0-1 グリム童話「シンダーエラ」

シンダーエラの楽曲を読み解くにあたり、公式に元ネタとされているグリム童話「シンダーエラ」を青空文庫より転記する。
作品世界やコンセプトへの理解を深めるため、また以降の考察は本項を前提とするため、一読しておくことをお薦めする。


「シンダーエラ ―灰かぶり姫のものがたり―」

グリム兄弟 作
大久保ゆう 訳

 旦那さんがお金持ちの、ある女の人がいました。
 その女の人は病気で寝込んでいました。もう長くはないと女の人は思って、自分の産んだたった一人の娘を枕元に呼んで、こう言いました。

「いつも思いやりのある子でいるんですよ。私はお空の上からあなたのことをずっと見守っていますからね。」

 間もなく女の人は眼を閉じて、息を引き取りました。
 庭にお墓が作られました。この幼い少女は、来る日も来る日もお墓へ行き、涙を流しました。そして、お母さんの言う通りにいつでも誰にでも親切でいました。

 やがて雪が降り、辺り一面真っ白になって、お墓も銀色にお化粧をしました。でも、もうすぐ春がやって来るという頃に、お日様の光でみんな溶けてしまいました。

 ちょうどそんな時でした、お父さんは別の女の人と結婚してしまったのです。この女の人は、自分の娘を2人、家に連れてきました。3人とも見た目はとても綺麗でしたが、心は真っ黒だったのです。

 可哀想に、少女にとっては辛い日々のはじまりだったのです。

「この役立たず!こんな所で何やってるの!働かざる者、食うべからず、って言うじゃないの。あんたなんか、皿洗いくらいがお似合いよ!」と言って、少女のドレスをみんな取り上げた挙句、ぼろぼろになった灰色のワンピースを押し付けました。
 少女は笑われて、仕方なく台所に行くのでした。

 待っていたのは、辛い仕事の連続でした。お日様が顔を出す前に目を覚まして、水汲み、釜戸の焚き付け、ごはん作り、皿洗い。
 それだけではありませんでした。2人の姉は少女を色々いじめた挙句、笑い者にしました。

 日が暮れると、少女はへとへとになってしまいます。けれどもベッドもありませんから、釜戸のある部屋へ行って灰にまみれながら体を横にするしかありませんでした。ですから、少女はいつも灰だらけで汚れていました。そこで、少女は『灰かぶりのエラ』という意味の『シンダーエラ』という名前で呼ばれました。

 ある日のこと、お父さんがお祭に行くことになりました。まず、今の奥さんの娘たちに「何が欲しい?」と聞きました。すると、上の姉がこう言いました。
「綺麗なドレスがいいわ。」
 一方、下の姉はこう言いました。
「真珠と、宝石がたくさん欲しい。」
 最後に、自分の実の娘のエラに聞きました。
「おまえは、いったい何が欲しいんだい?」
 エラはこう言いました。
「お祭からの帰り道、お父様の帽子に、一番最初にひっかかった小枝で構いません。」

 お父さんはお祭で、2人の姉が頼んだ通り、綺麗なドレスと真珠・ダイヤを買いました。
 そして帰り道、馬車に乗って林を通りがかった時に、帽子がハシバミの木に引っ掛かって取れそうになってしまいました。ですから、その木の枝を折って持って帰ることにしました。家に帰るなり、その木の枝をエラにあげました。

 エラはハシバミの枝を持って、お母さんのお墓へ行き、傍に植えました。エラがいつも流すたくさんの涙が水やりの代わりになったので、ハシバミの枝はすくすく育ち、ついには立派な木になりました。
 毎日、3回はお墓へ行きました。その度にいつも泣いていると、ふと小鳥が現れました。木の上に巣を作り、エラとお話をするようになりました。小鳥はエラを優しく見守って、エラの望みならなんでも叶えてくれました。

 さて、ある時、王様がパーティを3日間開くことになりました。そしてパーティに来た人の中から王子様は花嫁を選ぶということでした。2人の姉はパーティに招待されました。

 2人の姉はエラを呼びつけて言いました。
「髪をといてくれないかしら。あと靴にブラシもかけて、腰帯も締めてくれる?私達、お城のパーティでダンスすることになっているんですからね。」
 エラは言われるままにしました。仕事はちゃんとこなしたのですが、涙がぽろぽろこぼれました。口には出しませんが、本当は姉たちについてダンス・パーティに行きたかったのです。

