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ISCC認証について

ISCC(International Sustainable Carbon Certification:
国際持続可能性カーボン認証)という認証スキームをご存知でしょうか。

完全にトレーサブルで森林破壊のないサプライチェーンのための持続可能なソリューションを提供する認証スキームとして設立され、グローバルなサプライチェーンにおいて、あらゆる種類のバイオマスの環境的、社会的、経済的に持続可能な生産と利用の実現に貢献することを目的としています。

グローバルな認証制度であるISCCコンセプトは、欧州ならびにドイツ当局により承認されています。 経験に基づいて開発された、効率的かつ効果的なコンセプトであり、社会持続性の問題もカバーしています。

バイオマスプラスチックやバイオ燃料の持続可能性認証として、最も広く使用されるスキームです。日本にいると気づきませんが、このように、世界中にユーザーがいる、スキームなんです。

Bureau Veritas ウェビナー資料より
Bureau Veritas ウェビナー資料より

実は、日本でも、J-クレジットの方法論において利用されています。

農産物の収穫に伴って生じるバイオマス(輸入されたものに限る)を原料とする燃料については、その持続可能性(合法性)を確保し、第三者認証(RSPO2013、RSPO2018、RSB、GGL 又は ISCC Japan FIT)により持
続可能性(合法性)が認証された書類の交付を受けること。

バイオ液体燃料(BDF・バイオエタノール・バイオオイル)による化石燃料又は系統電力の代替

認証書はフォーマットが統一されており、認証機関のマークが変わるのみ。
このあたりは、ISOと異なっていますね。

Bureau Veritas ウェビナー資料より

さて、何故今回紹介しようと思ったかと言いますと、ISCC認証が、サプライチェーンにおける、資源の持続可能性とGHG排出量の削減を担保するものであるからです。

Bureau Veritas ウェビナー資料より

アルファベットスープ戦国時代から、天下統一に向けて進んできた(?)情報開示ワールド。その本丸が、「サスティナビリティ」と「気候変動」。

開示すべき内容の種類を規定するのが、TCFD(ISSB)のような「基準」であるとするなら、開示する内容のを担保するのがISCCのような「認証」と言えるでしょう。

このような環境認証と言えば、FSC/PEFC(森林認証)やASC/MSC(水産認証)、RSPO(パーム油)などが思い浮かぶと思いますが、ISCCは、農作物、森林関連、廃棄物・残渣を扱うセクターにおける持続可能性認証を、ワンストップで提供できる点で優れています。

Bureau Veritas ウェビナー資料より

また、認証を得るためには、以下の6つの要件を満たす必要があるなど、非常にハードルが高いです。だからこそ、取得する価値があるのです。

Bureau Veritas ウェビナー資料より

1.カーボンが豊富なエリアの保護
2.環境に配慮した栽培、土地、水、大気の保護
3.安全な作業環境
4.人権・労働者の権利・配慮されたコミュニティーとの付き合い
5.土地の所有権、法令国際条約の遵守
6.優れた管理慣行

以上、述べてきたのは、EU域内向けのISCCですが、他に2つのカテゴリーがあります。

Bureau Veritas ウェビナー資料より

「ISCC EU」はEU域内向け、「ISCC PLUS」はEU域外向け、「ISCC CORSIA」はCORSIAで使用できるSAF(Sustainable Aviation Fuel)の認証スキームとなっています。なお、その他、特定のマーケット向けも開発されており、例えば、「ISCC Japan FIT」は日本のFIT向けです。

ISCC認証を紹介しようと思った、別の理由は「ISCC CORSIA」でした。
これまで、何度も「CORSIA」で使用できるクレジットについて説明してきたように、国際航空における排出量の削減努力については非常に注目しているところです。

Bureau Veritas ウェビナー資料より

日本は島国ですので、どうしても、飛行機に頼らざるを得ない。リモートでのビジネス環境が普及したからこそ、face to face、in personな付き合いが重要になると思うのです。なので「飛び恥」という誹りを、何とか克服したいというのが背景にあります。

その、「CORSIA」で使用できる「SAF:Sustainable Aviation Fuels」の要件を全て網羅しているのが「ISCC CORSIA」です。事実上、CORSIAコンパチと認められるためには、この認証をとることになります。

現在は、コストとデリバリーという克服すべきハードルが依然として立ちはだかっていますが、「飛び好き」としては、期待して待ちたいと思います。


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