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親しみ溢れる民族音楽をきれいごとで終わらせない、吉村直美の演奏

『吉村直美ピアノリサイタル 音楽と旅 #2 』に伺いました。(2021/04/24@トキョーコンサーツ・ラボ)

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吉村直美さんは10代でドイツへ渡り、ロストック国立音楽演劇大学に留学。同大学を経て、ドイツ・ハンブルグ国立音楽大学を最優秀の成績で卒業。同大学在学中、ロータリークラブ、ブクステフーデ、シュターデの3団体により全額奨学生に選ばれました。17歳の時に、指揮者スタニスラフ・ガヴォンスキーのもとポーランド・国立クラクフ交響楽団と共演を皮切りに、ドイツ、フランス、ベルギー、チェコ、スウェーデン、アメリカにて演奏活動を行っています。

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そんな吉村さんがこれまでの体験をもとに”音楽と旅”と銘打って行われた第2弾のコンサートは、リゲティの現代的響きを活かしたさわやかな風を感じさせる演奏で開始されました。続く民族色豊かなルーマニア舞曲では、通常感じるのどかさよりはどこか切迫した表現を備え、その緊張感が次のベートーヴェンの「月光」に引き継がれていくように感じました。「月光」のプレストにおける性急感は早鐘を打つような緊迫した空気を備えた熱演でした!
コンサート後半はブラームス晩年の傑作を陰影と温かみある演奏で開始。最後はリストの技巧的なバラード2番で締めくくられました。

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アンコールではハチャトリアンのトッカータが演奏されました。ハチャトリアンのアルメニアへの思いを込められた曲にドラマを見出すかのような迫真さがありました。民族色溢れる音楽に込められた、それぞれの民族がもつ歴史の奥深さをも感じさせる演奏でした!

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▼セットリスト
リゲティ:ピアノのための練習曲第7番
バルトーク:ルーマニア民族舞曲 Sz.56
ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番「月光」
ブラームス:3つの間奏曲 Op.117
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
リスト:慰め S-172
リスト:バラード第2番 S-171


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