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第三者検証〜はじめの一歩(10)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」10回目。

9回目からは、現地検証、オンサイトレビューの説明に入っています。
以下の流れで進めており、会議室で実施するステップまで終わりました。

続いてはようやく、オンサイトレビューの核心、「現地確認」です。

報告書にある「排出源」「モニタリングポイント」が実際に存在するのか、記載漏れがないか、説明されたような手順が現場で運用されているのか、裏付けを取る作業になります。

オンサイトレビューのポイント

オンサイトレビューでは、現場・現物の確認が目的。
エビデンスの「現物」を会議室で確認、算定結果との突合作業を終えた後の「現地確認」では、「現地」に脚を運んで目視することになります。

敷地が広かったり、入室するに当たって、着替えたり、セキュリティーチェックがあったり等々で時間が想定以上にかかることがあるので、時間調整に苦慮するところではありますが、手を抜くことはできません。

なので、事務局の連絡不足、調整不足によるタイムロスは極力避けたいところ。これまた、企業の検証受審熟度が問われるステップです。

現地確認で気を遣うのは、敷地境界と排出源です。

図面と実際の敷地が違ったり、記載の無かった排出源があったり、逆に無かったり。加えて、現場担当者の説明が、手順と異なっていたりなど、事務局からすると「想定外」が頻発しますが、こちらとしては「想定内」。しっかりチェックさせてもらいます。

このように、朝からステップをこなし、ようやくクロージングミーティングに辿り着くことになります。もちろん、規模によっては2日間ということもありますが、その場合は、中間のクロージングミーティングを実施します。

ここで重要なのは、「発見事項の確認と合意」です。

発見事項の事例

このように、発見事項は様々ですが、ひとつひとつについて、「CAR」か「CL」か、あるいは単なるコメント、意見かを検証人が判断し、担当者へお伝えします。

前回(9回)で述べた、「CAR」「CL」のお話です。
これを「ガッテン」してもらって対処してもらえなければ、全く先へ進めません。それほど重要な内容となります。

検証業務は下記プロセスを経て、「検証意見」を形成し「検証報告書」を発行するのが最終目的です。

妥当性確認・検証プロセス

その検証意見の結論は、次の3種類+1種類があります。

これに影響を与えるのが、「発見事項の種類」なのです。

発見事項の種類

つまり、是正されない場合「無限定適正」とならないのが「CAR」、「無限定適正意見」となる可能性が高いのが「CL」となります。

基本的には、適切に是正して頂いた上で「無限定適正意見」とすることが多いと思います。費用を頂いて検証していることから、なかなか「不適正意見」は出せませんね。ただ、「意見不表明」は有り得ると思います。

具体的には、エビデンスとして必要な契約書、届出書類が存在しない、提示してもらえない場合などです。確証が得られないということになり、適正とも不適正とも結論づけることができない。すなわち、「意見が表明できない」ことになります。


以上を持って「オンサイトレビュー」の日程は終了となります。

その後は、CAR及びCLの発見事項について是正や修正、あるいはエビデンスの追加提出・再提出等々を行って頂くことで、解消されたと判断できた場合に、検証チームは「結論」を得ます。

まぁ、これがなかなか手強く、根気強くやり取りすることになります。こちらとしても頑張りますので、算定担当の方には、よろしくお願いしたいところです。

検証チームが出した結論は、検証期間の中における「第三者レビュー」であるところの「テクニカルレビュー」及び「プロセスレビュー」を経て、めでたく「検証報告書」の発行に辿り着くことになります。

始めから終わりまで、検証業務は、受審企業との二人三脚です。
お互い信頼し合わなければなし得ない業務なのです。

個人的なことを申し上げますと、ここまでの過程を通じて、担当者の方とは信頼関係を築いてきているわけです。最初はぎこちないものだったかもしれませんが、ここまで来ていれば、良好な人間関係が構築されているはず。

ですので、できれば、次回以降も検証業務を依頼頂きたいところなのです。
事業内容や工場・事業場も理解できていますし、算定手順にも習熟しています。前年と変更の無い事項については、簡便な確認のみで済むでしょう。

こちらとしても、誠実に業務を遂行して参りますので、受審される企業様におかれましては、見積金額の多寡で安易に決定せず、まずは、継続して発注頂けますと幸いです。

ということで、10回に亘ってお届けしましたが、いかがだったでしょうか。
当方としても、検証機関での検証経験は3社のみですから、網羅的、普遍的な内容とは言えなかったかもしれません。

ですが、初めて検証に臨むに当たって、少しでもお役に立つことができましたら幸いです。

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