『常温貯蔵品と冷蔵貯蔵品は品質が違うのか？』というご質問について

常温貯蔵品と冷蔵貯蔵品は品質が違うのか？

よくある植物ミルクについてのご質問です。

写真のようにパック商品には、冷蔵棚商品（写真上）と常温棚商品（写真下）があります。

例えば、豆乳やアーモンドミルクのパックにプリントされた表示を見ると「常温保存」「冷蔵保存」のどちらかです。

では、常温保存と冷蔵保存のパック商品の品質は異なるのでしょうかというご質問です。

結論から言えば、

品質は添加物も含めてまったく同じです

弊社の調査では欧州市場では約70％の消費者が常温貯蔵商品を購入しています。勿論、ヨーロッパにも冷蔵貯蔵ミルクもあります。

逆に米国市場では約80％の消費者が冷蔵貯蔵商品を購入します。

ヨーロッパでは、常温貯蔵製品（shelfstable version）の方が商品価値があると考える消費者が多く、米国では冷蔵貯蔵製品（refrigerated version）の方が商品価値があると考える消費者が多いようです。

品質は添加物も含めてまったく同じです。売場に両方並んでいたら、私なら常温貯蔵製品を買います。常温貯蔵なら開封するまで冷蔵庫に入れる必要がないので冷蔵庫のスペースを取りません。缶詰と同じです。

調査すると、多くの米国人は、冷蔵貯蔵品は常温貯蔵品よりも新鮮だと思い込んでいました。

例えば、フレッシュなアーモンドミルクというのは、化学添加物を使わず飲む時に作ったミルクのことで、せいぜい作って3日前後で消費します。

冷蔵貯蔵であれ常温貯蔵であれ添加物を混ぜて調整されたミルクは新鮮品質ではありません。

米国の消費者は、常温貯蔵するのだから冷蔵貯蔵商品よりも多くの化学添加剤が入っているに違いないと思っていますが、どちらも同じ化学添加剤が入っています。その点、ヨーロッパでは、正しい商品知識がある消費者が多いようです。

日本人はアメリカ人と同じで冷蔵貯蔵品の方が常温貯蔵品より新鮮だと思っている人がほとんどです。

では、どうして常温貯蔵品をわざわざ冷蔵棚に並べるのでしょうか？

写真はスーパーでよく見る「キッコーマンおいしい無調整豆乳」です。この商品は常温貯蔵品ですが、多くのスーパーでは冷蔵棚に並んでいるのをご覧になると思います。

理由は、

冷蔵棚に並べたら新鮮なミルクだと思うからです

アーモンドブリーズを販売している米国ブルーダイヤモンドグロワーズ社のゼネラルマネージャー、オショネシーさんが、このように証言しています。

"In the US, people buy 90 percent of their milk as a fresh, chilled product. We always knew our opportunity was capped if our almond milk was only available in a shelf-stable version."
「米国では、人々は90％のミルクを生鮮食品として購入しています。もし弊社が常温貯蔵表記のアーモンドミルクだけ販売していたら売上を伸ばすことはできなかっただろう。」

MKC食品研究所　秋月