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カーボン・クレジット〜How Much?!

株価を毎日チェックする人は数多いても、カーボン・クレジット価格をチェックする人は、果たしてどれだけいるのでしょうか。

私は、EUAとCORSIA適格ユニットのチェックは日課となっています。
10月31日現在はこちら。

CARBON CREDITS.COMより

①がEU-ETSで取引されるクレジット「EUA:EU allowance」
②がCORSIAで取引できるクレジットに基づいた指標(インデックス)です。
種類が何種類もあるので、その値動きに合わせて算出されるものです。

値動きは、こんな感じになっています。

CARBON CREDITS.COMより
CARBON CREDITS.COMより

EUAは、毎日一定の売買高もあって、日々の値動きがあります。
こうであって初めて、マーケットの機能の一つ「価格表示機能」が果たせます。
2021年の開始以来、対象セクターの排出量において、今やEU-ETSを凌駕してダントツの1位となったCN-ETSですが、まさしく官製相場となっています。

CARBON CREDITS.COMより

とはいえ、JPXカーボン・クレジット市場と言えば、初日こそ3,689トンの売買高がありましたが、その後は鳴かず飛ばず、売買成立している日の方が少ない状況。
褒められたものではありません。

ただ、何事も、最初からうまく行くものではありません。
「万全を期してやおら…」がお家芸の日本としては、「Running by Learning」で良いのでは無いでしょうか。ちゃんと、見守っていくつもりです。

毎日のチェックと並行して、世界で唯一のウェブベースマーケット、シンガポールのACXのメルマガも購読しています。

こちらは、CORSIAの他に、森林吸収や再エネクレジットなどのテーマ別のクレジットも扱っており、世界全体のボランタリー・クレジットの週間の動向が確認できて重宝しております。

ACXメルマガより

右列に並んでいる、GNで始まるクレジットは、森林吸収クレジットです。
その後ろの文字は2つの意味があります。

1つ目は「ビンテージ」、クレジットが発効された年のことです。
スキームや規制で、利用できる年決まっている場合があるので、必要な情報です。
森林吸収ではありませんが、RE100では、稼働から15年を経過した電源からの電力による非化石証書は、使用できません。

2つ目は、コベネを生み出しているかどうか(accompanied by additional certification for co-benefits achieved)。いわゆる「高品質なクレジット」か否かということです。個人的には、こちらを重要視しています。

詳しくは、恐縮ですが、表の下の小さな説明を参照ください。

さて、昨今、ウォッシュが問題視されていますが、以前は「全然」でした。
控えめに言っても、「まかり通っていた」ものも多かったと思われます。
ですので、古いクレジット(ビンテージが古い)は買い手がつきにくい状態です。

同じ文脈で、コベネフィットを生み出しているのであれば、言ってみれば、「ウォッシュ」と逆ですよね。「買いたい」というインセンティブが働きます。
ということで、プライスが、10ドル以上から1ドル未満まで幅あるのです。

最後にご案内しておきたいのは、CORSIA適格ユニットの話です。
上表だと、0.75ドルとなっていて、10/13〜20の週は変動無し。
CARBON CREDITS.COMのチャートだと、0.75ドルを中心に変動しています。
なので、これが現在のマーケット状況であることは間違い無いようです。

ここでマニアックになりますが、CORSIA適格ユニットにも、種類があるのです。
CORSIAは、以下のように、3つのフェーズに分かれて、段階的に導入されます。

で、フェーズ毎に使えるクレジットが異なります。

Pilot Phaseで使えるクレジット
1,American Carbon Registry(ACR)
2.Architecture for REDD+ Transactions(ART)
3.China GHG Voluntary Emission Reduction Program
4.Clean Development Mechanism(CDM)
5.Climate Action Reserve(CAR)
6.Forest Carbon Partnership Facility(FCPF)
7.Global Carbon Council(GCC)
8.The Gold Standards(GS)
9.Verified Carbon Standard(VCS)

CORSIA Eligible Emissions Units_March2023より著者作成

1st Phaseで使えるクレジット
1.American Carbon Registry(ACR)
2.Architecture for REDD+ Transactions(ART)

CORSIA Eligible Emissions Units_March2023より著者作成

Pilot Phaseでは、9つのクレジットが使えたのですが、2024年から始まる1st Phaseでは、現在のところまだ2つしか承認されていません。

ですので、ACXによると、これから需要が高まってくると、供給が限られることから、10ドル/tCO2eくらいまでの値上がりが見込まれるそうです。

まぁ、現在TEGで審査されているところですので、適格ユニットは増えてくるでしょうが、初期はタイトな相場になることは十分予想できるところ。

ということで、にわかに注目され始めた、カーボン・クレジット。
何度もご案内してきたのは、ご承知の通り。

次は、購入して、活用する段階に入ります。
それで初めて、クレジットが活きるのです。

これを踏まえて、今回は「一体いくらなの?」をお伝えしました。
いかがだったでしょうか。

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