論です。大学は関係ありません。ウチにふさわしいと思った人を採用してます。」


この回答が後押しとなり、その後の就活を頑張るきっかけとなった。


ケース面接への挑戦と挫折


インターネットで検索し、関連書籍を注文し、先輩からの情報も集めた。そして、この職業が自分の望む未来への道であることを確信した。


そして「ケース面接」という、特殊な選考がこの業界では行われていることを知る。


まずは片っぱしからWebサイトを覗いて、紹介されていた本を全て買った。本屋に出向き、同じコーナーにあった本も全部買った。Amazonでおすすめされた本も買った。


全ての本を読み散らかした私は、まず実践しないとわからないと思い、また色々と調べてみた。


すると、選コミュというものがあることを知った。なるほど、戦略コンサルに入るための塾みたいなものか。入るに越したことはないか。そう思い応募しようとすると、既に締め切り。次の選コミュのサイトを覗くとまた締め切り。なんと驚くことに、全ての選コミュが選考を締め切っていた。まだ大学3年生に上がったばかりのことであったので、非常に驚いた。


仕方なく、有料のメンタリングに申し込んだ。そして次に知ったのは、戦コン企業のエントリー締め切り自体近づいていること。先の説明会でも既に就活強者みたいな人がいっぱいいたので、ある程度自力で頑張らないといけないことを思い知った。


とりあえずコンサルと調べて出てきた企業は全てエントリーした。MARCHだとそもそもESが通らないこともあると思ったからだ。またケース面接の練習も必要だと思い、母数を増やさないとチャンスはない。そこで総合コンサルへのエントリーも行った。


日々ESと睨めっこしながら、ケース面接の対策をひたすら行った。これは本当に試行錯誤の連続であったが、自分なりの努力をたくさんした。

予想通りES段階で落ちることは多かったが、ケース面接に関しては、結局10回ほど受けて無敗で終わった。第一志望である某MBBも、二度のケース面接を突破してインターンへの参加権を得た。ケース面接周りの話に関しては、また別で筆を取ろうと思う。


7月に入り、サマーインターンの選考が落ち着き、最終的な結果が出揃った。


戦略コンサル…4社
総合コンサル…5社

以上がサマーインターンの結果である。正直、我ながら上出来だと思った。しかし、これで終わりではない。最難関のジョブ選考が待ち受けている。ここで失敗すれば、全て内定に至らない可能性だって十分にあるのだ。


参加者40人、唯一のMARCH


そしてMBBのジョブ当日がやってきた。


私の時はまだコロナが収束し切ってはいなかったため、オンラインでのインターンとなった。憧れのオフィスで働きたかったが、仕方がない。


詳しい内容は守秘義務によりお伝えできないが、数人でのグループでワークを行った。メンターさんがついているため、みんなニコニコしながら意気揚々とワークを進めるものの、バチバチした雰囲気だったのは言うまでもない。

運の悪いことに、名前の横に大学名を記載しなければならなかった。自分が唯一のMARCHであることは察していたが、これから戦わなければならない相手にも伝わってしまうとは。しかし、そんなことを言っていても仕方がないので、3日間必死にワークする。班員もメンターも、自分の大学などは気にしていない様子だった。

そして最終日。プレゼン、質疑応答もやり切り、懇親会にも出席した。3日間ほぼ寝ずに案を練ったり立ち回りを考えたりしていたので正直とても疲れた。その日の夜は12時間寝た。

前述した通り、私は多くの企業のサマーインターンの予定があった。平日はほとんどインターンで埋め尽くされていた。そのため、準備やインターンで忙しい毎日を送っていた。

しばらくして、見覚えのある企業からメールが届いた。「インターン結果のお知らせ」。瞬時に通知を押し、メールを開く。心臓の音がはっきりと聞こえた。

「残念ながら……」

その1フレーズが目に入った瞬間に全てを察した。落胆もしなかった。ただ、「ああ終わったんだな」と思った。それからのことはあまり覚えていないが、翌日のインターンに備えて普通に過ごしたと思う。

正直、そこまで過度に期待はしていなかった。インターンが鬼門であることは言うまでもない。属性で劣っていない東大理系院生でも3分の2は落ちる。それに、自分としてもやり切った実感があったので、後悔する理由はなかった。

それ以降は予定通りサマーインターンをこなし、何社か最終面接を受け、そのうち何社かからは内定をいただき、ひと夏の戦いが終わった。

最後に


最終的にご縁があってこの春から戦略コンサルタントとして働くことになった。

MBBには届かなかったが、教訓も生かし残りの戦略コンサル3社全てから内定をいただいた。また総合コンサルも2社から内定をいただいた。(残りの2社は辞退)

最後にお伝えしたいことは、MARCHからでもMBBを目指せるということだ。もちろん、最終面接に呼ばれなかった要因に1ミリも関係がないかどうかはわからない。しかし、インターンに呼ばれた時点で、内定を出す可能性は間違いなくあっただろう。ただの私の実力不足に過ぎない。それに社員さんにもMARCH出身の方がいる。

そして、MBB以外の戦コンには私自身も内定をいただいたし、メンタリングした人の中で内定を取った人もいる。

就活は長いようで短い。ぜひ日々を無駄にすることなく、全力で取り組んでほしい。

私の体験談が誰かの就活の役に立ってくれたら嬉しい。

感想を引用RT、DMなどでいただけると大いに嬉しい。ぜひお待ちしている。

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ケースnoteとフェルミnoteのセットです。

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