 エラは継母に「どうかパーティに行かせてください」とお願いしました。けれども、継母はこう言いました。
「シンダーエラ、あんたなんか履く靴も無い、着る服も無い、それにダンスもできないのに、それなのにパーティに行きたいだって?」
 エラは必死に頼みました。継母は追い払おうと、こう言いました。
「このお皿の中に入ったエンドウ豆、これを灰の山の中に投げるから、2時間以内に全部拾いなさい。そうしたらパーティのことを考えてあげてもいいわ。」

 継母は灰の中にエンドウ豆をぶちまけました。小さなお姫様は裏口から庭へ走り出て、空に向かって呼びかけました。
「優しいハトさん、スズメさん、お空にいる鳥さんたち、みんな来て、私が豆を拾うのを手伝って。
 良いものは鉢の中へ、ダメなのは食べちゃって。」
 
 まず、最初に白いハトが2匹、台所の窓から入ってきました。次に2匹のスズメが来て、お空にいる小鳥たちみんなが一斉にやってきました。ちゅんちゅん鳴いて、羽をぱたぱたさせながらやってきました。
 小鳥たちは灰の中に飛び込み、まずハトが身をかがめて、豆をつまんで取って、拾い上げました。残りの小鳥たちも豆をつまんで取って、拾い上げました。
 あっという間に灰の中から豆を全部拾い上げ、灰を除けつつお皿の上に置いていきました。全部終わるのに1時間もかからず、小鳥たちはまた窓から飛び出していきました。

 エラはパーティに行けるとうきうきしながら、継母の所へお皿を持って行きました。けれども、継母はこう言いました。
「あんたみたいな薄汚い娘は、ダメったらダメなの!ドレスも無い、ダンスもできないあんたは行っちゃダメに決まってるんだから。」
 エラは、またも必死にお願いしました。すると継母はこう言いました。
「この2枚のお皿の中に入ったエンドウ豆、これを灰の山の中に投げるから、1時間以内に全部拾いなさい。そうしたらパーティのことを考えてあげてもいいわ。」

 こうすればエラを追い払えると、継母は思いました。そして2皿ぶんのエンドウ豆を灰の中にぶちまけました。
小さなお姫様は裏口から庭へ走り出て、もう1度空へ呼びかけました。
「優しいハトさん、スズメさん、お空にいる鳥さんたち、みんな来て、私が豆を拾うのを手伝って。
 良いものは鉢の中へ、ダメなのは食べちゃって。」

 まず、最初に白いハトが2匹、台所の窓から入ってきました。次に2匹のスズメが来て、お空にいる小鳥たちみんなが一斉にやってきました。くぅくぅ鳴いて、片足でぴょんぴょんしながらやってきました。
 小鳥たちは灰の中に飛び込み、まずハトが身をかがめて、豆をつまんで取って、拾い上げました。残りの小鳥たちも豆をつまんで取って、拾い上げました。灰の中から豆を、灰を除けつつお皿の上に置いていきました。
 全部終わるのに30分もかからず、小鳥たちはまた飛び出していきました。
 
 エラは今度こそパーティに行けるとわくわくしながら、継母の所へ2枚のお皿を持って行きました。けれども継母はこう言いました。
「こんなものどうでもいいのよ。とにかく、あんたは行けないんだから。ドレスも無い、ダンスもできないようでは、こっちが恥をかくだけだわ。」

 継母は2人の娘を連れてパーティに行ってしまいました。
みんな行ってしまって、家にはエラ1人だけになりました。
 悲しみに暮れて、エラはハシバミの木の下まで行って、そこへ座って言いました。

「震えて、揺れて、小さな木、わたしに金銀ふりかけて。」

 すると、エラの友達、あの鳥さんが木から飛び出してきました。金銀のドレスやきらきらの絹の靴を持って来たのです。
 エラはドレスを着て、絹の靴を履いて、2人の姉のいるパーティへ行きました。しかし、姉たちはエラではなく、どこかの知らないお姫様だと勘違いしました。それほど煌びやかな服に身を包んで、立派で美しく思えたからです。エラは家で灰まみれになっているから、ここにいる筈がないと思っていたのです。

 王子様がエラに近づいて、手を取って一緒にダンスをしました。王子様はエラ以外の誰とも踊ろうとしませんでした。ずっとエラの手を握っていました。他の人がエラにダンスを申し込んでも、王子様はこう言うのでした。

