主治医に出す報告書の書き方

これは、手術や抗がん剤治療をひとまず終え、経過観察中の妻の診察の様子を描いたものです。
あまり、経過観察中の診断の様子を報告した文献が少ないと感じられるので、参考になればと書いてみました。

なお、私は妻の夫でキーパーソンをやっています。
90歳の父の自宅で介護もしている、介護福祉士です。
自身もパーキンソン病で、現在は2人の介護に専念しているので働いていません。
今後も、働くことは無いでしょう。

アメブロとnoteでブログをやっていますので、良かったらみてやって下さい。
大腸がんステージ4の妻のキーパーソンをやっている私が悪戦苦闘しながらえたノウハウを公開しています。
「コネクトライフプロジェクト」でヒットします。

「主治医と良好な関係の作り方」
「主治医に出す報告書の書き方」
「上手な病院の使い方」
「オススメの医療動画と本」
「時事問題」
が主なテーマです。

良かったら、お読みください。
コメント、イイね、をいただければ嬉しいです。

ツイッターアカウントは「安光謙一郎」です。
絡んでいただいたら喜びます。

なお、ブログを書き始めて3か月になります。
今までは、自分の言いたいことをダラダラ書いてきました。
今回から、読まれる皆さんの視点に立った文章を書き、少しでもお役に立てられたら幸いです。

では、改めて今後ともよろしくお願いいたします。


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【妻のこれまでの経過】


【主治医への報告書の書き方】


【今回の診察を終えて】



妻のこれまでの経過

まずは、妻の状況を。
最初にお断りしますが妻の年齢だけは言えません。
ÝMOのライブに行き、テクノカットをしてしまった世代です。
それだけお伝えしておきます。

【令和2年2月17日】
便に潜血が見られたので近所のクリニックを受診。
大腸カメラ検査の結果、市立病院での受診を勧められる。
当日、市立病院を緊急受診し、即入院。

翌日、大腸がんステージ4、肝臓と肺に転移ありと診断される

【令和2年2月25日】
市立病院にて原発巣とリンパの腫瘍部を切除。

【令和2年3月24日】
抗がん剤治療ファーストライン開始
レジメンはFolfoxiri+アバスチン
(BRAF変異型遺伝子異常)
主治医は医学部附属病院の腫瘍内科医

【令和2年8月25日】
抗がん剤治療ファーストライン終了、11クールでした。

【令和2年9月29日】
医学部附属病院にて肝臓の腫瘍摘出手術、残肝は55%

【令和2年11月中旬】
腸閉塞で入院

【令和3年1月19日】
術後抗がん剤治療終了。

【令和3年2月2日】
サーベイランス開始


主治医への報告書の書き方


まずは今回主治医に出した先生への報告書を出しておきます。

○○先生御侍史

令和3年3月20日

妻の現状報告

〇ガスがかなり出ています

〇血圧は安定しています→降圧剤と胃薬は、いりますか?

〇しびれの自覚症状は変わらず。鎮痛補助薬の副作用らしきものは無いです

〇しびれは足の指に強く出ています。親指と人差し指、薬指と小指の股が引っ付いている感じで歩行時に若干影響あり

〇機能訓練デイサービスに週2回行っています。活動量は多いです。

〇足の筋肉が明らかについています

〇食欲は極めて旺盛です。

〇排便障害は少し落ち着いた感じです


質問です

1, 抗がん剤のオプションはいくつ残っていますか?

