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スコープ3のカバー率についての疑問

昨日のnoteで、長期SBTのスコープ3のカバー率は90%が条件とお伝えしましたが、補足をしておきます。

まず「カバー率」というときは、そのスコープトータルに対する比率です。
マニュアルに掲載されている、以下の表を見て下さい。

SBTi企業ネットゼロ基準マニュアル Ver1.0

ここに書いていることは、こういうことです、

  • スコープ1+2の排出量合計に対して最低95%以上カバーしなさい

  • スコープ3の排出量合計に対して最低67%以上カバーしなさい

ですが、スコープ1、2はいいとして、スコープ3については、そもそも「合計が分かっていたら苦労しないよ」思いませんか?
その時点で、排出量算定しているじゃん、と思うわけです。

これについては、ガイダンスに記載されているこちらが参考になります。

スコープ3基準では企業に対して、最も GHG 排出量が多いことが予想される活動を特定 し、GHG を最も削減できる機会を提供し、企業の事業目標に最も関連のあるスコープ 3 活 動を特定することを推奨している。企業は 15 のカテゴリそれぞれの GHG 排出量の規模を 設定するために、まず固有度の低いデータを使ってスクリーニング・プロセスを実施する ことが望ましい。その後、排出量推計の精度を高めるかどうかを決めるために、各カテゴ リを検討することができる。

スコープ3排出量の算定技術ガイダンス

つまり、ざっくりと見積もって(=スクリーニング)、その中から排出量が多そうなカテゴリをピックアップして、詳しく算定(=精度を高めるかどうかを決めるために、各カテゴリを検討する)しなさい、ということのようです。

この「詳しく算定した排出量」が、「ざっくり見積もった排出量」の67%(=2/3)以上になるようにしなさい、ということです。

ちなみに、スコープ1とスコープ2については、自社内に何がしらのデータがあるはずなので、95%という値にこだわらず、全データを集めるよう努力すべきです。

なお、短期目標の場合は、精緻に計算したスコープ1とスコープ2の排出量に、ざっくり見積もったスコープ3排出量を加えた総排出量に対して、ざっくり見積もったスコープ3排出量が40%を下回る場合は、そもそも、スコープ3排出量を目標に加える必要はありません。

がしかし、長期目標では、有無を言わせず90%をカバーしなければなりませんから、優先順位を定めて、算定できる体制を作っておくべきでしょう。

このような形で、ガイダンスやマニュアルを読み進めていく段階で、ふと疑問に思うようなことも、少しずつ説明していきたいと思います。

皆さんからの、そんなクエスチョンを、お待ちしています。
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