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FLAG目標設定の実際(3)

「FLAG Getting started guide」のリリースに併せて行われたウェビナーを視聴したので、その内容をご紹介しています。

FLAGガイドラインについては、こちらを参照ください。

なお、いつからガイドラインが適用されるか、その時期については説明がありませんでした。

これについては、認証の有無、目標提出の時期によって異なりますので、下記を参照ください。

・2020年1月以前に目標設定した企業
 →2023年12月31日までに、エネルギー/産業目標更新+FLAG目標提出
・2020年1月〜2023年4月30日に目標設定した企業:
 →2024年12月31日までにFLAG目標を追加
・2023年4月30日以降に、新規で目標設定する企業
 →エネルギー/産業目標+FLAG目標を最初から同時に提出

さて、3回目の今回は、ケーススタディのご紹介。
具体的なので、イメージも湧きやすいと思います。

SBTiウェビナー資料より

ラインナップは、こちらの3社。
会社A:食品スーパー/SBT認証済み/ネットゼロ目標提出/FLAG目標提出
会社B:繊維会社/SBT初回申請/ネットゼロ目標提出無し/FLAG目標提出
会社C:水産会社/SBT認証済み/ネットゼロ目標提出/FLAG目標提出無し

こんな事業者もFLAGセクターになるんだ?
そう感じた方もいらっしゃるかもですね。

条件を再掲しておきますので、おさらいしておきましょう。
もしかして、自社も対象かもしれませんよ。

A. 以下の事業を行っている企業
・林産品、紙製品
・食糧生産:農業生産
・食糧生産:動物由来
・食品、飲料加工・食品小売業・たばこ

B. 以下の条件に当てはまる企業
・収入の20%以上が森林、土地、または農業に起因する
・スコープ1、2、3排出量のうち、FLAG関連排出量の合計が20%以上


SBTiウェビナー資料より

さて、会社Aは食品スーパー。「食品小売業」なので指定事業者。
短期SBT(更新)+ネットゼロ目標+FLAG目標の予定。
2020年以前に目標を設定したので、2023年12月31日までに提出します。

コストは、$20,250 となります。
(短期SBT(更新)及びネットゼロ:$12,750+FLAG目標:$7,500)

SBTiウェビナー資料より

提出するフォームは、以下の4種類です。
短期SBT:Near-Term Target Update Submission Form
FLAG目標:FLAG Annex
ネットゼロ:Net-Zero Submission Form Part Ⅰ & Part Ⅱ

以下の3つのツール(エクセルシート)を使用できます。
SBTi Target-Setting Tool
SBTi FLAG Target-Setting Tool
SBTi Net-Zero Tool

SBTiウェビナー資料より

会社Bは繊維会社。指定事業者はありませんが、スコープ1・2・3排出量のうちFLAG関連排出量が20%を超過するので、対象となっています。
短期SBT(更新)+FLAG目標(新規)の予定。
初申請なので、始めからFLAGセクターガイドラインに従うことになります。

コストは、$17,000 となります。
(短期SBT(更新):$9,500+FLAG目標:$7,500)

SBTiウェビナー資料より

提出するフォームは、以下の2種類です。
短期SBT:Near-Term Target Update Submission Form
FLAG目標:FLAG Annex

以下の2つのツール(エクセルシート)を使用できます。
SBTi Target-Setting Tool
SBTi FLAG Target-Setting Tool

SBTiウェビナー資料より

会社Cは水産会社。スコープ1・2・3排出量のうFLAG関連排出量が20%未満なので、対象外となります。
短期SBT(更新)+ネットゼロ目標(新規)の予定。
FLAG目標は提出しませんので、期限の縛りはありません。

会社Cは短期SBT(更新)及びネットゼロなので、コストは$12,750 です。

SBTiウェビナー資料より

提出するフォームは、以下の2種類です。
短期SBT:Near-Term Target Update Submission Form
ネットゼロ:Net-Zero Submission Form Part Ⅰ & Part Ⅱ

以下の2つのツール(エクセルシート)を使用できます。
SBTi Target-Setting Tool
SBTi Net-Zero Tool


大多数の事業者は、会社Cに当てはまるのではないでしょうか。

前回お伝えしたように、直接的には関係ないのですが、提出するフォームがFLAG対応となっているため、間接的な影響がある訳です。

SBTiウェビナー資料より

エネルギー/産業セクターの排出量と、FLAGセクターの排出量を分けて算定しておかなければ、対象事業者か否かの判断ができません。

食品製造業でなくても、農産物を大量購入しているのであれば、判断基準Bに該当するかもしれません。自社の事業を理解しておく必要がありますね。

今年半ばには、GHGプロトコルの「Land Sector and Removals Guidance」もリリース予定です。SBTiはFLAGセクターガイダンスを整合的なものとするとしているため、改訂が生じるかもしれません。

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