以上です

――――


さて、ここからは診察の際に主治医に出す報告書について私なりの考えを書いていきます。
良かったら参考にしてみてください。

最初は、1日ごとの様子まで細かく描写していました。
妻の状態の変化、抗がん剤の副作用、活動量、食事量など多岐にわたり報告していた気もします。

自分用の日記や記録ならそれでも良いでしょうが、1日15人(主治医いわく)の患者をさばかなければいけない主治医が3枚、場合によっては5枚による膨大な量の報告書を読めるはずもありません。

そもそも、報告書を書く目的は

患者の希望を短い診察時間で全てを伝えることが出来ないことが多いので、文章化しておけばある程度は伝えられることが出来る

ということが一番です。
私にとって、診察室で主治医と対峙して自分の希望を言うことは今でも難しいものです。
そして、抗がん剤治療中の患者にとっては、この後にある抗がん剤の投与のことで頭が一杯で診察どころではないのが事実です。
妻もそう言っていました。

医者にとっては、診察とは「患者の見た目の元気さ」を実際に見て確かめる機会でもあります。
抗がん剤治療を行えるかどうかの基準は、血液検査の結果で分かる「肝機能や腎機能に障害が無いこと」です。

しかし、もうひとつ大切なことは「抗がん剤の副作用が許容範囲内であること」です。
これは血液検査の結果では見抜けません。
患者の自己申告でしか主治医は副作用の度合いを知ることが出来ません。

主治医が、大したことが無いと思っていて
患者は苦しくて抗がん剤治療を止めたい

このようなギャップがあっては抗がん剤治療も上手くいきません。
抗腫瘍効果がどうのこうのという以前に、寝たきりの時間が多く、患者の生活の質が低くては治療の意味がありません。

ちなみに、大腸がん治療ガイドライン医師用2019年版では抗がん剤治療の中止や延期すべき基準を以下のように示しています。

全身状帯が不良、または主要臓器保たれていない。
重篤な併存疾患を有する患者は原則的に薬物療法の適応はない。

その他には、PSや急激な体重減少も判断材料になると書いています。

PSとは、パフォーマンスステイタスの略です。
全身状態の指標のひとつで、PS値が3になれば延期を考えるべきだとも言われています。
あくまでも、延期うんぬんは総合的な判断によるものですが。

患者にとって、抗がん剤治療の副作用が許容範囲を超えているかの基準は
「PS値が3(日中の50%以上寝ているか、椅子に座っている状態)が長く続いているかどうか」と私は考えています。
これについてはあながち間違いではないと思いますが、一度主治医に聞いてみて下さい。

私は、妻の自宅での様子はPSを使って主治医に報告していました。
ただし、PSの意味が良く分かっていなければこのやり方はかえって面倒くさいことになりかねません。
ご注意ください。

最期にまとめます。

私流、抗がん剤治療中の診察に出す報告書の内容
〇患者や家族の要望
〇患者の自宅での様子

できれば1枚、多くても2枚までにしておいた方が良いでしょう。
私は、最高で10枚書いて出したことがあります。
最近、主治医に「あれは、きつかった」嘆かれたことを報告しておきます。

今回の診察を終えて

現在は経過観察中です。
私は、経過観察とは
次の治療を再開するタイミングを図っている状態
だととらえています。
できることが無い状態とは考えていません。

どんな治療にもある程度耐えられる体力をつけること

やりたいことをやって、自信をつけること

まだまだ延長戦を求めるなら、経過観察中にこの2つをやらないともったいないです。

がんになったということ、特にステージ3以上の進行がんになった以上は
その人の生活は今まで通りに送れなくなります。
人生が残念ながら思っていたより早く終わることもあります。

そのような時に、諦めて積極的な治療をせずに痛みのコントロールだけをしながら、好きなことをとことんやりぬくことも立派な選択です。

積極的な治療をして少しでも現実生存期間の延長を勝ち取れたり、完治できたりする現実的な可能性があるならそれにかけてみるのも立派な選択です。

私は、どちらでも良いと考えています。
患者だけに、今後の人生をどう送るかを選択する権利があるのです。

もし家族が「まだ助かる可能性があるのだから、患者を説得して積極的な治療を受けて欲しい」と願うなら、以下の2つが必要です。

〇理路整然と患者を納得させる話し方を取得すること
〇病状を把握するために、そのがん種を勉強すること

話し方の取得は、トップセールスマンのノウハウ本が良いのではないでしょうか。
私なら、
「まずはじっくり相手の話を聞く」
「相手の悩みや希望をできる範囲で把握する」
「相手の気持ちに寄り添いつつ、希望が無いわけではない理由をゆっくりと話す」
「無理強いさせずに、相手に結論を出してもらう」
このようにします。
失敗したら、なぜ失敗したのかを分析して、別のアプローチを成功するまでやり続けるのみです。
PDCAサイクル(計画→実行→評価→実行)という手法です。