「この方は、僕とダンスをしているのです。」

 こんな感じで、2人は夜が更けるまでずっとダンスを続けました。エラが帰ることになると、王子様は言いました。
「お話でもしながら、あなたの家まで行きませんか?。」
 王子様は、この美しいお姫様がどんな家に住んでいるのか知りたかったのです。けれどもエラは王子様を振りほどき、突然、家に向かって走り出しました。

 王子様は追いかけましたが、エラは飼育小屋に飛び込んで鍵をかけてしまいました。王子様は仕方なく、誰かが来るまで待つことにしました。
 エラのお父さんが帰ってくると王子様は「パーティにいた謎のお姫様がこの飼育小屋に身を潜めてしまった」と説明しました。2人でドアをこじ開けましたが、中はもぬけの殻でした。
 エラのお父さん、継母、姉たちが家の中に入ると、エラはいつものように小さなランプの仄かな明かりに照らされながら、灰で汚れたワンピースを着て横になっていました。

 どうやってここまで来たかといいますと、エラは全速力で飼育小屋を通り抜けて、ハシバミの木の所まで来ました。そして木の下でドレスを脱ぎ、鳥さんが持ち帰れるように木の下に置いてから、いつもと同じように灰色のワンピースを着て灰の中に寝そべったというわけです。

 次の日もパーティがはじまり、お父さん、継母、姉たちは出かけてしまうと、エラはハシバミの木の所へ行って言いました。

「震えて、揺れて、小さな木、わたしに金銀ふりかけて。」

 鳥さんが持ってきたのは、昨日よりもずっと綺麗なドレスでした。パーティに着ていくと、エラがあまりにも美しいのでみんな驚いてしまいました。
 王子様はエラを待ち焦がれていて、手を取って一緒にダンスをしました。他の人がエラにダンスを申し込んでも、王子様はやっぱりこう言うのでした。

「この方は僕とダンスをしているのですよ。」

 夜が更けて、帰る時間になりました。この日も王子様は尾けていって、昨日見失った所まで来ました。しかし、エラはあっという間に家の裏庭に消えてしまいました。

 庭に、美味しそうに実をつけた洋梨の木がありました。エラは他に隠れる所も見つからないので、誰にも見られない内にと、木の葉っぱの中へ隠れてしまいました。王子様はエラを見失ってしまい、どこに行ったかまったく分からなくなりました。
 エラのお父さんが帰ってくると、王子様はこう言いました。
「一緒にダンスを踊った謎のお姫様が消えてしまったのです。多分、この洋梨の木の中に隠れていると思うのですが。」
「もしかして、シンダーエラが?」とお父さんは思って、斧を持ってきました。「えい」と木を切り倒しましたが、人の影も形もありませんでした。

 みんなが台所へ行くと、エラはやっぱり灰の中で横になっていました。
 どうやったというと、エラは木の反対側から飛び降りて、綺麗なドレスをハシバミの木の鳥さんに返してから、灰色の小さなワンピースに着替えた、というわけでした。

 3日目、お父さん、継母、姉たちがパーティへ行くと、エラはまた庭へ行って言いました。

「震えて、揺れて、小さな木、わたしに金銀ふりかけて。」

 鳥さんが持ってきたのは、昨日よりももっと綺麗なドレスで、今度は靴が金でできていました。パーティへ行くと、エラのあまりの美しさに、誰も皆、言葉もありませんでした。
 王子様は、エラ以外の誰とも踊ろうとしませんでした。他の人がエラにダンスを申し込んでも、王子様はこう言うのでした。

「この方は『僕』のパートナーなのですよ。」

 夜が更けて、帰る時間になりました。やっぱり王子さまはついていく気でした。「今度こそ見失わないぞ。」と心に誓いましたが、エラもやっぱり王子様の前からぱっといなくなりました。
 でも王子様は頭を働かせて、前もって階段を全部オイルでべとべとにしておきました。ですから、エラは階段をかけ降りた時に左の靴がひっついて脱げてしまいました。王子様は靴を拾い上げました。それは小さく美しい、金の靴でした。

 次の日、王子様のお父さん、つまり王様の所へ行って言いました。
「僕は、この金の靴がぴったり履けるお姫様をお妃にしたいです。」
 エラの2人の姉は、この話を聞いて大喜びしました。2人の足は綺麗ですから、絶対履けると思い込んでいたのです。

 まず上の姉が靴を持って自分の部屋に行きました。継母が見守る中、靴を履いてみようとしました。けれども靴は思ったよりも小さくて、親指が邪魔して履けませんでした。
 継母はそれを見て、上の姉にナイフを手渡しました。

