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最近聴いているアルバム2024.01

今月分だけでなく、ここ数ヶ月よく聴いていた旧作を記録しておく。高校生の時に聴いていたのを再訪するのが今のマイブーム。


Teenage Fanclub 『Thirteen』(1993)

"Hang On"

当時のグランジムードを引きずったノイジーで怠惰な作品だが、その中に綺麗なハーモニーがあるから彼らの音楽は特別だし、良い。カートの死を経て次作以降は綺麗なハーモニーとメロディに注力していくが、本作と一つ前(『Bandwagonesque』)にしかないこの折衷モードが今も私を魅了する。イギリスのバンドにもアメリカのバンドにも軟派なバンドにも硬派なバンドにも、つまり全てのバンドからこのバンドは素直に褒められリスペクトされていたが、それはとても珍しいことだと思う。



Sparklehorse『Vivadixiesubmarinetransmissionplot』(1995)

"Heart Of Darkness"

私の中でオールタイムベストの一つという座は変わらない。まずメロディが切なすぎて心にグサグサ刺さる。サウンドもバラエティに富んでいるがシンプルにまとめていてセンスが良すぎる。本当に才能があって本当に音楽の好きな人が本当に自分のやりたい音楽を完全に形にしたときにしか生まれない奇跡的な瞬間がアルバムに何度もある。最近流行の90年代オルタナトリビュート系若手ロックバンドもこれくらい曲が書ければいいのにな。



Primal Scream『Vanishing Point』(1997)

"Star"

私の中でPrimal Screamといえば『Give Out But Don’t Give Up』と『Vanishing Point』だ。この2枚は地味な立ち位置だけど音が気持ち良すぎる。本作はダブがどうこうと言うより、サイケデリックで抽象的な音の羅列による煙たくて胡散臭い映画的世界が大好き。”Star”のPVはこの世界観をよく表していると思う。やっぱ1997年はこれと『Blur』の双璧だな。あとThird Eye BlindPrefab Sproutも。



Feeder 『Comfort In Sounds』(2002)

“Comfort In Sound”

ドラマーの死去がアルバム全体に暗い影を落としているが、同時にそれを振り切ろうとするエネルギーも漲っており、唯一無二のオルタナティブロックアルバムに仕上がっている。2002年はまだUKロックが今後どうなっていくのか明確な潮流がなかった時期だったと思うが、その中でこのアルバムはかけがえのない力強さと説得力を持っていた。中学生の時、本作と次作を既にレンタルで聴いて大好きになっており、待ち侘びてリリース日に買った次々作『Silent Cry』(2008)を聴く時のワクワクっぷりは今でも忘れられない(聴き終わってとんでもなく落胆したことも)。



Athlete 『Vehicles And Animals』(2003)

“Shake Those Windows”

空間を生かしたシンプルなバンドサウンド、素朴で親しみやすいメロディ、軽妙な遊び心が心地良い作品。遊び心がたまに失敗してるのも微笑ましくて良い。情けなさ由来の切なさがあるのも良い。「軽いGomez」と呼びたくなる。2nd(全英1位)以降は当時の美メロUKロックブームに乗っかり過ぎてしまい個性が無くなってしまったけど、本作だけはたまに聴きたくなる。



John Mayer 『Battle Studies』(2009)

“Heartbreak Warfare”

前作『Continuum』でグルーヴ路線は極めたと自覚があったのか、グルーヴから一旦解き放たれ宙をふわふわ漂う柔らかなポップスになった。それを象徴するのが一曲目”Heartbreak Warfare”のクリケット奏法で、曲全体に忘れがたい浮遊感を与えている。ここからの三作には作風の方向性に賛否両論あるし、もっと弾きまくってよ!という声が多いのも分かるが、曲の求める要素をギターでさりげなく完璧に付与するセンスに関しては人気の初期3作を凌駕しているとも思う。



Real Estate 『The Main Thing』(2020)

Atlas』(2014)と『In Mind』(2017)はギターポップの究極系と思ってたし大好きで何度も何度も聴いていた。しかし本作が分からない。特に大きく何かが変わったわけではないし、シンプルなのに、なぜか心に響かない。難解なアルバムとは実はむしろこういうアルバムのことを言うのかもしれないと勉強になった。2月に出る新譜は先行曲を聴く限り好きなので安心。



Warhaus 『Ha Ha Heartbreak』(2022)

“Time Bomb”

これは年末年始のヨーロッパ旅行中にウィーンの街中で流れてたのをshazamして出会ったアルバム。ウィーンの高貴でちょっと気取ってる感じ(個人的感想)に驚くほどハマっていた。レコード買うことを検討中。



余談

居酒屋で友人が、アーティストは政治的主義主張を曲の中でどんどん歌っていくべきだ、と熱く語っていた。しかし私はそういうアーティストを尊敬こそすれど聴きたいとは思わない。わざわざ専門家でないアーティストから説教臭く歌われるよりは普通に日経新聞とか読んでた方が詳しく正確に理解できる。ジェシー・アイゼンバーグは歌なんて無駄、本当に効果があるのは地道な活動だけだと言っている。

私がアーティストに求めるのは、例えば日常的な何でもない出来事を個性的な感受性で解釈して詩的に歌っているような、そしてそこには何らかの思索と含蓄があるような、そんな日経新聞記者には逆立ちしても書けないようなもの。餅は餅屋。そう言おうと思ったら彼は居酒屋BGMの浜崎あゆみを口ずさんでいた。私は何も言わず次の話題に移った。




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