もちろん私とて簡単に実践できませんし「所詮、理想論ではないか」おっしゃる方もおられることでしょう。
しかし、物事を成功に導くためには正しい手法(メソッド)を知る必要があるのではないでしょうか?
確かに、他人の考えや気持ちを知ることは簡単ではありません。
ただ医療でも、私の専門分野でもある介護でも相手の気持ちを理解しようとすることがまずは大切だと思います。
その姿勢があれば、良い結果を生み出す可能性が高まります。

これが、「寄り添う医療(介護)」の本当の意味だと私は考えています。

次に、患者の病状の把握について

私もそうでしたが、患者が例えば大腸がんステージ4のがんと診断された時に買う本は
「ステージ4のがんを完治する」
「ステージ4のがんに勝つための食事」
といった本です。
完治やら、食事に関しては長くなるので省きます。
実は、この本の買い方自体に問題があります。

まず、ステージ4ということに着目してください。
確かに患者はステージ4ですが、大切なことはステージ4ではありません。
患者のがんを勉強するために買うべき本は、ステージ4の本ではなく、どのがん種の本を買うかが重要になります。

まず、ステージ4に着目すべきでない理由として
「がん種が違うとステージ4でも全く症状が違う」
という理由を挙げておきます。
例えば、乳がんのステージ4と大腸がんステージ4では症状も全く違います。
病状の進行具合や、使用する抗がん剤も違います。
ですから、ステージ4に関する本を買っても私はそんなには意味が無い気がします。

がんと診断された時に、私が個人的に推奨する本の買い方は

① 初心者向けのがん解説本
② その患者のがん種の解説本

というパターンをオススメします。


まず、がんというものがどんな病気かを知る必要があります。

それから、大腸がんなら大腸がんに特化した本を買うと良いでしょう。
単に、ステージ4の本を買うと、卵巣がんや肺がん、胃がん、食道がん、前立腺がんなどのある意味不必要な情報が満載の内容になっています。
知りたいのは大腸がんの情報なのに大腸がんの情報は1ページ程度。
これでは、コストパフォーマンスが高いとは言えません。

では具体的に、本の紹介をさせていただきます。

分かりやすいがんの解説本

「孤独を克服するがん治療」

 押川勝太郎著

現役のがん治療医で、ユーチューバーでもある押川先生の本です。
はじめてがんになった人に一番オススメしたい一冊です。
先生のオススメの一冊や、コラムも非常に分かりやすく、今でも参考にしています。
日本で一番患者に寄り添ったがん治療医と言っても過言ではありません。


「最高のがん治療」

津川友介、勝俣範之、大須賀覚著

もしかしたら、いきなり読むと訳が分からない可能性もありますが、この本の価値はものすごく高いと断言できる内容です。
インチキ療法の見抜き方、最高のがん治療と言われる標準治療の分かりやすい解説など、これ一冊でがん治療のほとんど全てが分かります。
全てのがん患者や家族が読むべき本だと切に思います。


大腸がんと診断された人にオススメする本

ありません。
というより、初心者向けの大腸がんに関する本を読んだことはありますが、私の頭が悪いのかコレといった初心者向けが思いつきません。

妻が大腸がんと診断され3か月くらいに読んだのが
患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版」大腸癌研究会編

10カ月後くらいに読んだ本が
大腸癌治療ガイドライン医師用2019年医師用2019年版」大腸癌研究会編

どちらも大腸がんに特化した本です。
ただ、内容が極めて難しいので最初に買うことは全くオススメしません。
がんの仕組みや、レジメン、治療の根拠やアルゴリズムを知りたい理屈っぽい私のような人には良いかもしれません。
患者さん向けの~は買っておいた方が良いのではないでしょうか。


以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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