「大丈夫、切り取ればいいのよ。お妃様になれば、親指のひとつやふたつ、どうでもいいことになるわ。歩かなければいいんですから。」

 上の姉は継母の言うことを聞き入れて、親指を切ってしまいました。それから無理矢理靴の中に押し込んで、王子様に見せました。王子様は上の姉をお嫁さんとして自分の馬に乗せてお城へ帰ることにしました。

 けれども、お城への帰り道、エラが植えたハシバミの木の傍を通らなければなりませんでした。その時、梢の上で小さなハトがとまって歌を唄っていました。

「うしろを見て、振り返ってよ、
 靴の中は血溜まりだ。靴が小さすぎるんだ。
 本物のお嫁さんが、あなたを待ってる。」

 王子様は馬を降りて、上の姉の足を確かめました。血が流れていたので、王子様は騙されたことに気が付きました。馬に回れ右をさせて、偽物のお嫁さんを家に送り帰しました。
 王子様はエラの家の前でこう言いました。「この人は本当のお嫁さんではありません。誰か他の娘さんにこの靴を履かせてみて下さい。」

 今度は下の姉が部屋に行って靴を履こうとしました。けれども踵が邪魔して靴が履けませんでした。
 そこで、継母は血が出るまで無理矢理靴の中へ押し込んでから、王子様に見せました。王子様は下の姉をお嫁さんとして、自分の馬に乗せてお城へ帰ることにしました。

 でもハシバミの木の所まで来た時、まだあの小さなハトがいて歌を唄っていたのです。

「うしろを見て、振り返ってよ、
 靴の中は血溜まりだ。靴が小さすぎるんだ。
 本物のお嫁さんが、あなたを待ってる。」

 王子様が馬の上から見ると、下の姉の靴からたくさんの血が流れていて、白い靴下が真っ赤になっていました。王子様は馬に回れ右をさせて家に送り帰しました。

 王子様はエラのお父さんにこう言いました。「この人は、本当のお嫁さんではありません。もう他に娘はいないのですか?」
 お父さんは、こう返事をしました。
「いません。ただ、私の連れ子に薄汚れたシンダーエラという娘がいますが、あの子が本当のお嫁さんだなんて、絶対ありえっこないです。」

 けれども、王子様は連れて来なさいと言いました。継母がしゃしゃり出て言いました。
「あの子はダメですよ。薄汚いから、王子様の前には出て来たくないって。」

 でも王子様は連れて来なさいと言い張りました。

 エラはまず顔と手を洗ってから、王子様の前に現れました。スカートの縁をつまみ、膝を曲げ、挨拶をしました。
 王子様は金の靴を手渡しました。エラはぼろぼろの靴を左足から外して、金の靴を履きました。エラのために作られたみたいに、靴はするするっと足に収まりました。
 王子様は、エラを側に引き寄せてじっと見つめました。確かに、見たことのある顔だったのです。

「この人が本当のお嫁さんです。」

 王子様の言葉を聞いて、継母と2人の姉はぎょっとしました。エラが王子様の馬の上に乗せられたとき、継母もその娘たちも、怒って顔が真っ青になっていました。

 王子様とエラは、馬に乗ってハシバミの木を通りがかりました。あの白いハトはこのように唄っていました。

「うしろを見て、振り返っても、
 靴の中に血は無いね。靴も小さくないからね。
 本物のお嫁さんは、あなたの側に。」

ハトは歌を唄い終えると、梢から離れてエラの右肩にちょこんととまり、一緒にお城へ行きましたとさ。

(※なお末尾に、次の文が含まれることもある。)

 王子様との結婚式が執り行われた日、2人のいじわるな姉は、エラに取り入って幸せにあやかろうとしました。
 誓い合った2人が協会へ向かった時、上の姉は右側にいて、下の姉は左側にいましたが、真ん中にいたハトに2人とも片方の目を食べられてしまいました。
 2人が帰って来た時に、今度は上の姉は左側、下の姉は右側にいたため、真ん中にいたハトに2人とももう片方の目も食べられてしまいました。
 こうして、悪いことばかりしていた2人の姉は、戒めとして一生目が見えなくなったとさ。

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引用元:https://www.aozora.gr.jp/cards/001091/files/46344_23172.html

※「クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンス」(https://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/)に基づき、以下の通り表記を大幅に変更している。

