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非化石価値取引結果 22年度第4回

22年度第4回目(約定は23年5月24日)の非化石価値取引市場の取引結果が、JEPXから25日公表されました。

約定量[千kWh]

約定量を見ると、FIT非化石証書は順調に増えているのが一目瞭然。

こちらは、取引開始からトラッキング付きですので、RE100に使えますし、もちろん、温対法の報告において、他社から購入した電力量より差し引いて、調整後排出量として報告することも可能です。

そもそも、海外と比較して、再エネ電力の調達手段が限られている中、使い勝手がよい手法として認知が進み、かつ、小売電気事業者でなくても購入できるようになったため、仲介事業者も参入。活況を呈し始めています。

他方、非FIT非化石証書は、再エネ指定の有り無しとも、傾向のない状態が見てとれると思います。

こちらは、エネルギー供給構造高度化法の義務を果たすために使用することが想定されている市場です。

この法律は、一定規模以上の小売電気事業者に「30年度の非化石電源比率44%」を求めています。第1フェーズでは、3カ年平均で中間目標を達成しているかが評価されますが、その目標達成に使用できるのが非FIT証書だけなのです。

22年度は第1フェーズの最終年度に当たることから、買いが殺到し、右端の茶色の棒グラフが伸びています。と言っても、分かりにくいですよね。

なので、「落札率」にしてみました。

こちらが、約定量/売入札総量。非FIT非化石証書は、再エネ指定の有無にかかわらず100%となっています。

他方、FIT非化石証書は10%にも満たない程度ですので、相当数売れ残っているのもよく分かりますね。

落札率(約定量/売入札量)[%]

逆に、約定量/買入札総量を見てみましょう。

そうすると、非FIT非化石証書の方が、10%にも届いていませんね。
欲しい人の10人に1人も購入できていない訳です。

FIT非化石証書はというと、取引が開始された22年から、ずっと100%をキープしています。つまり、買いたい人は全員購入できている状態。まぁ、人気があると冒頭に述べましたが、それを上回る売りがあるんですね。

落札率(約定量/買入札量)[%]

落札率算出のベースとなった、売入札総量及び買入札総量はこちらです。

売入札総量[千kWh]
買入札総量[千kWh]

FIT非化石証書の売りは、桁違いに多いのです。
証書として売ってしまえば、自身は「再エネ電力」を使用していることにはならないわけなのですが、それより「販売収益」が欲しいんですねぇ。

JEPXは、入札会員数も公表しています。

需要家や仲介業者も購入できるようになったので、それまではボチボチ増えていたところ、22年度第3回目は急激な伸びを見せているのが分かります。

その実は、ほとんど仲介業者とのこと。JEPXの会員になる必要もありますし、人材も必要、事務手続きなども発生しますから、宜なるかなですね。

入札会員数「人」

さて、気になる価格はというと、約定価格は、非FIT非化石証書については上限の1.3円/kWhに張り付いています。当たり前ですよね。球切れを起こしていますから。これが市場原理というものです。

FIT非化石証書はというと、逆に最低価格の0.3円に張り付いています。売り玉が圧倒手多数ですから、こちらも市場原理通り。

なお、23年度からは0.4円/kWhに値上げされることが決定しています。

JPXの方では、J-クレジット及びGX-ETSの超過削減枠が取引されるようになります。

クレジット及び証書の取引結果が公表されるようになれば、今まで相対でしか取引されていなかったため、不透明だった取引価格が明らかになります。

脱炭素化を推進する仕組みとして、カーボンプライシングが普及していく原動力になっていくのではないでしょうか。

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