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日本版S1・S2に対する意見提出企業の顔ぶれ

予定通り、日本版S1・S2の公開草案(ED)が2024年度3月末、最終稼働日の3月29日にリリースされて半年経過しました。

公開後、7月末を期限として、EDに対する意見募集が行われていましたが、寄せられたコメントが公開されています。

ASBJ/SSBJオープンセミナー2024「公開草案の公表に当たって」(12ページ)より

期限経過後提出のあった1社を含めて、計102社が意見提出を行ったようです。欧州委員会のコンサルテーション後の公開と同じく、原文がそのままPDFで参照できる形になっています。

もちろん、委員会のコメントはありません。
それぞれに対する、委員会の対応が公開されるかは分かりませんが、精査され、今年度末の確定基準の策定が行われるのでしょう。

内容については、これから斜め読みをして見たいとは思いますが、まずは、102社について、簡単な分類をしてみました。10名の公認会計士の方が個人名で提出されていましたので、残りの92社について行っています。

分類に誤りがあるかもしれませんが、ご容赦下さい。
なお、左の数字は、提出順の通し番号です。

監査法人/検証機関(11社)
7 株式会社サステナビリティ会計事務所
27 日本証券業協会
39 PwC Japan有限責任監査法人
40 有限責任 あずさ監査法人
44 EY新日本有限責任監査法人
47 日本公認会計士協会
52 有限責任監査法人トーマツ
53 公益社団法人 日本証券アナリスト協会
63 かえで会計アドバイザリー株式会社
94 一般社団法人日本能率協会
97 公益財団法人 日本適合性認定協会

イニシアチブ/NGO/スタンダードセッター(14社)
9 TCFDコンソーシアム
10 ASIFMA
13 International Corporate Governance Network(ICGN)
50 Global Reporting Initiative(GRI)
61 AccountAbility
62 バリューコンソーシアム(ESG-IREC)
72 Asian Corporate Governance Association (ACGA)
79 一般社団法人ESG情報開示研究会
80 CDP Worldwide
82 Principles for Responsible Investment (PRI)
87 Partnership for Carbon Accounting Financials (PCAF)
88 ClientEarth
98 Glasgow Financial Alliance for Net Zero (GFANZ)
101 amfori

アセットマネージャー(23社)
3 Capital Group
12 Impax Asset Management Hong Kong Limited
14 三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社
15 BCI(British Columbia Investment Management Corportaion)
16 インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
19 SeaTown Holdings International Pte. Ltd
29 株式会社ナナホシマネジメント
36 T.Rowe Price
37 Boston Trust Walden Company
48 一般社団法人機関投資家協働対話フォーラム
56 Goldman Sachs Asset Management
71 Lazard Japan Asset Management K.K.
77 りそなアセットマネジメント株式会社
78 フィデリティ投信株式会社
81 アセットマネジメントOne
83 AIGCC
86 LEGAL & GENERAL IMVESTMENT MANAGEMENT(LGIM)
91 CPP Investments
93 University Pension Plan Ontario (UPP)
96 Norges Bank Investment Management (NBIM)
99 California State Teachers’ Retirement System (CalSTRS)
100 Matthews Asia
102 Neuberger Berman Investment Advisers LLC

インデックス/コンサルティング/シンクタンク(13社)
1 TIC Council
4 株式会社国際開発センター
28 株式会社環境管理会計研究所
51 一般社団法人環境金融研究機構
55 株式会社プロネクサス IRコンサルティング部
59 株式会社プロネクサス ディスクロージャー基本問題研究会
69 コーポレート・アクション・ジャパン(CAJ)
69 株式会社野村総合研究所
73 InfluenceMap
85 Persefoni Japan G.K.
89 株式会社AIST Solutions
90 Bloomberg L.P.
95 MSCI

事業会社/業界団体(31社)
5 オリンパス株式会社
8 日本郵船株式会社
17 一般社団法人不動産証券化協会
18 株式会社乃村工藝社
20 一般社団法人不動産協会
22 味の素株式会社
24 上新電機株式会社
25 一般社団法人日本損害保険協会
26 大阪ガス株式会社
30 公益社団法人 関西経済連合会
31 株式会社リコー
32 株式会社ゆうちょ銀行
33 一般社団法人 日本鉄鋼連盟
34 一般社団法人 日本船主協会
35 オリックス株式会社
38 東邦ガス株式会社
41 一般社団法人全国銀行協会
42 株式会社三井E&S
43 三井不動産株式会社
45 日揮ホールディングス株式会社
46 マカイラ株式会社
49 一般社団法人日本ガス協会
54 電気事業連合会
57 一般社団法人 生命保険協会
58 一般社団法人 日本経済団体連合会
60 大成建設株式会社
64 一般社団法人日本貿易会
66 石油連盟
70 SGホールディングス株式会社
74 三菱地所株式会社
76 TDK株式会社

PRIやGRI、ICGN、PCAF、GFANZ、CDP等、世界の名だたるイニシアチブは当然として、海外ファンド及び海外の年金基金の存在感が目につきました。

これは、GX経済移行債が国際的にも注目されているからなのでしょうか。

2024年2月には、初の入札が実施され、10年債と5年債で合計約1.6兆円を調達。この初回発行は予定通りに進行し、DEALWATCHAWARDS2023でInnovative Debt Deal of the Yearを受賞するなど、高く評価されたとのこと。

GX経済移行債は、国際的なNPOであるClimate Bonds Initiative(CBI)から、クライメート・ボンド基準(Climate Bonds Standard)に基づく認証を取得しており、国際的な基準を満たしていることが証明されていることから、海外の投資家からも信頼を得ている、という説明は説得力があります。

とはいえ、海外の国債で一般的な環境債(グリーンボンド)ではなく、移行債(トランジションボンド)にする考えのようなので、適格な投資判断ができる、信頼性の高い情報開示がなされるような基準が策定されるのか、注視しておきたいところなのでしょう。

利用者側のコメントは、業界団体が主体となり、先進的な取組を行っている事業会社が個社として提出している形ですね。個人的には、家電や自動車、運輸関係からの提出がないのは、何故かなとも思いました。

グリーン&デジタルコンソーシアムやSuMPOといった算定ルールを策定したり検証する機関、LCA学会などの学術機関等は、関与せずなのでしょうか。

ということで、顔ぶれを見ながら、妄想してみたりしました。
皆さんは、どのようにお感じになったでしょうか。
ご意見を共有頂けたらと思います。

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