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算定担当必須データ~エネルギー需給実績(1)

GHG排出量の算定を担当しているのであれば、国が発表する次の3つのデータは必ず抑えておきましょう。

1.温室効果ガス排出量
2.温室効果ガスインベントリ
3.エネルギー需給実績

1つ目は、温対法による報告内容を反映させたデータで、12月頃に速報、翌年4月頃に確報が公開されます。

時系列毎のデータも提供されますが、「記者発表資料」へ飛ぶと、概要がPDFで掲載されていますので、こちらを参照して、全体を把握するのがよいでしょう。

2つ目は、日本国が、UNFCCCの条約事務局へ提出するものです。

第4条1及び第12条1に基づいて、附属書I締約国(いわゆる先進国、もちろん、日本も含まれます)は、毎年自国の温室効果ガスインベントリを作成し、4月15日までに条約事務局へ提出することが義務付けられています。

日本も毎年作成し、推計・公表するとともに、排出・吸収量データ及び関連情報を含む温室効果ガスインベントリを条約事務局に提出しています。

これが、日本の対外的な公式の温室効果ガス排出量なのです。

分かりにくいかと思いますので、スクショを添付しておきますね。
参照したい年の「和文」からダウンロード下さい。

なお、このデータと1つ目のデータは同じです。
ただ、ガイドラインでは、大きく次の4つのカテゴリーに分類して報告すること及び、算定の過程を含めることを求めている点が異なります。

この報告書、700ページ以上あります。とても読んではいられません。
なので、基本的には、1つ目のデータで十分です。
ご関心のある方は、noteで具体的に紹介しましたので、参照ください。

3つ目は、エネ庁がとりまとめて、11月か12月に速報、翌年4月頃に確報が公開されます。1つ目のGHG排出量データと同時期ですので、一方が出たら、他方が出るのを待つ、という感じで、ウォッチしておきましょう。

これは、日本のエネルギー需給の概要を示し、エネルギー・環境政策の企画立案やその効果の実測・評価などに貢献するとともに、エネルギー需要に対する定量的な理解や情勢判断を支援するために策定するもの。

日本に輸入され、あるいは国内で生産され供給された石炭・石油・天然ガスなどのエネルギー源が、どのように転換され、最終的にどのような形態でどの部門や目的に消費されたかを定量的に示すものである。

GHG排出量と異なり、こちらは、資源エネルギー統計、石油等消費動態統計、電力調査統計、ガス事業統計等のエネルギー関係の各種一次統計等のエネルギー生産量、転換量、消費量等のデータを組み合わせて作成されています。

必ずしも、省エネ法の報告内容を反映しているというものではありませんのでご注意を。まぁ、あちらは、様々な係数をかけたりして、データをいじくり回していますから、利用しづらいでしょうね。

なお、データとして利用したい場合は、こちらに時系列表がエクセルデータでアップされていますので、参照ください。

このサイトからも、前述の概要もダウンロードできます。

ということで、先日2022年度需給実績(速報)が公開されたので紹介しようと思ったのですが、前置きが長くなりすぎてしまいましたので、内容については、次回お届けしたいと思います。

なお、それまでにご自身で一読されると理解も深まるかと思います。
ポイントは、次の5点です。

1.最終エネルギー消費
2.部門別最終エネルギー消費
3.電源構成と最終エネルギー消費、再エネ発電比率
4.エネルギー自給率
5.化石エネルギー依存度

自分なりの判断をされた上で、次報をお待ちください。


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