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ゆるやかなる回復
木曜日に職場で倒れ、木曜日の午後から金土日実家で過ごした。私の実家は静かな場所にある、庭のある日本建築。
妹が甲斐甲斐しく手入れをしている和室を借りて、何もすることなく仰向きに寝転がっていた。
遠くに走る電車や鳥の鳴き声を聞き、風を感じ、生きているのか死んでいるのか分からない精神状態で横たわっていた。
日を追うごとに、ゆるやかに細やかに、自分の心身が満たされてゆくのを感じた。
虫に、鳥に、風に、光に、雨に、緑に、癒してもらったのだと気づいた。自然は私たちに対等で、私たちを受けて入れてくれるような寛大な存在だと感じる。
また、私がこの和室で回復できたのは、家族が心を込めて丁寧に手入れをしていたからであろう。いくら自然があれど、この部屋の環境が散々では私は回復できなかったと思う。
自分に還る場所があるということは、幸せなことだと感じる。この世の一番の幸せかもしれないとも。
私も自分の子に、このような幸せを与えたいと思う。そのためには、建物を、空間を、甲斐甲斐しく世話をすること。大切に丁寧に取り扱うこと。
覚えておきたいと思う。
私を回復させてくれた実家や家族への感謝とともに。
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