見出し画像

NGVキャリアカフェ第76回「イードアルフィトルを祝おう!」

日時:5月26日(日)13:00~16:00
場所:兵庫国際交流会館 ナダコムステーション
対象:大学・大学院生(留学生・日本人学生)・社会人
参加者:26名 学生22名(留学生:7校10か国14名、日本人学生:5校8名)
       一般1カ国2名、主催者(コンソ事務局)2名

 NGV第76回は、国際交流に関心の高いTeam Gnaviスタッフメンバーでイスラム教徒のパキスタン出身の留学生から「自分達が生きる上で欠かせないラマダンとラマダン明けの祭典イードアルフィトルについて伝えたい」という思いから、スタッフメンバー主体の企画としてイベントを実施しました。事前準備やミーティングを重ね、学生スタッフ主体の企画としてイベントを行いました。イベント参加を通して、参加者がイスラム教の文化理解を深めること、留学生が日常的に大切にしている自国の文化を発信することで、充実感を得られることを趣旨としました。

第1部:パキスタン人留学生による発表『ラマダン&イード・アル=フィトルって何?私達にとっての意味とは?』
 司会のパキスタン人留学生と中国人留学生が自己紹介をした後、「イードアルフィトルおめでとう!」「本当におめでとう」の意味を表す「イード・ムバリク!」「カイル・ムバリク!」の挨拶をしました。現地の言葉で挨拶をし、会場が盛り上がった後、パキスタン人留学生から文化紹介がありました。
●文化紹介の内容
・ラマダンとイードアルフィトルの意味と紹介
・イードアルフィトルの一日の流れ
・パキスタンでの習慣(メハンディーやゲーム、スイーツを食べる)
・メヘンディーの由来ともつ意味について
 ラマダンとイードアルフィトルがイスラム教徒にとって神聖なお祭りであり、祭りでは、贈り物を交換したり、友人や家族を訪問し、伝統的な食べ物を分かち合ったりすることで、家族や親戚の繫がりを再確認するものであることが共有されました。断食の期間中はつらいが、金銭的に貧しい人達と同じ立場になって考える貴重な機会であることが伝えられました。イスラム教徒の他国出身の留学生からは、同じイスラム教徒でも国によって祝う日数や習慣が微妙に異なることが伝えられ、留学生同士でも互いの理解を深め合える時間になりました。

ラマダンとイードアルフィトルの紹介をするパキスタン人留学生

第2部:ディスカッション&交流タイム
テーマ①家族同士で集まる時期はいつ?(15分間)
テーマ②相手に愛情を表現する手段について(15分間)
 第1部の発表を受け、4グループに分かれてディスカッションを2回しました。家族と集まるイベントは、クリスマスやイードアルフィトル、お正月、お盆などが挙がり、国や信仰する宗教によって違いがあることを理解しました。また、アフリカ圏では日頃からハグをしたり言葉で気持ちを伝える、料理を振る舞うという意見が出たのに対し、アジア圏では照れ臭さから直接的に伝えることは少ないが、父の日や母の日等のイベント時に手紙や贈り物をして感謝の気持ちを伝えることが共有されました。世界の文化や習慣の違いについて楽しく話し合いながら実感できる時間になりました。

愛情表現の手段について話し合う参加者

第3部『イードアルフィトルを体験しよう!』
ワークショップ内容:メヘンディー体験(メヘンディ絵画、肌のペインティング)、伝統菓子の試食、ゲーム交流会
 3部では、がらっと雰囲気を変えて、各コーナーに分かれてイードアルフィトルの体験を楽しみました。伝統菓子は、国際交流スタッフが協力して作った甘味スイーツ「サワイアン」が振る舞われました。メヘンディーの体験では、留学生からのレクチャーを受け、好きな柄を選び、紙に模様を描く体験を楽しみました。自国で描いた経験のあるイスラム教徒の留学生は、慣れた手つきで繊細な模様を描いており、周囲の参加者を驚かせていました。ゲームコーナーでは、パキスタンの伝統的な親戚が集まった時に遊ぶゲームで盛り上がりました。肌へのペインティングの希望者は、パッチテストをした後、パキスタン人留学生と国際交流スタッフと話しながら、腕に模様を描いてもらう体験を楽しみました。

メヘンディ絵画コーナー
パキスタンの伝統ゲームを楽しむ参加者
肌にペインティングをしてもらう参加者

■参加者の感想と考察
 参加者からは「パキスタンのイスラム文化を初めて知り、とても興味深く楽しかった」「ディスカッションでは自国の文化と比較して意見を言ったり、反応したりすることの重要性を学んだ」という感想が聞かれました。また、発表者の留学生からは「普段であれば自国に帰れず孤独な思いをするが、今年は日本で祭りを楽しみ、文化を知ってもらえて本当に嬉しく思う」という感想が聞かれました。
 普段馴染のない宗教や文化であると、何か特異なものに感じてしまいがちですが、気さくな留学生が楽しく話して文化を伝えることで、「大切な人に愛情を表現する」「家族や友人同士の絆を再確認する」という万国共通のテーマを感じることができ、参加者と留学生の距離もぐっと近づいたと感じました。
 今後も、留学生が彼らの存在意義を活かして自国の文化を表現しながら日本で活躍できる機会を提供したいです。また将来的に海外と繋がり働く日本人学生が、外国人に対する固定されたイメージや偏見で判断するのでなく、まずは彼らの話に耳を傾け、正しく知ろうとすることが真の国際交流に繋がるのだと実感できるよう伝えていきたいと考えます。国際交流企画スタッフが、一から準備とミーティングを重ね彼ら自身で作り上げたことが、イベントの成功と達成感に繋がりました。今後も、学生スタッフ組織がさらに充実し、学生同士が意見を伝え合い、国籍や大学を越えて互いに協力しながら成長していけるよう支援を続けていきたいです。