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データ散歩〜排出量取引市場

便利な時代になりました。
居ながらにして、さまざまなデータを収集することができます。
もちろん、信頼性の高いデータを検索し、真贋を判断するスキルも必要ですが、コストをかけずに、簡単にレビュー、概観することができます。

そんなデータを、時々ご紹介していきたいと思っています。
今回は、世界の排出量取引市場をご案内。

これについては、環境省が「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」の中で議論を重ねており、3月末には方向性を示したところです。

とはいえ、「排出量取引」については、東日本大震災よりも以前、民主党が政権を担当していた頃から延々と議論を繰り返し、何度も取り纏めてきた経緯があり、委員からは、「何を今さら」「議論は尽くした」などといった意見が続出していました。全く同感です。

そんな国内では遅々として進まない「排出量取引」、世界的にはどの程度の国が「排出量取引市場」を有しているのでしょうか。それについては、市場を有する国・地域が加盟しているICAPのサイトが参考になります。

このサイトによると、現在
・実施中:25国・地域
・試行中又は検討中:22国・地域 
実施中の市場は、世界の排出量の16%を占め、世界の人口の1/3が住んでいるとのこと。どうですか?多いと思いますか、少ないと思いますか。

ICAPは毎年レポートを出していますが、このように導入数は増えています。

2019年には中国が試行的に実施、2021年からは本格導入しました。
あまり話題に上がらなかったように思いますが、排出量としては45億トンと、EU-ETS(16億トン)を遙かに上回り世界最大に躍り出ました。

なお、現在実施中の市場においてカバーしているセクターと、全排出量に対するカバー率がこちらですが、NEW ZEALANDが素晴らしい。

何と、森林まで含まれており、パーフェクト。実は、世界の排出量取引市場の最先端を行っているのが、NEW ZEALANDなのです。また、カザフスタンや韓国、メキシコにも市場があります。環境に関しては、日本は「後進国」であると認識させられます。

東京と埼玉は限定的であるものの、レポートでは、削減に対する貢献については評価されていました。実は、東京都の制度の検証人資格も持っていましたが、試験が非常に難しかったです。逆に、それだけシビアに検証を行うルールとなっているので、「真面目」に取り組んでいる企業が多いように思います。

CDPに回答するような企業は、インターナルカーボンプライシングなど、CO2排出をコストと捉えることで、排出量の少ない、環境に負荷を与えない製品を生み出すことが、利益につながる仕組みを率先して導入しています。

環境対策がCSRだったのは、過去の話。居ながらにして得られるデータを活用して、まずは自分自身のマインドセットを変えていきたいですね。

これからも、トピック的に、このようなデータをご紹介していきます。
ご期待下さい。


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