・引用元の作品名称は「アッシェンプッテル」であるが、「シンダーエラ(シンデレラ)」のドイツ語表記であるため、本項の目的のためにわかりやすく「シンダーエラ」に差し替えた。
・原文では主人公の名を一貫して「アッシェンプッテル(=シンダーエラ)」と表記しているが、「シンダーエラ」は継母たちから付けられた蔑称であり、「Cinder(灰被りの)」「Ella(エラ=人名)」に分解できるため、また読みやすさも加味し通名を「エラ」、蔑称として呼ばれている箇所に限り「シンダーエラ」と表記を分けた。
・ひらがなと漢字が奇妙に入り交じり、現代の義務教育を終えた我々には非常に読みづらいため、その多くを漢字に変換した。
・読みやすくするために一部句点を削除した。
・ごく一部、物語の雰囲気を損なうことが無い範囲で言い回しを変更した。


◻️登場人物のおさらい

エラ
主人公。ただ真面目に他人に親切に生きており、いじめられて毎日泣いていながらも愚直に継母のクエストをこなしてはうきうきした気持ちで報告に行くなど、根がポジティブというか妙に鈍感なところがある、良く言えば薄幸ながら純新無垢な少女。友達が鳥しかいないが、当の鳥は人語を操れるので人としてあまり問題はないと思われるが、悲しみのあまり鳥たちが超常的な能力を得たと考えるとある意味では魔女というか、主人公補正が凄まじい。なお、バリエーションによっては姉2人の悲劇を知って満足するという最後の最後でキャラとして愛しづらい一面を見せたりもする。

エラの母
善人。唯一まともだったが病死してしまい、それがエラの悲劇の発端となる。ろくでもない男を旦那にしてしまった。玉の輿には乗れたようだが、男の中身を見る目が無かったか、金さえあればとあまり気にしていなかった可能性がある。エラの性格が母親譲りであれば、性格は良かったが悪意などに鈍感でクズ男に捕まってしまったといったところだろう。

エラの父
いまひとつスタンスが判然としなかった実の父親。エラに欲しいものを聞いてちゃんとプレゼントする代わりに、その内容に対して疑問を抱かないなど謎めいた行動が見られるが、最終的に王子様に対し「シンダーエラという薄汚れた娘がいますが」と蔑称込みで発言し、継母&シスターズの側に立っていたことが判明。実の娘に人並みの情もないクソ野郎であったと思われる。が、何のお咎めもなし。継母の魔性による負の影響下にあったのかもしれない。

継母
魔女。犯罪史に残る胸糞事件の首謀者と同等の悪臭がする。実の娘に足指の切断を強要するなどのサイコパスで、従ってしまう連れ子の2人は継母に洗脳されていたと思われる。流血を隠そうとしないあたりもヤバい。諸悪の根源にもかかわらずお咎めなし。

・2人の姉
欲しいものが微妙に違う以外にさしたる差はない無個性の半モブ姉妹。母と共にエラをいじめていたが、母に足指の切断をするよう言われ素直に受け入れるなど洗脳されていたとしか思えない奇行に走る。流血を隠そうとしないのはパニックゆえか。なお、それでいてエラの幸せにあやかろうとするなど強かな面も持つが、最終的にハトに目を食われ失明してしまった。この親にしてこの子ありというところだが、作中で罰を受けたのはこの2人だけであり、親ガチャで大凶を引き当てたと考えれば一番可哀想な2人とも言える。

・王子様
バカ
。エラの身元を突き止めるために取った手段が「階段をべとべとにして靴を脱がせる」だったり、エラのことは服がみすぼらしくても顔でわかるのに、明らかに別人の姉2人に立て続けに騙されたりする(足元の血にも気付かない)。そもそもなぜダンスパーティーの最中にプロポーズしなかった。しかしながら惚れた相手に一途で愚直、つまり愛すべきバカと言える。金色のガッシュなど雷句誠の漫画に出てきそう。ほっぺにピンクの丸が描かれててほしい。

・鳥
超常的な存在。
人語を話すのはこの世界では当たり前なのか、エラと関わったゆえの特殊能力(かつ王子は愛すべきバカなので気にせず受け入れていた)だったのかは不明。魔法の如くエラの望みを叶え、匠の技で灰の中からエンドウ豆を仕分け、秀逸な観察眼で真理を見抜く最優の守護獣。ご都合主義の塊とも言う。バリエーションによっては魔女となって一夜限りの魔法をかけるあのポジション。



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